ECサイトにおける同梱物とは?重要な役割と種類・内容について解説
ECサイトを運営するにあたって、商品の発送時に同梱物を入れ顧客満足度を上げてリピーターにつなげたいとお考えの方もいるでしょう。
しかし、具体的にどのような同梱物を封入すればよいかなど、有効的な活用方法が分からないというお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
一見たいして効果的とは思えない同梱物ですが、実は売り上げを大きくアップさせる可能性を秘めています。
効果的な同梱物が同梱されていれば、お客様の満足度が上がり、自社の利益も高まるのです。
そこで今回は、同梱物の重要な役割や同梱物のメリット・デメリット、具体的なおすすめの同梱物の種類や内容について解説いたします。
同梱物でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
同梱物とは
同梱物とは、通信販売などで顧客に送る商品と合わせて送付する印刷物や品物です。
代表的なものとしては納品書・挨拶状・チラシ・サンプル品などがあります。
通信販売はどうしても消費者とのコミュニケーションが希薄になりがちです。
そのため、顧客の手元に直接届く同梱物は非常に重要な販促手段と言われています。マーケティング活動の重要な手法のひとつとしてECが登場した当初から活用され続けています。
通販で同梱物が重要な理由
通販で同梱物が重要視されるのは、同梱物が必ずユーザーの目に留まるからです。
ダイレクトメールが届いても、読まない人は、少なくありません。しかし、同梱物は商品を取り出す際に必ず手にします。
同梱物以上に確実にユーザーにアプローチできる手法はないので利用するべきです。
ただし、なんでも同梱物を入れれば売上が上がるわけではない点に注意しましょう。
たとえば、何度もリピートしているユーザーに同じ同梱物を送っていると、感動や特別感が薄れてきます。
同梱物の重要な役割とは
店舗がないD2Cブランド・EC事業者にとって、同梱物は数少ないオフラインでの顧客接点の1つです。
適切な内容・タイミングで同梱物を届けられれば、顧客満足度が上がりファン化が実現できるでしょう。
ここからは具体的な同梱物の重要な役割について詳しく見ていきましょう。
リピート購入の促進
リピーター獲得に際しても同梱物は重要な役割を持っています。
- 別の商品のサンプル
- クーポン券
- 定期購入促進のコンテンツ
- キャンペーン情報
これらはユーザーのリピート購入を促すための同梱物です。
経済的なメリットや使い続けることの効果をアピールして、継続購入を促します。
たとえば、ほかのユーザーの声をまとめた小冊子などが入っていると、より深く商品を理解でき好感度からアップする効果があります。
LTV向上
同梱物は新規のユーザーをリピーターに変化させ、LTV(顧客生涯価値)を上げる役割を持ちます。商品を受け取るだけで、新しいユーザーが商品やブランドの価値を十分に感じてもらえるかは疑問です。
商品の価値やブランドコンセプトを伝える書類や別方品のサンプルなどを同梱しておけばユーザーは新たな価値に気が付きます。「またこの会社から買いたい」と感じてもらえれば、リピート率が高まり、LTVが向上します。
ブランド・会社へのファン化
商品やブランドに対して、ファンやリピーターを確保するのは簡単ではありません。
しかし、長期的に売上を向上させ続ける上で、ブランドのファンが増えることは大切です。
近年では、SNSが主流ですが、手に取ってもらえ、生活圏内に置いてもらえる実体のある同梱物は、オンライン上のアプローチとは違った印象になります。
カタログや新商品のサンプルを届けることで、顧客により深い知識やポジティブなイメージを提供できます。
同梱物を活用すれば、ブランドとより深いところでつながりを作り、ファンになってもらえるのです。
同梱物を入れるメリット
同梱物を入れることは、EC運営に多くのメリットがあります。
ここでは、代表的なものを詳しくご紹介します。 具体的なメリットを確認しておきましょう。
顧客満足度の向上
メリットの1つ目は、顧客満足度の向上が狙えるということです。
特にユーザーの期待や関心がもっとも高い初回購入時の同梱物は非常に重要です。
たとえば、届いた荷物を開封したときに、目に入るものが納品書だった場合とこころのこもった挨拶状だった場合では、ショップに対するユーザーのイメージは大きく変わります。
ユーザーの心をつかめるかどうかは、最初の同梱物で決まると言っても言い過ぎではないのです。
顧客ファンやリピーターを獲得できる
同梱物をきっかけに、新規ユーザーからリピーターになってもらえる場合も少なくありません。
商品と一緒に同梱されていたサンプルを使用してみて使いやすいと感じたり、同封されていた新商品の案内を見て購入してみようと考えることも意外と多いのです。
ECサイトでは、新規顧客をどのようにリピーターになってもらって、継続的に商品を購入してもらうかが安定した売り上げの確保に直結します。
同梱物を上手く使って、どのような施策を打ち出せばリピーターを獲得できるのか検討しましょう。
VOC(ユーザーの声)の収集
同梱物にアンケートやレビューの案内を同封すれば、ユーザーの声を集められます。
ECサイトの売上を上げるためには、ユーザーからの声を積極的に集めて、改善しなければならない点を明らかにしなければなりません。
ユーザーの要望を取り入れると満足度が向上し、新しいユーザーやリピーターの獲得につながるからです。
その点、同梱物にアンケートやレビュー案内を封入するのも効果的です。「アンケートにお答えいただければクーポンを差し上げます」などの企画を行うとより多くの声が集まります。
開封率がほぼ100%
商品が入った段ボールを開ければ、必然的に同梱物も目に触れます。このため、開封率はほぼ100%と考えられます。
開封率の視点でほかの施策と比べてみると、メルマガは20%以下、DMは10~30%の開封率に留まっています。
業界や取扱商品によって異なりますが、同梱物での訴求は、他の施策と比較して圧倒的に開封率が高いのです。また、単に開封率が高いだけではなく、きちんと目を通してもらえます。
ユーザーからすると、購入した商品に関する情報には敏感なのです。
コストがかからない
DMの場合は郵送費、折込チラシは、新聞に折り込むための費用が発生します。
商品と別にパンフレットやチラシを送るのと比較すると、同梱物は商品と同じ段ボールに入れるので、送料や梱包材、人件費などのコストが削減できます。
加えて送る対象が決まっているため、不特定多数に送るポスティングの費用と比べると圧倒的に低コストです。
また、一度商品を購入した見込み客に対しての施策なので、成果が上がりやすく、無駄な営業コストも削減できます。
LTVの向上
ユーザーのファン化、リピーター化を促すことができる同梱物は、LTVの向上を実現します。
ユーザーが繰り返し商品を購入して、関連商品にも興味を持ってくれれば、1人あたりの売上が何倍、何十倍にもなるのです。
一度商品に興味を持ったユーザーに、的確にアプローチできる同梱物のメリットです。
また、新規ユーザーと既存のユーザーで同梱物を変え、ちょっとした変化や工夫を加えると効果的にLTVが向上します。
商品開封時のポジティブ感情による後押し
一般的に消費者の心理は「商品の購入検討→購入→受け取り」の一連の流れの中で、購入の時点が一番満足度が高いと言われています。
商品の受け取り時にお礼状や特典・サンプル品などが同梱されていると、購入したことに対する満足度が増し、「買ってよかった」というポジティブな感情を後押しできます。
商品購入の体験が充実していると、ブランドへの好感度がアップし、追加の購買意欲にもつながるのです。
同梱物を入れるデメリット
同梱物封入はEC事業者にとって必須の施策ですが、もちろんデメリットも存在します。施策を開始する前に必ずデメリットを確認しておきましょう。
ここでは3つのデメリットを紹介します。詳しく見ていきましょう。
同梱物のコスト
他の施策と比べれば格段にコストはかかりませんが、それでも0という訳にはいきません。
パンフレットやカタログなどの制作でコストはかさみ、商品やサンプルを同梱すればコストはさらに高まります。
また、同梱物を制作する際、もちろんこだわりを持つことは大切ですが、コストのかけ過ぎには注意が必要です。
期待可能な利益以上に制作コストが発生すると、本末転倒で売上にも悪影響を与える可能性があります。ECサイトの規模やビジネスの成長に合った施策であることが大切です。
物流作業の複雑化・人的コストの増加
同梱物作業が複雑になると、工数や人件費のコストが増えます。また、人的ミスが起きる可能性が高まりますので、想定以上にコストがかかる場合も結構あるのです。
ブランドイメージを伝えるためにも丁寧な作業はもちろん必須ですが、過剰な作業コストがかからないように作業効率にも配慮する必要があります。
また、それに伴いミスも起こりやすくなるので設計の工数も十分にかけなくてはなりません。
物流変更の可能性
新たに同梱物を使用する場合、従来の物流では対応できない可能性があります。 工程が複雑化になり、扱い品が増えてくると、それに対応できる物流倉庫や経路が限定されるためです。
特に購入回数や入会月などユーザーごとに同梱物が変わる同梱物は倉庫での作業が煩雑化します。 物流を変更する手間と物流作業のコストアップも考慮に加えておかなければなりません。
おすすめの同梱物の種類と内容
通信販売において、購入者に送るべき同梱物はどのようなものでしょう。 まず必須なものとしては、
- 納品書・領収書
- 商品の証明書
- 保証書
などがあります。
これらは、商品を購入した証明になる必須の同梱物です。 ほかにも、引上やクロスセルのためにさまざまなツールを封入します。 ここでは、おすすめの同梱物を見ていきます。
挨拶状(サンクスレター)
競合商品がたくさんある中で、自社の商品を購入したユーザーに対して感謝の気持ちを伝える意味もこめて挨拶状を同梱することが大切です。
このような挨拶状は、ユーザーに感動を与え、自社に対し良い印象を持ってもらえます。
また挨拶状にぜひ添えておきたい一言が、商品の早めの使用を促す文言です。
食品なら「お早めにお召し上がりください」、コスメ関係であれば「ぜひお試しください」などと記しておけば、早めの使用を促せます。
VOCを紹介する印刷物
同梱物には、ユーザーの声を記載したチラシを封入するのも有効です。すでに当該商品を愛用しているユーザーの声が紹介されると、安心感を持てるのでリピート購入に繋がりやすいのです。
このチラシは、購入したユーザーに合わせて、適切なチラシに変えると一層効果的です。
例えば、初めて商品を注文したユーザーの同梱物にユーザー歴半年未満またはリピート回数1〜2回のユーザーの声が載っているチラシにすると、継続のイメージが掴みやすいのおすすめです。
使い方を説明する印刷物
2回目の購入を促したいブランドにとって、一番避けなければならないのが「まだ商品を開封していない」「効果がよくわからない」などという状態です。
それを回避するために必要なのが、使い方を説明する印刷物です。
まずは、使用方法や使用順序をわかりやすく説明し、実際の使用を促します。写真や図解を用い簡単であることを強調することが大切です。
次に、使用量を伝えます。これが非常に大切です。
実際に、使用量が少ないと、効果が感じられない上にもちろん商品がなくならないので、リピートへつながりません。 化粧品などの場合は実寸大で使用量を見てもらいましょう。
クロスセルコンテンツ
商品を購入したユーザーが商品を開封する瞬間は、購入商品と一緒に使用できる商品や、関連商品のクロスセルを訴求する絶好のタイミングです。
このタイミングを有効活用できるように、クロスセルのモニター商品や訴求パンフレットを封入するのも重要です。
「この商品をお買い上げいただいた方は、こんな商品も購入されています。」などの案内をつけて、他の商品の購入を促すのが効果的です。
サブスクリプション・定期コースへの引き上げコンテンツ
挨拶状や使い方を説明する印刷物で購入商品について正しい理解を得られた後に効果が出てくるのが引き上げコンテンツです。
つまり、サブスク・定期コースでの購入を促すパンフレットです。
「定期コースで購入すると1回につき〇〇◯円お得です。」など、わかりやすくお得感を出すことで、モニター商品から定期コースへの引き上げを促せます。
それ以外にも、「今だけもう一つプレゼント」「今だけ〇〇も差し上げます」など価格以外のインセンティブも効果的です。
商品カタログ・パンフレット
特に初回の同梱物の中で一番大切なのが、商品カタログやパンフレットです。
ユーザーはランディングページあるいはECサイトを見て、商品やブランドに惹かれ購入していますが、商品が届く頃にはその内容を忘れています。
さらには、モチベーションが一番高い「購入」の瞬間から、商品が届くまではモチベーションが下がる一方です。
そこで勝因カタログやパンフレットを用い、商品やブランドの素晴らしさを再度伝えることが大切です。
クーポン
購入を促す効果のあるクーポンを送るのもおすすめです。
無料や割引のサービスをプレゼントすることでリピート率が高まります。
たとえば「送料無料」「10%オフ」「1,000円割引」などがありますよ。
オンラインショップを運営している場合は、オンラインで使えるクーポンを発行するのも良いですね。
「5,000円以上の購入で利用可」「2点以上の購入で利用可」など条件を付けると客単価が上がります。
期限を設定すると「この日までに使わないと無効になってしまう……」と感じるため、購入を促す効果が高まりますよ。
アンケート
同梱物を通じて、自社のユーザー情報を集めることもできます。
意見を募るアンケートハガキを入れておくと良いですよ。
ハガキだとポストに投函する手間が発生するため、二次元コードを送付してスマホで入力してもらう方法もあります。
自社のペルソナ像を参考に、適切なアンケート方法を設定しましょう。
お客様の意見を参考に、PDCAを回すことは重要です。 アンケートを活用して、より良い店舗・オンラインショップ運営を目指しましょう。
よくある質問
ここからは、同梱物に関するよくある質問の答えを記載していきます。
細かい疑問を解決する助けになれば幸いです。
チラシの反応率は?
チラシの反応率は、一般的に0.01%~0.3%といわれています。
10,000枚チラシを配ったときに反応する人は1〜30人程度ということになりますね。
効果が高いとはいえない数字ですが、数人の反応をもらえるかもしれません。
反応率は、チラシの内容や配った地域、時期など様々な要因が絡んでいます。
送付する場合は、チラシの内容や地域、反応率などを都度記録しておきましょう。
次の施策を打つときの指針になります。
複数回行って、費用対効果が低いと判断したら止めるのも良いでしょう。
同封と同梱の違いは?
同封(どうふう)と同梱は似たような意味を持っています。
違いは以下のとおりです。
- 同封:封筒に2つ以上のものを入れること
- 同梱:箱に2つ以上のものを入れること
どちらも1つの入れ物に複数のものを入れることを指しますが、入れ物が異なりますね。
「封筒か箱かの違い」と覚えておくとイメージしやすいです。
ただ、封筒の中にさらに別の封筒を入れるときは「同梱」になります。
たとえば、返信用封筒や挨拶状が当てはまりますね。
まとめ
商品の同梱物による施策は、今や多くの会社が実施しています。
同梱物はすべて同様のものではなく、商品の購入経路や頻度によってユーザーを分け、きめ細かく実施することが肝要です。これにより見込み客を固定客へと引き上げるための後押しにつながります。
購入者にとっては商品の到着は特別の瞬間です。その瞬間を大切にして、LTVを最大化できるよう工夫を重ねてみましょう。
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