f1層・f2層・f3層とは?特徴とアプローチ法についても解説!
マーケティングや各種広告の世界でよく聞かれる言葉に「f1層・f2層・f3層」などという言葉があります。
テレビ番組などでも聞いたことがある方はいるかと思いますが、それぞれの層が何を表すのか正しく理解できておらず、何となく聞き流してしまっている方もいるでしょう。
テレビCMを流したり広告を掲載したりするときには、ターゲットを絞る必要があります。特に女性が主要な顧客となる商品の場合に意識したいのが、「f1層・f2層・f3層」です。
今回は、広告や販売促進のターゲットにおける「f1層・f2層・f3層」の意味や特徴、アプローチ法について解説します。
f1層・f2層・f3層とは?
f1層・f2層・f3層とは、広告全般やマーケティングでよく使われる用語で、性別や年代を表すものです。
「f」は女性を表す「female」を意味します。その後に続く数字の1は20〜34歳、2は35〜49歳、3は50歳以上の方になります。
f1層の特徴
既出の通り、f1層とは、「20〜34歳の女性」です。
広告・マーケティング業界などのビジネスの場で、年齢や性別の区分として用いられています。マーケティングでは、特に重視される年代です。
購買意欲が強い
f1層は、f1〜f3層のなかで最も自分への関心が高く、購買意欲が強い年代です。
社会人になって収入を得るようになったことで、特に自分への消費が活発で、化粧品やヘア、ファッションなど自分の外見を磨く商品の購買意欲が強くなっています。
また、トレンドに敏感で新商品や新しいサービスへの消費に対する心理的ハードルが低いのも特徴です。
ただし、近年のf1層は消費にシビアな面があることも否定できません。
自己投資に積極的
f1層の2つめの特徴としては、自己投資に積極的な点が挙げられます。特に20代前半は学生から社会人になり、周りの影響を受けて物事の考え方が変わってくる年代です。
そのためこの層は美容やファッションなど、自分磨きに勤しむ傾向があります。また、他の層と比較して自由な時間やお金があるので、飲み会や旅行などの遊びも楽しみます。
20代も後半になると、スキルアップに積極的になってきます。20代後半は、女性にとって結婚や出産などのことを考え始める年代です。同時に仕事についても、結婚後の仕事のことなどキャリアプランを考え始めます。
流行に敏感
f1層の3つめの特徴は、流行に敏感という点です。
特に20代の女性はSNSを好み「バズる」というワードに反応します。SNSに投稿し、大勢の反応を得られるようなインパクトのある商品に惹かれがちです。
また、ファッションやグルメなどの情報も、「ハッシュタグ」を活用してSNSで収集するのもf1層の特徴といえます。
口コミが盛んな世代で、SNSの活用のほか、ほかの人の口コミを参考にして商品を購入することも多いです。
f2層の特徴
f2層は、「35〜49歳の女性」です。
既婚者が多くなり、子供がいる人の割合もf1と比べるとかなり増えています。そのため、妻や母としての役割を持っている人が多く、消費は家庭で必要なものに向けられがちです。
家庭消費のカギを握る層といえますが、自己投資に対しても意欲が旺盛です。
収入が多く消費が活発
f2層は、既婚女性であれば結婚・出産で家族が増える時期で、未婚女性なら昇進などで給料アップや中高年期の人生を考える時期にいます。
どちらの場合も、住宅や車の購入、教育費など高額消費が活発な時期です。また、投資や資産運用にも積極的になる時期です。家庭で使う品物の決定権を持つ場合が多く、全体の消費金額の底上げをしています。
既婚女性は家族消費、未婚女性は自分消費が活発です。
f2層の消費のつかみ方
f2層の消費行動は、それそれの経歴別に考えるとわかりやすいです。30〜40代は、結婚をはじめ、出産・離職・介護・夫の転勤などさまざまなきっかけに女性の生き方が大きく枝分かれする時期にあたります。
ライフコースも多様化するので、興味や関心ごと、悩みも大きく異なります。そのため、対象の女性がどのライフコースにいるのかを見極めて、動向を捉える意識を持ちましょう。
f3層の特徴
f3層は50代以上の女性なので、子育てが終わっている家庭が多くなります。そのため、金銭面においても余裕が出てきます。
安い商品やサービスを求めるのではなく、高価で長持ちする商品やサービスの消費傾向が高いです。仕事を退職する人も多くなるので、趣味にも時間をかけられるようになり、趣味にかける出費も多くなってきます。
また、f3層の女性はシニア女性と呼ばれることもあります。シニア層の特徴でもありますが、その他の層と比べて健康に気を遣うのも特徴といえます。
f1層・f2層との違い
f3層とf1層とf2層の一番大きな違いは年齢になりますが、女性のライフスタイルや環境も異なります。
働く女性や子育て中の女性が多いf1層・f2層と比べると、f3層の女性は子供がすでに独り立ちしているケースが多く、時間的に余裕があります。
Z世代に響くマーケティングとは?
そもそも「Z世代=OO」という考え方はできません。
その理由としては、Z世代といっても一括りにできないからです。
具体的には、同じ商品だとしても人が変われば、そこへの熱量も当然ながら変わってきます。
そのため、各種商品のターゲットとなる方が「どのような界隈の方なのか」を理解していくことが重要になります。
「F2転換」は関連用語?
F2転換とf1層・f2層・f3層の関連性はありません。F2転換とはオンラインで商品やサービスを購入した顧客が、リピート購入することを表した言葉です。
企業が利益を拡大するためにはF2転換率を算出し、リピーターになった割合を基準に施策を実施したり分析することが重要です。
たとえば、100人の新規顧客のうち10人がリピーターになったのであれば、F2転換率は10%になります。F2転換率を上げることで顧客満足度を測ったり、さまざまな施策の改善につながるでしょう。
f1層〜f3層へのアプローチ方法
ここからは、f1層・f2層・f3層それぞれへのアプローチ方法を解説します。
アプローチ法にも、マスメディアからSNS、スマホアプリなどさまざまあります。f1層より順を追ってみていきましょう。
f1層へのアプローチ方法
f1層は特に情報に敏感で、コスメをはじめ、ファッション、グルメ、美容などのカテゴリーに関心が高い傾向が強いです。
Tik Tokやinstagramのリールなど、動画を使用したアプローチが可能な広告媒体もよく利用されます。
インフルエンサー
f1層に影響を与えるものとしてまず挙げられるのが、「インフルエンサー」です。f1層はネットの検索はもちろん、YouTubeやSNSからさまざまな情報を得ています。
インフルエンサーは、芸能人と比較すると身近な存在です。テレビや雑誌と比べて参考にしやすい点が魅力です。
このようなインフルエンサーが発信した情報に敏感に反応し、紹介された美容やファッション、グルメなどに影響を受け、消費していくのです。
SNS
f1層にとって欠かせないツールがSNSです。
なかでも、特に人気があるのが「Instagram」です。「インスタ映え」などという言葉がある通り、視覚的にインパクトのあるものを投稿し、「いいね」の数で評価している人も多いです。
SNSはそもそもリアルタイムな情報を得られるので、若い世代はテレビや雑誌よりもWebを情報源にしていると言われています。
企業側もf1層を取り込むために、Instagramを中心としたSNSアカウントを開設する例が少なくありません。
スマホアプリ
f1層はスマホアプリをもっとも活用する世代でしょう。近年では、さまざまな企業が専用のスマホアプリを公開しており、好んで着るブランドのセールの情報など、アプリでの情報収集はなくてはならないものとなっています。
また、「Amazon」や「楽天」をはじめとするネットショッピングや「メルカリ」などのサイトを利用しフリマ出品を行う方も多いです。
雑誌
f1層が好んで読む雑誌は、「ファッション」「美容」「ヘアスタイル」など美を中心に取り上げたものが多くなっています。その他20代〜30代前半の女性が読者層の雑誌には、同時に「恋愛」や「デート」などの話題も豊富に持ち込まれています。
なお、この層を読者層に持つファッション雑誌に特徴としては提案するスタイルが幅広くなっています。「ViVi」や「Ray」などのおしゃれ系や「MORE」など働く女性向きのナチュラル系、キレイ系など、さまざまな雑誌が販売されています。
その他
ここまで挙げてきた以外にも、f1層は「サブスクリプションサービス」を好んで利用しています。コスパのよいものを好む若い世代にとって、毎月定額で使い放題のサブスクリプションサービスは非常に便利な存在なのです。
なかでも人気の高いメディアとしては、「Netflix」「Amazonプライム・ビデオ」などの動画配信サービスや「Spotify」「AWA」などの音楽配信サービスが挙げられます。
f2層へのアプローチ方法
30代後半から40代は自分から積極的にネットを活用し、情報を集める世代ではありますが、雑誌やテレビからも情報を集める世代です。
ただし、若いときほどトレンドに対して敏感ではなくなっているので、積極的に雑誌を参考にすることはありません。
この世代の大衆に好まれるのは、ライフスタイル情報誌やヘルスケア情報誌など身近な話題などを取り上げる雑誌、テレビや自分と同様のライフコースや年齢などのブロガーが発信する情報です。
f3へのアプローチ方法
f3層へのアプローチのためのマーケティング手法でもっとも有効なのは、テレビの活用です。
f3層は、すでに定年したリタイア世代もおり、時間がある方が多いのでテレビの視聴が多い世代です。
他の層が仕事や学校などで忙しいお昼時などの時間帯によっては、f3層に向けて放送できるので、この時間帯の番組はテレビショッピングなどを中心にだいたいf3層をターゲットにしています。
雑誌
f3層が特に興味や関心を持っている「健康・美容・ライフスタイル」に関する広告を雑誌へ掲載する手法は、対象がf3であれば非常に有効です。
ほかにも、グルメ情報や芸能関係、ファッション関係など、この世代に向けて情報発信している雑誌も有効策といえます。
f3層のなかでも、とりわけ富裕層を対象にする場合は、会員制で発行されている各雑誌は特に高信頼度が持たれており、効果が高いでしょう。
テレビ
f3層に分類される年代の女性は、ある程度時間的余裕が増えています。テレビ視聴時間も比較的長いので、広告出稿先としてテレビは大きな効果が期待できます。
数あるマスメディアの中でも、新聞に次ぐ信頼性を寄せられており、新しい商品やサービスも受け入れられやすくなるのはもちろんです。
実際テレビの番組構成を分析してみると、f3層を対象にした番組が多いことが分かります。番組間に流れるCMはもちろん、番組と新商品・新ブランドとのタイアップも多いのはこのためでしょう。
ラジオ
ラジオもf3層には、より高い支持を受けています。移動中や作業や家事をしながらでも気軽に聴取できるのがラジオの最大のメリットです。
実際f3層の女性から「ラジオでやってたんだけど…」という話が耳に入ってくることが多々あります。
ながら聞きでは、大した効果がないのではと考える方も多いでしょうが、実は人間の耳は自分が気になる情報は瞬時に察知して、集中して聞き取ることが可能だそうです。
新聞
近頃では、若い世代はなかなか新聞を読まなくなりましたが、f3層は、新聞が社会で最も信頼できるメディアという認識で、「あの新聞に出ていたから」ということで信頼されやすいメリットがあります。
f3層には「とりあえず買ってみよう」という行動はあまり期待できません。「これは間違いなくいいものだ」と信頼される広告を掲載するアプローチ法として見逃せない存在です。
通販カタログ
f3層はネットショッピングよりも、雑誌のようなカタログをめくりながら商品を選ぶ通販が好まれる層です。さまざまな通販サービスがありますが、それぞれに対象を絞り消費者の欲求に働きかけるような通販カタログを展開しています。
また、カタログを郵送する際に、試供品も一緒に送るケースもあります。実際に試すことで欲しくなってしまうことも通販カタログを広告媒体にするメリットです。
美容室サイネージ
f3層の女性は、他の年代の倍以上美容室を利用しているそうです。ここから美容室が広告を発信するメディアとして有効であるのはもちろん、f3層は積極的にお金をかけると考えられます。
また美容室は、毎回同じところに行くことが多く、決まった店舗を利用することが多いです。広告をどこで見たかが重要なf3層の心理を考えると美容室サイネージは有効な方法と言えるでしょう。
その他の層の特徴
ここまでf1・f2・f3に関して詳しく解説してきましたが、もちろん男性にも各層はありますし、子どもなどにもあります。
ここからはその他の層の特徴に関して解説します。
M1層の特徴
M1層は、20〜34歳の若い男性で、学生から若手社会人になります。社会では若い人材として重宝されています。
この年代の男性は、情報に敏感で、新商品にも興味があり、f1層と同様に消費に積極的です。ITに関する知識も豊富で、主にインターネットから情報収集を行っています。
特にビジネスやスキルアップへの関心が高く、会社に属さずに独立したり、副業をして給料と副業収入で整形を立ててる人もいます。
M2層の特徴
M2層は、35〜49歳の男性です。この層は、社会人ではベテランの域に達する年齢です。
既婚者も増え、経済力も若い頃と比べると付いていますが、子供の教育費にお金がかかることや、家庭内での消費の決定権は妻が持っていることが多いので、消費に関してはM1層ほど積極的ではなく投資や貯蓄への興味が高くなっています。
M2層の消費動向は、タバコやお酒の嗜好品や会社の飲み会など、人付き合いや外食が多いのが特徴です。
M3層の特徴
M3層とは、50歳以上の男性です。仕事上の立場も役職についているなど高くなり収入も上がる傾向があり、子供も独立し経済力が一番強い世代でもあります。
または、リタイアしている人も多いです。消費活動は活発ですが、量よりも質も求める傾向にあり「ブランド物や一流の品物を数点だけ」という買い方をします。健康にも気を使い始める年齢で運動や食事にも気を使い始めます。
C層の特徴
C層とは、「Chird・kids層」の略称です。一般的に、幼稚園入園時から小学校卒業までの年齢層を指します。
子供番組や子供向け商品のプロモーションなどでは、C層に向けて取り組みます。その反面、その他の業界からは無視されがちな層ともいえます。
しかし将来的には、f1やM1として成長する世代でもあるので、将来を見据えたマーケティングによるアプローチも重要です。
決して何も行なわなくてもいい層ではありません。
T層の特徴
T層とは、「TeenAge層」の略称です。主に中学生から成人するまでの年齢層を指します。
青年向けの番組や若年層へのプロモーションでは、T層に向けて取り組みます。この年代は、LINEをはじめ、Twitter・InstagramなどのSNSを活用してのコミュニケーションが密に行われています。
情報が流れる速度は非常に早く、流行り廃りが重要視されます。実際、T層の口コミ力は大きく、流行を作り出すためには外せない世代です。
年代別に行うマーケティングは古いのか?
結論から言うと、年代別に行うマーケティングは古いと言えます。さまざまな理由があげられますが、年齢によって顧客像を分けることが難しいことが主な要因です。
たとえば、日本人の平均寿命は年々延びており令和2年では男性が84. 95年、女性が91. 35年と長く、人生100年時代と呼ばれています。
高齢者という認識も変わってきており、昔の50代と今の50代を比べると見た目だけでなく、自分のやりたいことに挑戦するなど中身も若々しい人が増えています。
終身雇用制度が崩壊しさまざまな働き方が生まれたことや、結婚や子供を生むかどうかの選択肢が広がったため同年代でも家庭状況や働き方はバラバラです。
「40代男性なら会社である程度の地位についていて安定した収入がある」だったり、「20代前半で結婚して子供を生んでマイホームを購入するのが当たり前」という常識がなくなりました。
年齢や性別が同じでも、昔に比べ若返っていることや家族構成や働き方が変わったことで、従来の年代別マーケティングが通用しなくなっています。
f1層・f2層・f3層のプロモーション事例
ここでは、f1層・f2層・f3層への具体的なプロモーション事例を紹介します。
F1層へアプローチを広げたサンリオピューロランド
キティちゃんで有名なサンリオピューロランドは、子供に向けたキャラクターのイメージが強く主なターゲットはファミリー層でした。
しかし、90年代後半に「キャラクターグッズを大人が持ってもいい」という認識が広がるとF1層を中心とした大人から人気が出ました。
そこで、2013年以降大人でも楽しめる施設というブランディングを開始し、リニューアルでは大人向けのアトラクションやショーなどコンテンツの拡大を図りました。
たとえば、SNS映えするフォトスポットの設置やキャラクターフードの開発です。他にもサンリオキャラクターと歌舞伎を融合させたミュージカルやパレードを開始しました。
大人女性がカワイイと感じるコンテンツは子供にも受け入れられやすく、ターゲットを広げることに成功しています。
F2層をSNSで集客するつくりおき.jp
つくりおき.jpは、家庭のつくりおきのような手作りのお惣菜を届けてくれるサービスです。
作りたてが冷蔵で届けられるため栄養がしっかり摂れるだけでなく、夕食つくりの大変さや献立の立案や買い出し、食べた後の洗い物から解放されます。
同サービスは、X(旧Twitter)やInstagramを活用したプロモーションを行っています。
たとえば、Xではエピソードを募集するキャンペーンで公式アカウントをフォローした上でエピソードを投稿すれば、5名に5,000円相当のつくりおきポイントがプレゼントされます。他にも新しいロゴ誕生の裏側を発信するなどして、それぞれ2,000以上のビューを獲得しています。
F3層へ多様なプロモーションを行うハルメク
ハルメクは、アクティブシニアと呼ばれる50代・60代の女性に向けた定期購読誌で、日本ABC協会によると2023年上半期において12冊コースで46万部以上の売上です。
同誌では、ユーザーの知りたい情報を提供することに力を入れており、ご意見はがきの封入で月平均3,000枚のコメントをもらったり、リアルイベントやオンラインでのインタビューを活用したりしています。
その結果、アクティブシニアのニーズを的確に捉えたコンテンツ配信に成功しています。
同誌は、SNSを活用した宣伝を有効活用しており1万人のフォロワーを得ているInstagramでは、アンケートを実施したり新サービス「ハルメク365」の紹介や試し読みのコンテンツも提供し、読者の獲得につながっています。
まとめ
f1層・f2層・f3層は、マーケティングを行う上で、重要な年齢層です。テレビCMを始めとする広告においてそれぞれの層の特徴を把握しておきましょう。
近年の円高を始めとする物価高の影響で節約志向が高まり、消費金額が減少傾向にありますが、それでも「f1層」の消費行動は、マーケティングにおいて重要な意味を持っています。
また、ほかの各層においても、既婚、未婚や子どもの有無などの要素で、消費動向は多様化しています。今後はますます細分化したマーケティング手法が必要になってくるでしょう。
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