ECサイトの平均リピート率は?計算方法と改善ポイント9つを解説
EC通販ではリピートによる売り上げが利益を左右します。また、リピート売り上げ向上を目的にKPIを設定する際には広告のようにCPA/CPOで見るのではなく、LTV指標で計測することが重要となります。
EC通販業界でのリピート率の平均、リピート率を上げるための目標の設定の仕方についてお話しします。
INDEX
ECのリピート率について抑えるおきたい基礎知識
ECサイトの運営においてリピート率を高めることや、内容を重視するなら抑えておきたい基礎知識があります。
基礎知識を抑えておくことで、リピート率を効果的に高めることが可能です。
リピート率においては以下の3つの知識を確認しておきましょう。
ECのリピート率
まず知っておきたいのはリピート率のことです。
リピート率とは、一定期間に訪れた新規の全顧客の内、どれほどの人数が一定期間にリピート購入してくれたのかを測定したものです。
リピート率が高いほど新規の顧客は自社の商品に満足しており「再度購入したい」という意欲を持っていることになります。
また、リピート率が高いほど、商品が1度の購入で終わらず再購入してくれる確率が上がるため、企業の売り上げにも影響してきます。
そのため、リピート率を知ることはとても重要なことだと言えます。
リピート率の計算方法
リピート率の計算方法について確認しておくことも大事です。
基本的にリピート率の計算は一定期間のリピート客数÷累計新規顧客数×100=リピート率となります。
例えば、新規顧客数の総数が1,000人だとして、今月のリピート数が200人ほどだったとします。
先ほどの計算式に当てはめてみると200÷1,000×100=20となり、20%がその月のリピート率となります。
リピート率の計算を行うことができるなら、顧客が自社の商品に満足しているのか明確な数値として分析することが可能です。
リピート率の計算方法は難しくないので取り入れてみましょう。
リピーター率との違いは?
リピート率によく似た言葉でリピーター率と言われるものがあります。
この2つの言葉はよく似ていますが、意味が違います。
リピート率は新規顧客の内にどれほどの人数がリピート購入してくれたのかを表す数値ですが、リピーター率は特定期間に購入した顧客の内どれだけリピーターがいるのかを測定するものです。
リピーター率は高いほど良い指標となりますが、リピーター率が高い数値だとリピーターに依存していることになります。
リピート率とリピーター率はこのような違いがあるので覚えておきましょう。
リピーター率の計算方法
リピーター率の計算方法についても確認しておきましょう。
リピーター率は以下の計算方法で求められます。
リピーター率=期間内のリピート顧客数÷期間内の全顧客数
例えば、年間トータルの顧客数が20,000人で年間のリピート顧客数が8,000人のケースで考えてみましょう。
8,000÷20,000×100=40%
リピーター率は40%でした。
5人中2人がリピーターになっています。
逆に考えれば5人中3人は新規顧客だったことも分かります。
リピート率は高ければ高いほどよいですが、リピーター率はそうだとは限りません。
あまりに高すぎる場合はリピータに依存していることになってしまうので、新規顧客の獲得を強化しなければなりません。
リピート率以外で見るべき指標
ECサイトのマーケティングにおいて、リピート率は重要な指標の一つではありますが、他にも必要不可欠な指標があります。これらの指標をバランスよく評価することが、ECサイト運営において成功を収めるための重要なポイントになります。
トラフィックソース
ECサイトに訪れるユーザーの「到達経路」を示すのがトラフィックソースです。Google検索やSNS広告といった媒体から、ECサイトにどうやってたどり着いたのかを正確に把握することができます。この情報から、広告費の配分やマーケティング施策の最適化をすることが可能です。つまり、トラフィックソースはECサイトの成功に不可欠な情報と言えるでしょう。
滞在時間
ユーザーにとって重要な体験のひとつである、「滞在時間」とは、サイト上で過ごす時間の長さを指します。商品購入の可能性が高まるため、滞在時間の長さは重要な指標のひとつです。逆に、短い場合は商品に魅力を感じていないか、サイトが見づらいなどの問題があるかもしれません。滞在時間を意識したWebサイトの改善には、ユーザーの満足度が向上し、ビジネスパフォーマンスの改善につながるでしょう。
直帰率
「直帰率」とは、一度だけページを閲覧してサイトを離脱した訪問者の割合です。高い場合は、魅力的なコンテンツが不足している可能性があります。その原因を調べ、関連するコンテンツへのリンクを提供することが効果的です。
直帰率を下げるには、訪問者が興味を持てる情報やコンテンツを提供することが不可欠です。例えば、サイトで提供している商品やサービスに関する情報の充実や、使い方や活用法の紹介など、満足度やニーズに応える情報を提供することが大切です。
定期通販で意識したい指標
定期購入に特化している場合ではリピート率の重要度が高くなる傾向にあります。それは、リピート率の高さ=離脱率の低さを意味するからです。この章では、定期通販で意識しておきたい指標について解説します。
2回目購入客を表す「F2転換率」
リピート率を測るための重要な指標のひとつが「F2転換率」です。これは、商品を初めて購入してくれた顧客のうち、2回目の購入をしてくれた割合を示します。つまり、100人の回購入者のうち、500人が2回目の購入をしてくれた場合、F2転換率は50%となります。
この率が高ければ高いほど、リピーターとなる割合が大きくなります。F2は「Frequency2(頻度2回)」の略称で、この数字が高ければ、F3以降の販売促進活動にも、より取り組みやすくなるのです。そのため、定期通販などではF2転換率を非常に重視しており、トライアル品の反応を見るためにも、この指標は欠かせません。
LTVとは顧客生涯価値
顧客があるサイトや店で購入した商品の金額の合計を「LTV(Life Time Value)」と呼びます。例えば、300円のサプリメントを10回購入した顧客のLTVは3万円になります。
なぜLTVが重要なのかというと、1人のリピーターが長期的にどれほどの利益をもたらしてくれるかを予測できるからです。この予測ができると、以下のような決定を正確に下すことができます。
- ある程度の広告費用をかける価値があるのか
- 多くの宣伝スタッフを投入する必要があるのか
このように、新規顧客獲得施策を推進するためには、LTVをよく知ることが必要です。
ECサイトにおける理想的なリピート率
通販サイトにおいて、リピート率が重要な意味を持つのは、商品やジャンルによって異なります。例えば、トライアル品を提供し、その後正規品に移行してもらいたい場合は、リピート率が25%から35%程度が望ましいとされています。
一方、健康食品や化粧品などの商品に関しては、ユーザーは同じ商品をリピート購入する傾向があり、その平均的なリピート率は約50%程度だとされています。
また、アパレル系では、お気に入りのブランド以外からもアイテムを揃えたいという人が増えているため、リピート率は35%程度です。
高価な家電製品はリピート率が25%程度にとどまるというデータがあります。ただ、周辺機器などは低価格で頻繁に買い替えるため、リピート率を高めることもできます。どの商品においても、クロスセルにも取り組みながら、顧客を大切にして長期的な関係性を築くことが重要です。
ECサイトにおけるリピート客の重要性
ECサイトを開店してしばらくは、すべてのお客さんが新規顧客です。
そのためリピーターについては考える余裕すらない場合もあるでしょう。
しかし、ECサイトの売上も増えてきて、さらに利益を増やすには、新規顧客をリピーターに育てることが必要です。
パレートの法則によると、2割の要素が全体の8割を生み出すとのことです。
ECサイトであっても、顧客の中に占める人数は、2割のリピーターが、売上の8割を購入するといわれています。
また、リピーターは利益率が高いので、売上以上に利益が大きく向上します。
利益が上がりやすい
リピート率が高いということは、利益が上がりやすいと言い換えることができます。
リピート率が低いにも関わらず売上を伸ばすためには、新規顧客を集めて売上につなげるしかないので、広告を打つ、キャンペーンやイベントなどを行っていくしかありません。
しかし、新規顧客の集客に労力は割かれますがその割に、収益が安定化しません。
新規顧客を多く獲得できた月はよいですが、競合他社の施策や季節によって新規顧客が集まらず売上が上がらない可能性があります。
一方でリピート率が高ければ、新規顧客をひたすら集めることをしなくても安定した収益が出るので、商品の品質を上げたり、新商品の開発に取り組んだりすることもできます。
新規顧客と比較して売り上げが上がりやすい
リピーターに購入してもらうために必要なコストは、新規顧客を開拓するときと比較して低い傾向があります。
一般的に「1.5の法則」といわれるもので、新規顧客を獲得するには既存顧客に追加購入してもらうのと比較して5倍のコストがかかるというものです。
ECサイトのユーザーになってもらうには、まずは取り扱いアイテムを知ってもらう必要があるので、広告費などの費用がかかります。
アイテムを認知してもらったあとも、無料サンプルを提供したりメールマガジンで商品説明などを行わないと購入にはつながらないのです。
リピーターであれば、すでに商品のことを知っていますし、ECサイトの使い方も熟知しています。
ずばり、ECのリピート率の平均は?業界別に解説
皆さんは自社のリピート率を把握されていますか?
「リピート率」とは、全体の人数のうちリピート購入をしたことがある顧客の割合のことです。
「リピート」とは、一度以上自社の商品を購入したことがある顧客が再度購入することを指します。<>n>
例えば100人の顧客のうち1年間に10人の顧客が2回以上購入(リピート)すれば、リピート率10%(年)となります。
ECサイト全体の平均リピート率
そもそもECサイト全体において、一体どれだけのリピート率があるのでしょうか?
まずは全体のリピート率から把握していきましょう。
月の新規獲得件数や商材によっても多少変動はありますが、全体では購入後何もフォローをしていない店舗のリピート率はおおよそ、15~18%です。
つまり80%以上のお客さんは離脱をしています。
逆に対策をリピート率を高めるために購入後のフォローを行っている店舗はどうでしょうか?
フォローを行っている店舗は、30~40%という数字となっています。
業界によって、数値は前後しますが、対策を行うことによって、2倍近くのリピート率を保つことができます。
リピート率を上げるための施策は、後半で解説していく内容が大切になっていきます。
健康食品・化粧品業界の平均リピート率
栄養ドリンクやゼリー飲料といった健康食品や化粧品を取り扱うECサイトの平均リピート率は、平均50%と高い数字を保っています。
健康食品や化粧品は日ごろから消耗品として使われることが多く、EC業界においても、比較的人気のある商材です。
また、自社だけでなく、他社でも取り扱っている消耗品を販売する場合は、差別化をすることが大切になって来ます。
というのも、ユーザーにとって同じ商品であれば送料無料やポイント付与、最安値かどうかが商品を選ぶ判断基準となるからです。
定期購入や初回モニター、会員ランク制度などに施策を積極的に設けて、継続して自社のサイトで商品を購入してもらう仕組みを取り入れていくことが大切になります。
アパレル業界の平均リピート率
アパレル業界における通販サイトの平均リピート率は、およそ35%と言われています。
アパレル業界では一度自社の服を気に入ってくれたら継続して何度も購入してもらえる傾向にあるため、比較的高い数値になっているといえるでしょう。
また、ブランド力が高い通販サイトにおいてはリピート率が50%近くになることもあります。
しかし、アパレル業界は競争率が高い市場ともいえます。
単純に他社に比べ、質の高い商品を作る事も大切ですが、継続して商品を購入したくなるような工夫を取り入れることが大切です。
季節に合わせた商品の充実度やクーポンの配布、近年においてはLINE公式アカウントやTwitterやInstagramといったSNS活用の重要度も増しています。
スーパーマーケットのリピート率
スーパーマーケットは小売業に分類されます。
取り扱っている商品が食品から日用品と毎日消費される物が多く定期的に購入される確率が高いです。
その為平均リピート率は30~50%といわれており、アパレル業界と同様リピート率はかなり重要な業種といえます。
小売業は取り扱っている商品が幅広くある為、ジャンルによってばらつきはありますが全体的に見てもリピート率は高い傾向にあります。
注意点として、自社ブランドでない商品の場合は他社との競合が激しく、送料無料やポイント付与といった差別化が重要となります。
家電業界の平均リピート率
家電業界の平均リピート率は、25%とやや低めな数字となっています。
家電業界における商品として、パソコンやテレビ、洗濯機などが挙げられますが、どれも高価なものとなっており、頻繁に買い替える商品ではないことが数字が低い原因です。
こういった高価で買い替えの少ない商品を取り扱う場合は、本体だけでなく周辺機器や便利グッズを積極的にアピールしていくことでリピート率の改善が期待できます。
パソコンの場合、マウスやキーボード、ディスプレイといったような周辺機器を販売し、顧客との関係性を保ち続けることが大切です。
大前提リピート率を上げるには、顧客の満足度を上げる必要があるため、商品購入後のアフターフォローなどのサポートを取り入れることも視野に入れると良いでしょう。
旅行業界のリピート率
旅行業界のリピート率の平均値は、45%と高めです。
旅行業界のリピート率の高さは、次回の手続きが簡略化されるのが理由の一つです。
基本的に会員登録が必要なので、住所・氏名・支払い方法をサイトに記憶させます。
別サイトにも登録しようとすると、二度手間になり、個人情報を複数のサイトに入力するのに抵抗があることが、リピート率を高める要因と言えるでしょう。
宿泊先やコースを容易に比べられたり、割引があったりとユーザビリティのよいサイトを構築するとリピート率のアップにつながるでしょう。
インテリア業界のリピート率
インテリア業界のリピート率の平均は25〜35%前後です。
インテリアは、食品やアパレルと異なり頻繁に購入するものではなく、一度購入すると長期に渡り使い続けるため、購入する機会は多くはありません。
そのため、次回購入までの期間が長くなるので、ブランド力を土台にして一度購入した顧客と長期にわたりつながり続けるためのコンテンツが大切です。
また、商品的に客単価が高いので、カゴ落ちやサイトからの離脱を防ぐような施策によって購入を検討中の顧客を逃さないことがリピート率や売上の向上に重要です。
なぜリピート率を上げることが大切なのか
リピート率の上昇は、リピートの売上が伸びていることを意味しますが、リピートがなぜ大切なのか見ていきましょう。
新規顧客に対しては広告費を投下し集客をしているかと思いますが、「広告」というのは会計的には変動費です。C 家賃など月々の支払額に変動がない固定費に対して、広告など月々に出稿する金額が変わるものは変動費になります。(もし広告費用は変動していないという場合は広告代理店との話し合いが必要かもしれません。)
例えば、商品の単価が500円、その集客のために10,000円の広告費をかけ10人獲得したとします。
この場合、1顧客1,000円で獲得したことになります。(CPA1,000円となります)
しかし、EC通販進出の煽りを受け、広告を出稿したい企業は年々増え続けています。
そのため、出稿費用は変動し一定の金額で運用し続けることはできないのです。
また、広告に投下するコストも年々高騰しています。
10人獲得するのに15,000円がかかるようになると、1顧客1,500円となり初期のマイナスが大きくなってきます。
売り上げが下がれば予算は縮小し、使える金額が限られてくるので、広告による新規顧客獲得自体も難しくなります。
そこで新たな予算を生む施策として、リピートによる売り上げ向上の対策が重要になります。
現在のリピート率が15%とした場合、倍の30%にすることが出来れば、広告費をかけずに売り上げを作ることが出来ます。
広告出稿の最低金額が30~50万円位であるのに対して、メールの1配信あたりの単価は0.2円程ですので、既存顧客(一度以上自社で購入履歴がある顧客)がメールから再度購入してくれればかなり費用を抑え売り上げを作ることが可能です。
オフライン通販に比べ、顧客の情報や属性を取得しやすいため、1to1に近い施策が行いやすいのがEC通販です。
顧客の属性(どの広告から流入したのか、興味がある商品、年齢(誕生日)、など)を購入フォーム等より取得することができるためリピートしやすい顧客の傾向を把握しやすくなります。
テレビや新聞のように不特定多数の人に向けてリーチするよりも、興味がありそうな人や優良顧客の特徴と似ている顧客に対して配信を行ったほうが少ないリソースで大きな成果を上げやすいのです。
また、「リピートの売り上げを作ること」は以下の3つの点からも有効といえます。
・新規顧客獲得コストの削減につながる
・顧客の嗜好や傾向を把握しやすくなる
・プロモーションへの投資が可能となる
それぞれリピート率向上がどのように作用するか見てみましょう。
新規顧客獲得コストの削減につながる
ECサイトにおいて、リピート率が向上することは、新規顧客獲得コストを削減する効果があります。
これは、リピート顧客は既にそのECサイトに興味を持ち、信頼を築いているため、新規顧客を獲得するために必要な広告やマーケティングコストを削減することができるからです。
例えば、リピート率が高いECサイトでは、リピート顧客が商品やサービスに再び興味を持ってくれるため、広告費用を使わずにその顧客層に直接アプローチすることができます。また、リピート顧客が満足度の高い口コミを発信することで、新規顧客を獲得することも可能です。
一方で、リピート率が低いECサイトでは、新規顧客を獲得するために広告やマーケティングコストを多く費やす必要があります。また、初回購入者に割引などの特典を提供することもありますが、そのためにかかるコストも高くなる可能性があります。
つまり、リピート率が向上することは、新規顧客獲得コストを削減することにつながるため、ECサイトにとって重要な指標の一つであると言えます。リピート率を高めるためには、商品やサービスの質を向上させることや、顧客満足度を高めるための取り組みを行うことが必要です。
顧客の嗜好や傾向を把握しやすくなる
ECサイトにおいて、リピート率が向上することは、顧客の嗜好や傾向を把握しやすくなるというメリットがあります。これは、リピート顧客が何を購入しているか、どのような商品に興味を持っているかなど、彼らの購買履歴からデータを収集し、分析することができるからです。
例えば、あるECサイトでファッションアイテムを購入したリピート顧客がいた場合、その顧客が過去に購入した商品の情報を基に、その顧客の好みやスタイル、傾向を把握することができます。
そして、その顧客に合わせたターゲティング広告やメールマガジン、オススメ商品の表示など、カスタマイズされた情報を提供することができます。これによって、リピート顧客が再びECサイトを訪れた際に、自分に合った商品や情報を簡単に見つけることができ、より良い買い物体験を提供することができます。
また、顧客の嗜好や傾向を把握することで、商品開発やサービスの改善にも役立ちます。
例えば、特定の商品がリピートされる傾向がある場合、その商品の特徴を分析し、同じカテゴリの商品の改善や新商品の開発に活かすことができます。
以上のように、リピート率が向上することで顧客の嗜好や傾向を把握しやすくなり、それを活用することでよりカスタマイズされたサービスや商品提供が可能になるというメリットがあります。
プロモーションへの投資が可能となる
ECサイトにおいて、リピート率が向上することは、プロモーションへの投資が可能となるというメリットがあります。これは、前述の通りリピート顧客が増えることによって、新規顧客獲得に比べてコストが低く済むため、マーケティングによるプロモーションへの投資が増えるからです。
例えば、あるECサイトでリピート率が向上した場合、それだけECサイトを利用する人の数が増えることになります。この結果、新規顧客を獲得するために必要な広告費用や販促費用が削減されるため、その分をプロモーションに投資することが可能になります。
また、リピート顧客が増えることによって、サイト内での商品の評価や口コミの数が増えることもあるため、それを活用したプロモーション戦略を展開することができます。
さらに、リピート顧客が増えることによって、ECサイト内での購買頻度が増えるため、特定の商品やカテゴリーにおいて売上が増加する可能性があります。その場合、その商品やカテゴリーに特化したプロモーションを行うことができます。
以上のように、リピート率が向上することで、新規顧客獲得に比べてコストが低く済むため、マーケティングによるプロモーションへの投資が増えるというメリットがあります。このような投資が増えることで、ECサイトの成長や発展を促進することができます。
顧客満足度の1つの指標となる
リピート率は、消費者の商品やサービスに対する満足度を図る目安にもなります。
リピート購入を続けてくれるということは、商品、サービスや企業に満足度や魅力を感じていると思われるからです。
逆にリピート率が低い場合には、商品やサービスを工夫する必要があります。
データを元にして商品の品質改善に取り組んだり、新商品の開発に活かしたりすることで、顧客に喜ばれる商品を増やすことができ、サイトの価値も上がるでしょう。
リピート率が下がる原因は何か
リピート率を向上させることは広告費などのコストが売り上げを上回らないようにするために必要な課題です。
その為に様々な施策が考えられると思われますが、その結果売り上げが下がってしまうと本末転倒です。
リピート率が下がる原因を先に押さえておくと、不必要なリスクを避けて堅実な施策を立てることができます。
課題は企業によって様々なので、代表的な原因を解説します。
商品の印象が残らない
顧客が商品を購入した後、印象が全く残らないとリピートどころか自社サイトの存在すら忘れられてしまいます。
競合他社は沢山いるため、顧客から見れば似たような商品が世の中に溢れています。
特にアマゾンなどのショッピングモールで買い物をした場合、ショップ名を覚えていることは稀でしょう。
予防策は購入後にDMやSNSのアカウント等に接点を持ち定期的に情報発信を行うことです。
定期的に顧客と接点を持つことで、顧客が「この前買い物をしたサイトかな」と印象に残すことができます。
競合が多い商品を取り扱う場合は、如何に他社ではなく自社の商品を印象に残すかが重要なポイントとなります。
「買って良かった」と感じてもらえなかった
ハイブランド等の高額商品を購入した時に起きやすいといわれています。
顧客が商品を購入した後「期待通りの商品なのか」「他に安く変えたショップはなかったのか」と不安になることがあります。
これはバイヤーズリモースと呼ばれ、購入後に感じる不安な感情をただ解消したいだけの心理状態といわれています。
解決策は顧客が商品に対して理解し納得することです。
考えられる予防策は、顧客が納得できる商品説明やアフターフォローを丁寧に実施したり使用した後の感想をヒアリングしたりすることです。
顧客へ安心と納得を提供できればバイヤーズリモースの予防だけでなくリピートにも繋がります。
季節性や継続性の影響
取り扱う商品の特性によってはリピート率が低下する場合があります。
一度購入したら再購入の必要がない買い切りの商品である場合は自然とリピート率は低下します。
リピート率を上げたいのなら、定期購入が可能な消耗品を採用したり同時購入によるクロスセルが狙える商品を追加したりする必要があります。
初回購入時とリピート時で金額などにギャップがある
お試し期間を導入すると、初回購入のハードルが下がり初回の購入率は高くなる傾向にあります。
しかし、顧客から見ると「安いから購入した」という動機であるケースが多く、2回目以降の購入は値段が本来の価格に戻るためリピート率は低下します。
初回から値引きなしで購入した顧客の場合「この商品には値段相応の価値がある」と理解または納得をして購入する場合が多いため、リピート率は前者と比較して高い傾向にあります。
初回購入時とリピート時のギャップは少ない方がリピート率は上がりやすいです。
リピートを促す施策を行っていない、内容が薄い
当然ではありますが、リピートを促すための施策を何もしていないとリピート率は低下します。
経営者が昔ながらの価値観を持っていて「新規顧客をとるほうが重要だ」「わが社は新規開拓で成り上がってきたんだ」といったスタイルから抜け出せないでいる場合は注意が必要です。
新規顧客に気を取られて既存顧客を蔑ろにしてしまい、結果としてリピート率は下がり客足は遠のいてしまいます。
新規に立ち上げた企業でもこの原因に陥る傾向にあります。
この場合、まだ体制が整っていないという理由から「リピートは欲しいけど、何をしたらいいかわからない」と顧客分析もやらずに我流で施策をしてしまい、結局顧客ニーズに応えることができず売り上げが下がるという事態になりがちです。
リピート率を上げるポイント
リピート率を上げるには、どのような方法があるのでしょう。
ここでは、具体的な施策について解説します。
データ分析から施策を行う
リピート率を上げるためには、リピーターの属性を確認することが重要です。
リピーターになりやすい特徴や離脱しやすいユーザーの特徴を把握することで、施策が取りやすくなります。
また、商品ごとのリピート率が高い商品、低い商品を比べれば、ユーザーの需要がはっきりするでしょう。
データー分析を行い、顧客の離脱を抑えられるという仮説が立てられたら、すぐに実行に移しましょう。
アフターフォローを充実させる
購入後の手厚いフォローは、リピート率の向上に効果的です。
初回のユーザーに対しては、2度目の購入を促すための施策が必須です。
初めて商品を購入していただいたユーザーに対しては、商品の説明や情報をフォローメールで送りましょう。
また、サンクスメールや発送状態の確認メールを適時送ることで商品や会社にとってよいイメージを植え付け2回目の購入ハードルを引き下げることが可能です。
リピーター向けの特典を用意する
リピート購入者に対して特典を用意しておけば、再度購入へのハードルが大きく下がることがあります。
代表的なものとしては、割引やノベルティの配布などがあります。
また、ポイントやクーポンのプレゼントをしてサイトを訪れたくなるように仕向けるのも有効な方法です。
ほかにも会員ランク制を用いて優遇サービスの実施、リピーター限定の割引なども有効です。
会員ランク制はランキングが上位に上がるほど、一般会員では利用できないサービスを受けられる仕組みです。
WEB広告やSNSを活用する
InstagramやLINEのアカウントを所持している場合は、アカウントへのフォローや登録を依頼しましょう。
Instagramは、新商品のプロモーションやキャンペーンの案内に活用できます。
Instagramのフォロワー限定で割引や企画を行えば登録が増えます。
LINEもお友だち登録をしてもらえば、直接店舗のサイトへの導線を確保できるでしょう。
またWEB広告を活用して顧客の目に情報を届ける場面を増やせば、休眠顧客になってしまうのを防いだり、サイトや企業に愛着を持ってもらったりする可能性が上がります。
キャンペーンの実施
定期購入割引や購入特典、送料無料、早割と呼ばれる早期購入割引など、リピーターにとって魅力的なキャンペーンを継続して行えば、消費者との関係が深まりリピート率の向上が期待できます。
ただし、割引率が高いキャンペーンはもちろんリピーターの購入を促す効果が大ですが、あまり多く実施してしまうと利益が減ってしまいます。
また、「次のセールまで待とう」という意識が働く可能性もありますので注意が必要です。
サイト改善
顧客目線を持ち、サイト全体の問題点を改善すれば、リピート率の向上につながる可能性があります。
例えば、サイトのデザインの変更や購入までの導線の見直し、離脱率の高いページの見直しなどさまざまな施策を行いましょう。
サイトの信頼性は、商品の品揃えや価格よりも。ECサイトを利用するユーザーが重要視するのです。
ユーザーの信頼性をつかめるサイトかを客観的に考え改善しましょう。
リピート率を上げるためのKPIの設定の仕方
では、どのようにリピート率を上げるための目標設定を行えば良いのでしょうか。
まずは、自社の継続率・離脱率を把握することです。
リピートの売り上げを伸ばす施策は主に以下の3つです。
1.フォロー施策
一部新規向けに使われるものもありますが、メール、DM、アウトバウンド、広告配信、LINE(LINE@)、SNS(Facebook、twitter等)、自社アプリ、ポイント制度などが当てはまります。
2.キャンペーン施策
送料無料、定期施策、優良・休眠顧客向けのステータスに合わせたコンテンツ。
3.サイト改善(購入しやすい同線にすること)
購入までにページ遷移が少ない、購入方法が明確、商品または会社に対して信用することができる。
リピートによる売り上げは、いきなり飛躍的に上がることはありません。施策を重ねコツコツと顧客との関係を構築し、信頼感を得ることが大切です。
リピート獲得に成功している企業のECサイト事例5選
ECサイトにおいて、リピート率の向上はビジネスの成長につながる重要な要素です。
そこで、この記事では、リピート獲得に成功している企業のECサイト事例5選を紹介します。
これらの事例は、顧客ニーズに合わせたサービスや商品の提供、顧客満足度の向上、顧客ロイヤルティの獲得などを実現しており、リピート率向上の成功例として注目されています。それでは、以下に5つのECサイト事例を紹介します。
1.ラクスル
■アンケート調査と顧客満足度の把握
ラクスルは、印刷物のデザイン・注文ができるECサイトです。リピート獲得に成功している理由は、顧客満足度を高めるための取り組みが徹底されている点にあります。例えば、注文した商品のデータを保存しているため、再注文が簡単にできるようになっています。また、注文前には必ず確認画面が表示されるため、誤った注文を防ぐことができます。さらに、商品が届いた後にアンケート調査を行い、顧客満足度を常に把握しているという点も注目されています。
2.UNIQLO(ユニクロ)
■会員制度の充実
ユニクロは、オンラインストアにおいて、会員制度の充実によりリピート率を高めています。会員登録をすることで、商品の購入履歴やお気に入りアイテムの保存が可能になり、よりスムーズな購入体験が提供されます。また、会員限定セールや特典の提供も行っており、リピート率の向上に成功しています。
3.MUJI(無印良品)
■オンラインストアでの会員特典
MUJIは、オンラインストアにおいて、会員限定の特典を提供することで、リピート率を高めています。会員登録をすることで、商品の購入履歴やお気に入りアイテムの保存ができるだけでなく、会員限定セールやポイント還元キャンペーンなどの特典を提供しています。
4.オイシックス
■顧客とのコミュニケーション
オイシックスは、有機野菜や健康食品などを扱うオンラインスーパーです。リピート獲得に成功している秘訣は、定期購入やメールマガジンなど、顧客とのコミュニケーションを大切にしている点にあります。定期購入をするとポイント還元や送料無料などの特典があり、また、商品の発送前にメールで確認が来るため、信頼感も高いとされています。
5.キャンドゥオンラインストア
■店舗とオンラインの販売チャネルを連携
キャンドゥオンラインストアは、100円ショップのキャンドゥが展開するECサイトです。リピート獲得に成功している理由は、商品の価格帯が低いことや、季節やイベントに合わせた商品のラインナップを揃えていることにあります。また、キャンドゥの店舗で商品を購入したことがある顧客には、オンラインストアのURLが記載されたパンフレットを渡すなど、店舗とオンラインの販売チャネルを連携させている点も注目されています。
ECリピート率を改善するための9つの施策
EC通販において安定的なリピート率を維持、向上するために念頭に置いておくべきポイントを7つ紹介していきます。
リピート率の改善にあたってある程度ポイントを押さえておくことで、効率的にリピート率を改善することができます。
顧客データの分析
顧客データを分析することは、リピート率の向上においてとても重要な要素です。
EC通販のユーザーの性別や傾向といった顧客データを正確に分析することは、リピート率の改善を含めたEC通販全体の運営パフォーマンスの向上のひとつの指針として役立ちます。
クロスセル・アップセルを活用
EC通販においてクロスセル・アップセルといったマーケティング戦略を活用することも、リピート率の向上において重要なポイントの一つです。
ユーザーの心理的傾向を把握し、クロスセル、アップセルそれぞれの戦略を導入することによってリピート率の維持や改善にも大きな効果を発揮します。
サービス内容の確認
リピート率の改善を視野に入れた際に、EC通販のサービス内容を確認し、正しく認識し直すことも有効な手段です。
改めて確認したEC通販のサービス内容と顧客分析によって得たデータを照らし合わせることで、よりユーザーを深く理解できます。
結果的に、ユーザーにとってリピートしたいと思わせるようなサービスの提供に直結することができる方法といえます。
リピートによるインセンティブの付与
EC通販でリピート率を改善するには、ユーザーへのインセンティブによるリターンも大事なポイントの一つといえます。
ユーザー側のリピート基準として、インセンティブなどの還元システムが一つの大きな指標になる可能性が高いです。
インセンティブなどのリターンシステムを充実させることで、ユーザーにとってリピートする価値のある魅力的なサービスに映ります。
メールやDMなどで顧客との接点を作る
コンテンツやサービスに関する情報を広範囲のユーザーに伝達することもリピート率の向上には有効な手段です。
具体的な手段として挙げられるのが、メールによる通知や近年高速度で普及したSNSにおいてのDMなどがあります。
逐一サービスに関する情報を発信し積極的にユーザーとの接点をつくっていくことで、ユーザーの関心が高まり再度EC通販を利用しようと考えるユーザーも増加していきます。
販促活動を定期的に行う
定期的な販促活動も、長期的なリピートユーザーの増加には効果的です。
例えば広範囲のユーザーに印象的な広告を打ち出したり、ユーザーにとって有益なイベントや企画などを開催したりすることが販売を促進するための活動として挙げられます。
また、ユーザー向けに割引クーポンを発行する等のユーザーの目を引きやすい方法もリピート率の改善には効果的です。
顧客情報を管理するツールを活用する
EC通販のリピート率に効果的な手段として、顧客情報を管理するツールの導入も挙げられます。
顧客情報管理ツールは、顧客の情報を精査する際に、その作業を様々なシステムで効率化してくれるツールです。
リピート率の改善を行う場合は、顧客データを正しく管理して自社の課題や長所を認識することがとても重要になります。
顧客情報の管理を効率化することは、リピート率の改善に大きな効果を発揮します。
メルマガを配信し顧客に情報を伝える
メルマガは、購入してくれた消費者に直接アプローチできます。
ダイレクトメールと比べると開封率が若干低くなることは否めませんが、コストがあまりかかりませんので気軽に配信できます。
また、顧客の状況に応じて細かく区分できるのもメリットです。
初回購入者・購入して3ヶ月後・全顧客・年代を分けての顧客向けなど対象を絞った施策に有効です。
メルマガから直接ショッピング画面に案内可能なので、ECサイトに非常に向いている施策です。
ただし、あまりに多く送信してしまうと、悪印象を持たれてしまうので注意が必要です。
ポイント・クーポンで顧客に特典を与える
リピート率改善のためには次回利用時に得をしてもらう仕組みを作る必要があります。
リピート購入にクーポンやポイントなどのメリットを付与することで、顧客を離脱しない仕組みを作りましょう。
クーポンには、使用期限を設定すれば「早く使わないと」という気持ちになる効果も期待できます。
他の手段と併せることで効果的な施策です。 同梱物やDMなどの一部として配布しましょう。
ECのリピート率向上に取り組みたい方へ
リピート率を向上し、LTVを最大化させるためには地道な施策が欠かせません。
リピート率向上の施策を支えるために、しっかりと顧客分析を行い、施策の効果検証をすることが重要となります。
大切なことは、顧客分析・CRM施策・効果検証の3つを一気通貫して行うことです。
分析から効果検証まで、一貫して行うためにオススメなのは弊社が提供するツール「うちでのこづち」です。
「うちでのこづち」はEC通販に必要な分析をボタンひとつで行うことができ、施策の効果検証も簡単に行えます。
施策を行った結果、リピート率にどれくらいの変化があるのか、商品の転換先はどこなのか、これらEC通販に必要な分析を簡単に行うことが可能です。
リピート率の向上、LTV最大化に課題をお持ちの方は、お気軽にご連絡ください。
お問合せはこちら
最新のEC・CRM事例やノウハウ、事業者対談セミナー・記事などマーケティングに役立つ情報をお届けします。