今さら聞けない同梱物とは?意味や基本的な考え方をご紹介
同梱物(どうこんぶつ)とは通信販売において、商品とセットで顧客へと送る印刷物や広告物のことです。具体的な例としてはパンフレットや挨拶状、カタログなどが挙げられます。
D2CやEC通販における同梱物の重要性は、通信販売の数が増加している現代において大きく注目されています。
本記事では同梱物の網羅的な知識や同梱物の具体例、事例について解説します。同梱物をうまくイメージできていない方、どんなモノを同梱物として送付するべきか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
INDEX
同梱物とは?
初めてEC通販事業を始める方や、通販企業で働き始める方の中には「同梱物」という単語を聞きなれない方も少なくないと思います。
同梱物とは、EC通販などにおいて、商品を梱包する段ボール内に、商品と一緒に収められている挨拶状やパンフレット、チラシなどの事を指して同梱物と表現します。
以下、代表的な同梱物の例
- 挨拶・お礼(サンクスレター)
- ブランドブック
- 商品の使用方法を紹介する小冊子
- 商品カタログやパンフレット
- ユーザーの声や体験談のアンケート
- ユーザーの声や体験談の紹介コンテンツ
- オンラインコミュニケーションツール(LINE・chatworkなど)への誘導
- クーポンやお得な情報
- サンプル商品やプレゼント
- クロスセル・アップセルコンテンツ
EC通販においては、DM(ダイレクトメール)、同梱物、アウトバウンドなどのオフライン施策の1つとして位置づけられ、WEBやメールでのコミュニケーションとは違ったアプローチの方法を取るための重要な施策の1つとしてEC通販初期から重要視されています。
同梱物にかかるコスト
同梱物にかかるコストは何を用いるのかによりコストは変わってきます。パンフレットやアンケートなどの紙媒体も多く量産する必要があり、5〜10万円ほどのコストがかかることもあります。
また、限定商品なども大量生産するなら10〜20万円程度のコストはかかるので、どれくらいの規模やどのような物を用いるかにより、コストは大きく変わります。ECサイトの予算と照らし合わせながら、コストによる負担が大きくならないようにしましょう。
同梱と同封の違い
「同梱」とは、1つの箱に複数の案内や商品を入れることです。
具体的には、ダンボール箱で商品を発送する際、お試し商品などを入れるケースが同梱です。
一方で「同封」とは、1つの封筒に複数の書類を入れることを指します。
同封も同梱も、商品以外のものを1つにして送るという点では同じです。同封は封書を用い、同梱は小包やダンボール箱などを使用するという違いがあります。
同梱物が重要である理由・背景
同梱物が必要である背景にはどのような事象があるのでしょうか。同梱物をうまく利用するために重要である理由を確認し、同梱物に対する意識を変えましょう。
会社や商品の印象を高める
同梱物は企業や自社商品の印象を良くするものです。ブランド価値の向上を目指すには、顧客にとって価値のある同梱物が好ましいでしょう。
また、初回同梱物で企業の印象が決まってしまうため、リピート購入の促進に向けて、最初の同梱物は顧客属性に最適なものを選択するべきです。
D2C・EC事業における顧客のファン化に必要である
D2CやEC事業において、同梱物は顧客とのコミュニケーションに大きく役立つものであり、企業価値やロイヤリティの向上に欠かせないツールです。
顧客とより良い関係性を築くことによって満足度を高めることにつながり、その結果、顧客のファン化を目指すことができます。
途中解約率を軽減する
サブスクリプション型サービスでは、同梱物を備えることにより途中解約率を軽減することができます。契約解除の際に顧客から感想を直接聞き、改善点をサービスに組み込むことで高質なコンテンツ作成が可能であり、解約率の軽減につながります。
同梱物のメリット
同梱物は売上アップを期待できることや新商品を知ってもらうことにつながるなど、メリットは多いです。ここでは同梱物についてのメリットを3つ解説します。
開封率が高い
同梱物のメリットは、開封率が限りなく100%に近いというところです。注文された商品に対してセットで送るものなので、商品が開封されれば自動的に同梱物も見てもらえます。商品を購入してくれた顧客の目に触れる可能性も非常に高く、接点が作りやすいです。
また、同梱物に似た施策として「メルマガ」や「DM」が挙げられます。これらは、開封率が10~30%と同梱物に対して低くなるのが特徴です。
熱狂的なファン・リピーターの獲得
自社ファンやリピーターの獲得は、長期的に売上を伸ばすために必要不可欠です。多くの企業がファン育成に力を注ぐ中、手に取ってもらう商品だけでなく、同梱物にも興味を持ってもらうことでリピートを促進します。
特典や新商品などを同梱することにより、企業に対する顧客の好感度アップが期待できるでしょう。
LTV向上が可能
LTVは、顧客から得ることのできる利益の指標です。
同梱物を活用することによって、顧客を自社のファンにすることや商品をリピートしてもらう事に繋がります。そのため、LTVの向上という点においても重要な役割を持ち、今後のEC通販においても重宝されるものであると言えます。
コストを抑えられる
商品にパンフレットやチラシを同梱すれば、別々に送付した場合と比較して送料や梱包材、人件費などのコストを抑えられます。
また、すでに商品を購入している顧客に対するアプローチなので、成果につながりやすく、無駄な営業コストも削減可能です。
一方で新規顧客の獲得は、一般的に既存顧客の5倍のコストがかかると言われています。
新規顧客へのアプローチは、商品やサービスの認知が大切です。
商品名やブランド名を認知してもらうには、さまざまな場所で広告の掲載やキャンペーン、イベントを行う必要がありコストがかかります。
同梱物の重要な役割
同梱物の良い点は多々ありますが、そのメリットがどんなことに役立つのでしょうか。役割を把握することで同梱物に対する意識が変わることでしょう。ここでは、同梱物の重要な役割について解説します。
初回同梱物がリピーター獲得に重要
商品リピートのカギは初回同梱物です。同梱物はメルマガやDMと違い、商品が手元に届いたタイミングで接点を持つ為、顧客の心理状態が非常にポジティブ(商品到着という期待値が最大限の状態)な状態で受け取ることができます。
メルマガやDMと比べても、接点を持つタイミングがポジティブなため、より顧客の気持ちに対してアプローチできるコミュニケーションの手法と言えるでしょう。 初期の段階で企業に対する顧客の好感度を高め、熱狂的なファンやリピーターといった優良顧客の獲得を目指します。
顧客のロイヤリティを向上させファン化を目指す
同梱物により自社ファンを増やすことで長期的な利益が見込まれます。ロイヤリティを向上させる策として、ブランドストーリーを伝えること、顧客と良好なコミュニケーションをとること、などが挙げられます。
商品やブランドは会社の印象を左右する要素です。ブランドストーリーを伝えることで共感を呼び、ファン化を目指すことが可能になります。同梱物で顧客コミュニケーションをとることも関係性を築くという点において大切です。
また、自社ファンはサブスクリプション・定期プランを継続してもらいやすくなるという期待ができるため、ロイヤリティの向上は重要視するべきでしょう。
顧客の声を情報収集し改善に活かす
お客様の声や意見は、今後の改善ポイントを示す貴重な情報になります。
これらの情報はVOC(Voice of customer)と呼ばれますが、VOCは改善だけでなくレビューや口コミによって広がり、潜在的なお客様を発掘する可能性があります。
また、高評価のVOCが集まれば、それだけブランドや商品の信頼感・安心感にもつながります。同梱物を上手に活用してできる限りVOCを収集し、今後の運営や商品企画に生かすようにしましょう。
LTVの向上
LTVとは、顧客がある商品またはサービスを購入して、提供元の企業と取引が始まってから終了するまでにもたらす利益の総額です。
日本語では「顧客生涯価値」といわれ、一人の顧客が長期にわたり、取引を継続するほど、企業が得られる価値は向上します。
同梱物を用いることでリピーターを増やし、長期間にわたり取引してもらえるようになれば、LTVも向上します。
当然ではありますが、2回目の購入を促すのは簡単ではありません。
コストを掛けてさまざまな施策を行う必要があります。
同梱物を効果的に活用してLTVを向上していきましょう。
同梱物活用のポイント
同梱物を活用することで売り上げアップにつなげたい企業は多いでしょう。うまく活用するためには、以下で説明する3つのポイントを意識すると良いです。
状況に合わせて同梱物を変える
商品を購入した顧客の状況に合わせて同梱物を変えた方が良いです。タイミングや状況によって顧客の心理状態は違います。購買意欲が高い状態のときに同梱物を見てもらうのがベストでしょう。
たとえば、搬入経路が対面である場合は電話で問い合わせることができるように、オンラインである場合はメールやチャットで問い合わせができるようにしましょう。
ほかにも、顧客が新規の方であるか、それともリピートしてくれる既存顧客であるのかといった基準で同梱する内容を変えてみるのも良いです。購入頻度によって同梱物を変えてみるのも十分な効果があります。
物流品質を高く維持する
物流品質を高めるためには、商品を取り扱う場所や人的ミスを減らすことが大切です。 同梱物の制作にはさまざまな物を使うため物流倉庫を利用する場合もあります。倉庫での作業が可能であるかのチェックは不可欠であり、もし利用できない場合は新しい倉庫の用意が必要です。
また、品質維持に向けてアウトソーシングも視野に入れてみましょう。自社だけで作業を済ませようとするとミスが起きてしまうこともあります。質の高いものを制作してくれる企業に外注することで、品質を維持することができます。
検証と改善を繰り返す
ただ同梱物を提供するだけでは意味がありません。施策を行ったあとはしっかり振り返りを行うべきです。検証が成功した理由や失敗した原因を考え、明確にすることがサービス向上に繋がります。
理由や原因が明らかになったらしっかりと対策を立てることが必要になります。同じ失敗を繰り返すのはコストの無駄になるので避けたほうが良いです。 どんなサービスで優良顧客が獲得できるのか、どうすることによって顧客が離れてしまうのかなど検証と改善を繰り返しましょう。
同梱物の注意点
リピーターの獲得やLTV向上をめざすことのできる同梱物ですが、注意すべき点は多々あります。一体どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。ここでは同梱物の注意点を2つ解説します。
同梱物を過剰に入れない
一昔前まで、同梱物は多く入れたほうがいいと考える企業が数多くありました。しかし、同梱されているものが多いと顧客に不快感を与えるだけでなく、顧客離れに繋がりかねません。入れ過ぎは逆効果ですので最小限に控えましょう。
また、同梱物制作を複雑化してしまうと工数が増え、人的コストも上がります。梱包は人の手で行うためミスの増加にも繋がるはずです。 「同梱物の数を過剰に入れない」といった顧客に寄り添ったサービスを展開するとともに、作業を複雑にし過ぎず人的コストを削減することがベストです。
コストによる負担を抑える
パンフレットやチラシなどの同梱物を準備するためにはコストがかかります。制作にかけるコストが同梱物から得る利益を超えてしまうと売上がマイナスになることは明白です。そのため、コストのかけ過ぎには注意が必要になります。
また、同梱物を制作したのはいいものの、すべての数を使い切らずに破棄してしまうこともあると思います。こういった事例は資金がもったいないので、かけたコストが無駄にならないよう計算して制作をするべきです。 売上を向上させるためにコスト削減は非常に重要なため、計画的に同梱物を制作しましょう。
顧客一人ひとりのニーズを考慮する
新商品のサンプルやクーポンなどの同梱物は、顧客の購入履歴や会員情報をもとに送付しましょう。
せっかくサンプルを送付しても、顧客にとって興味がわかないものでは意味がありません。
例えば、独身者に子供関連のグッズを紹介してもよい反応は得られません。
年齢層や属性、購入した商品から考えられる指向性などを考慮に加え、同梱物を選ぶのが重要です。
顧客が興味を持つカテゴリーのサンプルや商品情報を送れば、ブランドに対する好感度を高められるでしょう。
一方で無用な広告や顧客にとって価値の低い情報や特典を同梱すると、顧客は不満に感じることもあるので注意が必要です。
目的別おすすめ同梱物の具体例一覧
商品の同梱物は、顧客体験を向上させる重要なツールとなり得ます。適切な同梱物を選ぶことで、顧客の満足度を高め、リピーターを増やし、ユーザーの声を収集することが可能です。
ここでは、目的別におすすめの同梱物を具体的に紹介します。顧客とのコミュニケーションを強化し、ブランドの信頼性を高めるための工夫を凝らした同梱物の選び方を学んでみましょう。
顧客満足度の向上を図りたい場合
顧客満足度の向上を図るためには、商品そのものの品質はもちろんのこと、顧客が商品を受け取る際の体験も非常に重要です。
商品と一緒に送る同梱物は、顧客にとってのブランドイメージを形成する一要素であり、丁寧に選定された同梱物は、顧客に喜びと満足を提供する大きな役割を果たします。
例えば、心のこもった挨拶状は顧客との絆を深め、ブランドへの信頼感を高めます。また、購入商品の関連アイテムを紹介するツールを同梱することで、さらなる購入意欲を引き出すことができます。
工夫を凝らした同梱物は、顧客が商品を手に取った瞬間から喜びを感じられるようにし、結果的に顧客満足度を大きく向上させることができます。顧客がブランドに対して感じる信頼感や親しみは、これらの小さな気配りから生まれることが多いため、同梱物の選定には十分な配慮が必要です。以上のポイントを踏まえ、顧客満足度向上のために効果的な同梱物の具体例を以下に紹介します。
挨拶状
挨拶状は顧客へ感謝の意を伝えるものです。企業への印象が良くなるうえ、顧客との良好な関係性を築くのに最適と言えます。初回の同梱物として渡すとより効果的です。商品の販促を促す文章であれば、短期間でのリピートの購入が期待できるでしょう。
取扱説明書・イメージ紹介
製品の使用方法を説明する取扱説明書は、同梱物の中で最も重要なものの一つです。
これは、顧客に正しい使用方法を伝え、製品の効果や性能を適切に実感してもらうために重要な役割を果たします。
製品を正しく使用しないと、企業が意図する効果が得られない可能性があります。
これにより、顧客の不満が生じやすくなるのです。
また、取扱説明書は怪我などのトラブルを防ぐためにも不可欠です。
商品の紹介では、例えば美容品などの製品において、標準的な使用量や使用方法を説明し、毎日のケアに結びつけることで実感を促進します。
商品パンフレット
商品パンフレットには、商品の紹介を通じて顧客の購買意欲を高める効果があります。
さらに、他の商品の購入を促すので単価アップも期待できます。
商品パンフレットには、商品の特徴や期待できる効果、容量、価格などを掲載するのが一般的です。
さらに、商品のコンセプトや開発への思いを掲載してもよいでしょう。
商品やブランドの価値や理念が明確であるほど、顧客からの共感は集まるでしょう。
同梱したパンフレットで顧客のブランドに対する愛着を高めてください。
同梱した商品パンフレットなどは、DMに比べて開封率が高く、広告として効果的に機能します。
試供品・特典品
試供品や特典品は「試したかった」「お得」と感じさせるような品物を選ぶように意識するのが大切です。
顧客の購入商品と同じような新商品や、期間限定商品のサンプルを同梱するのもおすすめです。
すでに贔屓にしているブランドであっても、新たな商品を知ってもらうなどの気付きを与えるきっかけになります。
特に、何度も購入しているリピーターに対しては「いつもご利用いただいている方限定」などのメッセージを添えて送れば自社店舗に対するロイヤリティが高まり、継続的な購入にもつながります。
新商品を知ってもらいつつ、顧客のロイヤリティを高められるので、試供品・特典品はおすすめです。
リピーター顧客になってもらいたい場合
顧客にリピーターになってもらうことは、ビジネスの持続的な成功に不可欠です。
一度購入した顧客が再び商品やサービスを選んでくれることは、ブランドの信頼性と価値を示す重要な指標となります。そのためには、商品そのものの魅力に加えて、顧客がブランドとの関係を深められるような体験を提供することが求められます。ここで重要なのが、商品の同梱物です。効果的な同梱物を通じて、顧客に再度購入したいと思わせる動機を提供することができます。
例えば、購入商品の関連アイテムを紹介するクロスセルツールを同梱することで、顧客に新たな価値を提案し、さらなる購入意欲を引き出すことができます。
さらに、割引クーポンやお得な情報を同梱することで、次回の購入を促進し、顧客に対する感謝の気持ちを具体的な形で表現することができます。
このように、リピーター顧客を増やすためには、同梱物を通じて顧客に価値ある情報や特典を提供し、ブランドとの関係を強化することが重要です。以下に、リピーター獲得に効果的な同梱物の具体例を紹介します。
ブランドブック
ブランドブックとはブランドの価値や理念を1つにまとめたパンフレットです。企業のブランディングを確立させるために使用されるものであり、マーケティングに役立ちます。企業のブランド価値や理念が明確であると共感を集めやすく、多くの方が企業に興味・関心を抱いてくれるはずです。
利用者・ファンの声
はじめて購入した商品を使う際は、口コミや評判を参考にしたいものです。
利用者やファンの感想、レビューなどを紹介すれば、新規顧客に対して安心感や信頼感を与える効果があります。
同じような悩みを抱えている方の口コミは、共感・イメージがしやすくなるので、商品の購買層に沿った利用者の声を紹介するとよいでしょう。
掲載手法としては、顧客から届いたハガキや手紙の写真を乗せたり、顔写真や氏名、年齢、居住地が掲載可能であれば、さらに安心感が与えられます。
各種購入プランの案内
化粧品などの継続性がある商品の場合は、お得な定期コースを同梱物で案内するとリピート率の向上につながります。
セット割やリピーター割引なども有効です。
定期購入のメリットや、ロイヤル顧客になると得られる価値や利益を伝えるチラシなどを同梱しましょう。
具体的には、「いつでも10%OFF+送料無料」や「定期購入すると年間で〇〇円お得」などのように価格メリットを前面に押し出します。
また、「もう一つプレゼント」など、価格面以外の特典を付けてもいいでしょう。
関連商品(クロスセルツール)
顧客が商品を購入、もしくは開封する際は、関連商品を紹介するベストなタイミングです。場合によってはクロスセルツールの購入を検討してくれるでしょう。購入した商品と組み合わせることで、大きなメリットがあることを明確に伝え、商品を販促します。
割引クーポン・お得な情報
同梱物として割引クーポンやお得な情報を渡すことにより、顧客の満足度は向上するでしょう。積極的な情報提供により、リピート購入や自社サービスの再利用を促進できます。時に企業にリスクのあるキャンペーンをおこなうケースがありますが、企業が赤字にならないよう注意して取り組むべきです。
ユーザーの声が聞きたい場合
顧客の声を収集することは、商品の改善やサービス向上において非常に重要です。
顧客のフィードバックは、企業にとって貴重な情報源であり、実際の使用感やニーズを直接知ることができます。これにより、製品の品質向上や新商品の開発に役立つだけでなく、顧客との関係を深め、ブランドへの信頼を築くことができます。そのためには、ユーザーの声を効率的に集めるための工夫が必要です。
同梱物を活用することで、顧客からのフィードバックをより自然な形で収集することができます。例えば、簡単なアンケート用紙や返信用はがきを同梱することで、顧客が手軽に意見を提供できるようになります。こうした取り組みは、顧客が自分の声が反映されると感じることに繋がり、ブランドへの愛着を深める効果があります。
アンケート・はがき
アンケートやはがきを通じて顧客の実体験や感想を伺います。これから自社商品を購入しようと考えている方は、口コミや体験談を参考にすることが多いです。そのため、顧客が具体的にサービスをイメージできるよう、アンケートやはがきで感想を集め、新規の顧客へ紹介します。サービスの改善にもつながるはずです。
ECサイトのタイプ別|入れるべき同梱物の事例
ECサイトの同梱物は商品に興味があるユーザーに手で取ってもらうことができ、リピートにつなげることができます。ただ、ECサイトの同梱物は種類ごとに目的が違うのでタイプ別に確認しておくことが大事です。以下の3タイプについて紹介します。
ユーザー満足度の向上を狙う場合
ユーザー満足度の向上を目指すなら、同梱物は限定の商品や別商品、お礼の挨拶文などがおすすめです。限定や別商品がユーザーにハマれば、大きな満足度につながりリピート率がかなり高くなります。
また、お礼の挨拶文はユーザーに感謝が伝わるので、もらって不満が生じることはありません。特に手書きであれば独自性や感謝がより強くなるので、顧客は商品の購入以上に満足感が高まることも予想できます。
SNSで発信してもらえれば、より多くの人に満足度をアピールできるため、販促効果も期待できます。
リピートを狙う場合
リピートユーザー獲得タイプは、継続して購入をもたらすための販促アイテムを同梱物とするのがおすすめです。
リピートユーザーは新規顧客の獲得ではなく、次回の購入を促すことが狙いなので、例えばサンプル商品やクーポン券などを同梱物として提供できます。
クーポンも1つではなく複数のアイテムを同梱物として提供するなら、リピートユーザーを獲得しやすくなるでしょう。
ユーザーの情報を収集したい場合
ユーザーの情報を収集したいなら、アンケートやはがきを同梱物として提供できます。実際に商品の購入をした顧客の声を聞くことで、サイトの改善や商品の改革を効果的に行うことができます。
情報収集を正確に行うためにアンケートやはがきは「直して欲しい点」「あったら良いと思える物」「追加して欲しいこと」など、改善につながる質問を書くようにしてください。
同梱物の事例紹介
ここでは実際の事例を2つ紹介します。同梱物の成功例を参考に自社の活用方法に生かしてみてください。
ZOZOTOWN
ZOZOTOWNは、株式会社ZOZOが運営するファッション通販サイトです。
ZOZOが行った施策は「ZOZOオマケ」と呼ばれる、期間中に商品を購入したユーザーに対しオマケ的な特典を付けたキャンペーンになります。特典は様々な種類があり、電子書店のクーポン・無料券などがありました。特に目を引いたのが、食べログと共同実施した「ワンコインランチブック」です。
ブックに掲載された店に冊子を持ち込むと500円引になるというサービスで、ZOZOは自社の販促になる特典ではなく一味違った価値を付けたことで企業イメージを高めたのです。それは、ZOZOをよく利用する若者をターゲットにして、ランチデートにおすすめという名目で顧客のファン化につなげるマーケティングを行ったのです。
ユーザー心理に上手く寄り添った成功事例といえます。
参考事例:JAGAT_ZOZOTOWNの「ワンコインランチブック」に見る、新たな価値の生み出しかた
エーザイ
エーザイは、薬やヘルスケア商品を手掛ける大手製薬会社です。
従来までは通販サイトの同梱物において、あまり注力をしておらず自社がおすすめするモノを展開していました。しかし、お客様目線やニーズを意識して各ユーザーのことを考えた同梱物を展開するようにしました。
そのような施策を行い、通販事業の売上が3年連続2ケタ増など売上アップに成功しています。同梱物が売上に与える影響がよく分かる事例となっています。
参考事例:ECMO_3年連続で通販売上2ケタ増!エーザイのCRM実践事例とは?
同梱物は顧客とのコミュニケーション
同梱物の企画や制作を考える際に悩むことが、どのようなアイテムを同梱したら良いかという事が挙げられます。一般的な同梱物として、挨拶状やブランドブック、販促のチラシやお客様の声など、同梱できるアイテムは多岐にわたるため、どのアイテムをどれくらい入れるのが適切なのか判断が難しいと思います。
ここで重要なのは、同梱物は顧客とのコミュニケーションである点です。同梱物の企画の際には、通販事業者が、お客様とどのようなコミュニケーションを取り、どのような関係値を構築したいかという点をしっかりと考える必要があります。その考えに対して適切な方法を考えアイテムを選出、デザインし同梱することが需要です。
よくある同梱物の事例として、販促に当たるチラシや割引クーポンなどのオファーを多数同梱する事が見受けられますが、販促にばかり同梱物を寄せることは、顧客をファン化し、LTVを最大化するという視点においては必ずしも最適解と言えません。
それは、販促チラシやオファーなどにおけるアップセル・クロスセルなどのリピートは、顧客と気持ちで繋がらないケースが多い為、F2転換率は高くても、その後のリピート率は下がる傾向にあるためです。顧客と気持ちで繋がり、LTVを最大化するという点において、顧客にファンになってもらうという視点で同梱物を考えることが、同梱物の設計には重要になります。
顧客と気持ちで繋がるためには、同梱物で何を訴求すべきか知る必要があります。
最低限必要な同梱物の訴求内容を紹介します。
- 御礼
購入頂いてありがとうという気持ちを伝える
- 企業理解促進
安心して商品を購入できる企業であることを訴求
- 商品理解促進
商品の良さ、間違いのない商品を購入したことを訴求
- 活用促進
適切な使用量、使用方法を訴求
- 行動喚起
次回に必要なアクション、リピートや買い回りに向けて
- 商品価値増大
企業のオリジナリティを訴求、素敵なデザインなどで商品価値を高める
上記は同梱物の設計において全てではありませんが、最低限抑えておきたい基本の内容となるため、既に同梱物を設計されている事業者の方や、これから設計をされる方も改めて考えてみる機会にしてみてください。
まとめ
同梱物はEC通販事業における顧客との重要な接点となるため、多くの事業者の方が実践されています。同梱物を企画する際は、販促チラシやオファーなどに偏りがちですが、LTVを最大化するために顧客をファンにするという視点でコミュニケーション設計し、施策を考える事が重要な視点となります。
EC通販における課題のひとつであるリピート売上げ、LTVの向上に対してしっかりとした施策にできるよう設計をすることが重要となります。販促だけでなく、企業理解や商品理解の促進にも目を向けて設計することが今後も求められています。
同梱物の設計でお悩みの方へ
同梱物やメールの設計は、EC通販において重要な顧客の活性化やリピート顧客の向上に必要な大切な施策です。顧客をしっかりと分析し、お客様とのコミュニケーションを設計することはLTV向上においても大きな効果を発揮します。
「うちでのこづち」はEC通販に特化したCRMツールとして多くの事業者様に導入頂いております。ツールの提供だけではなくCRMの構築もお手伝いさせて頂いています。同梱物の設計や、効果のあるメールライティングの作成など、CRM構築に必要な施策もお手伝い可能です。
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