CRMツール導入費用と選定における考え方を解説!
CRMツールを選定すべきポイントの1つとして、『費用対効果』を挙げる通販事業者は多いはずです。この記事では、CRMツールを選定する際における目安と費用対効果の考え方について解説していきます。
INDEX
各CRMツールごとの導入費用について
昨今、企業において顧客情報を効率的に管理するシステムであるCRMツールが導入されるケースが増えてきました。
そこで気になるのが導入の際に発生する費用。CRMツール導入の際には初期費用・月額費用と大きく2つの費用が発生します。
今回は、CRMツールの種類別の導入費用について詳細を解説していきます。 CRMツール導入を検討されている事業者様は是非参考にしていただけたらと思います。
CRM(顧客管理システム)の基本機能やSFA(営業支援システム)の違いに関しては、以下をご覧ください。
クラウド型CRMツールの導入費用
クラウド型CRMツールとは、インターネット上にあるクラウドサービスにログインして使用するツールになります。クラウド型CRMツールに掛かる費用について解説していきます。
クラウド型CRMとは
クラウド型のCRMとは、インターネットのクラウド上のシステムにログインして使用するCRMです。
クラウド型のCRMは、クラウド上のシステムを活用し、CRMを運営する会社のサーバーにデータを保管します。
そのために、利用者は自分でサーバを準備したりシステムを保守する必要はありません。
利用者はCRMの契約をして、利用できるアカウントを発行してもらうだけです。
そのため、初期費用が安価あるいは無料であるケースが多いです。
セキュリティ面でも大手企業が提供しているクラウドサービスであれば、大きな問題はないでしょう。
クラウド型CRMツールの初期費用
クラウド型CRMツール導入の際に掛かる初期費用は無料~約5万円になります。
クラウド型は運営会社が持つサーバーにデータを保存して使用します。ユーザーはサービス利用の契約を結びアカウントを発行してもらうだけなので開発費用などは必要ありません。
そのため初期費用は無料の場合が多いです。使用したい機能についてオプション費用や別途カスタマイズをしたい際に費用が発生するという仕組みになっています。
クラウド型CRMツールの月額費用
クラウド型CRMツールの月額費用は1人のユーザーごとに使用料という形で月額費用が設定されています。 そのため使用するユーザーの数によって月額費用が変動するわけです。
使用料の相場は1ユーザーあたり月額500円~1,000円程度になっています。なのでユーザー数が10人だとすると月額料金が最大10,000円ほどになるという計算になります。
利用サポートなどのサービスやオプションを付与するともちろん高額になる可能性がありますので、見積もりを取り検討しましょう。
クラウド型CRMツールのオプション費用
クラウド型CRMのオプション費用とは、主にCRMの基本システムに機能を追加する際の費用やサポート費用です。
サポート費用には、使用方法の指導や使用中のトラブルの対応も含まれます。
オプション費用は必ずかかるわけではありません。
しかし、使用したい機能やツールによっては費用が必要になるケースがあります。
一口にオプションといっても、対応サービスは多岐に渡り、明確な料金設定や費用相場はありません。
多くのオプションを付けると費用が高額になるケースもあります。
あらかじめ必要な機能を理解したうえで、見積もりを取りましょう。
オンプレミス型CRMツールの導入費用
オンプレミス型CRMツールとは、自社にサーバーを設置して自社で運営する方式のCRMツールになります。 クラウド型よりも費用の相場は高額なため、まとまった金額を用意する必要があります。
オンプレミス型CRMとは
オンプレミス型のCRMは社内のパソコンにソフトウェアをインストールして使用するCRMです。買取型でライセンス料を支払い製品を利用します。
そのため、利用者の希望で必要な機能をシステムに追加するなどのカスタマイズが可能です。
また、顧客情報は自社サーバー内に保管されるので、外部への情報流出が防げます。
タイプによってはオフラインでも利用でき、オンラインで利用できる環境を整えれば、外出先であってもスマートフォンで操作ができます。
<>p一方で、導入後のサーバーメンテナンスや障害の対応は利用者側で行いますので、メンテナンスができる人材の確保が必須です。
オンプレミス型のCRMは、初期段階だけではなく人材や設備など社内環境の整備でCRMツール以外にかかるコストも高くなっています。
オンプレミス型CRMツールの初期費用
オンプレミス型CRMツールの初期費用は20人ほどで仮に利用するとおくと50万円~200万円ほどになります。 費用の内訳としては、
- サーバー設置費用・・・5万円
- パッケージ料金・・・5万~10万円
- ライセンス発行料金・・・2万~10万円(1ユーザーあたり)
になります。 自社のネットワーク環境を使いたい機能によって違いますので、クラウド型に比べると大きく異なります。 都度見積もりが必要な場合がありますのでご注意下さい。
オンプレミス型CRMツールの月額費用
オンプレミス型CRMツールの月額費用は主にサーバーの保守管理費用になります。 費用の相場は5万~30万円/年になっており、月額というよりは年額で一括という場合が多いです。
自社にサーバーを設置するため保守責任は自社にあり定期的に点検を行い運用しなければなりません。費用も安くはないですが、裏を返せばセキュリティ面はクラウド型よりも強固になります。
何かしらのアクシデントが発生しインターネットが使用できなくなってもシステムを使える点はメリットです。
独自のカスタマイズCRMツールの導入費用
自社用に0からカスタマイズし開発されたものをカスタマイズCRMまたはオリジナルCRMツールと呼びます。 カスタマイズCRMツールの場合、費用は約100万円ほどになります。 費用の内訳は、
- 仕様要件の確定費用:20~25万円
- テスト・改修費用:15~25万円
- システム開発費用:60~75万円
になります。 上記はエンジニア1人あたり約5万円の費用が掛かるとしたケースで算出されたものです。 ツール開発会社やカスタマイズ内容によって大きく異なりますので、昨日の取捨選択と複数の見積もりをする必要があります。
独自のカスタマイズCRMツールとは
サービスが多様化している現代に合わせたパッケージ製品ではなく、自社サービスに特化した、無駄がない製品が独自のCRMツールです。雛型がなくオリジナルのシステムを開発します。
自社で使いやすいスタイルにシステムを構築できる点が大きなメリットです。
一方で、オリジナルの顧客管理システムを導入する際は、自社の用途に合わせた設定やシステム開発が行われるので、費用はもちろん、工数も必要です。
すでに自社システムで顧客情報などを管理、連携している場合を除き、無理に独自のCRMツールを開発する必要性は決して高くありません。
導入費用はCRMツールによって異なる
CRMツールの導入費用はタイプによって大きく異なることが理解していただけたかと思います。適したタイプを選択肢して複数会社から見積もりを取得し検討しましょう。
ただどのように選択すればよいのか分からないという場合があるかと思いますので、以下からはCRMツール選定における考え方について解説していきます。
CRMツール選定における考え方
ツールを検討される選定基準は各企業によってそれぞれ異なります。細かく見れば多数存在しますが、大きく分けると下記3つに分類されるでしょう。
- 操作面
- 機能面
- 費用対効果
操作面
①操作面に関しては、ツール導入後いかにツールを使いこなすことが出来るかといった指標を最重要事項として考えます。条件から判断するとECのご担当者1名~3名の少人数で回しており、かつ業務が手一杯の企業に多い傾向にあります。
またCRMをこれから始めようという企業や、顧客の分析をする際にエクセルのマクロなどを使用し、加工するといった手動作業に限界を感じ、分析指標をツールによって自動で抽出したいといった企業に需要があります。
機能面
②機能面に関しては、KPIがより明確に定まっており、通販事業者側とツール提供者側のやりたいこと、出来ることが一致した場合に当てはまりやすい選定基準です。
例えば施策としては、休眠顧客限定での掘り起しのキャンペーン施策、定期通販企業であれば解約理由ごとの復活施策、アパレル企業であればポイント失効期限を促すメルマガ配信施策など各企業の商材、規模、考え方によってそれぞれやりたい施策は異なります。
また機能面を最重要事項に置く企業の特徴として、過去にCRMツールを利用していた企業や最低限の指標だけでは満足出来ず、より細かい指標での分析を期待する企業がという特徴も多く見られます。
機能面を重要視する場合、操作性とは異なり
ツールの難易度 < 機能の充実
となるケースが多い為、ツール操作のリテラシーが高い担当者がいる場合に多い傾向にあります。
費用対効果
③費用対効果に関して、この選定方法はいわゆるツールを導入することによりどのくらいの売上が向上するかを指標にする企業になります。また選定するにあたり参考にするのが『導入事例・会社の実績』による信用です。導入事例というのも一概に大企業だけに注目するものではありません。まずは自社のオンラインショップの特徴を考えることが必要です。
- ECの売上はどのくらいなのか?
- 商材は何なのか?
- 商品点数は何点あるか?
- 定期商材は扱っているのか?
これらを踏まえ、実績を確認するのも一つの方法です。より自社のツール選定が明瞭になります。自社の扱っている商材や特徴を考慮し、次は売上による費用対効果を意識していきます。
売上ベースでの費用対効果
売上をベースとした費用対効果を見る場合、導入前と導入後でどれだけの効果を得られたかを、施策ごとに確認します。費用対効果の中でも『目に見えるもの』= 数値が明確である指標 を参考とします。
そこで本項では弊社CRMツールを活用した成功事例のご紹介をさせて頂きます。
A社はコンプレックス商材を扱った定期通販モデルの企業になります。A社の一番の課題は解約後復活率が低いという点でした。特に多く見られた解約理由は「余った」と「効果がない」の2点です。その課題を解決すべくA社は解約理由ごとのステップメールを配信しました。施策概要の一例を下記に記載します。
「効果がない」と実感し、解約した顧客に対するステップメール
① 2日後:解約手続き完了のお知らせと「効果がない」と感じている可能性が高いため、使用していない(余っている)商品の適切な使用方法をアナウンスするメール。
② 5日後:解約した方限定でお得に再開できるシークレットキャンペーンの訴求。お得な価格で、本来の効果を実感してもらうという内容の使用促進メール。
③ 12日後:まだまだ間に合う再開限定価格のご案内のシークレットキャンペーンリマインドメール
そこから365日(1年間)までは都度シークレットキャンペーン訴求をリマインドとして訴求しました。すると結果として、6か月間で解約後復活のお客様が増え、LTV105%向上に成功、857万円のインパクトを出したのです。またその後の平均継続率も実施前は4.57回だったものが実施後で4.63回と103%改善することが出来たのです。
上記事例の特徴は、A社が特別に難しいことをしたわけではないという点です。解約した顧客に対するフォロー施策を出し分けた、たったそれだけだったのです。もちろんこのように施策を行い、売上を立てることも重要な要素の1つですが、費用対効果には「目に見えにくいもの」も存在します。それは次項でご紹介させていただきます。
業務リソース削減による費用対効果
前項で述べた通り、多くの企業は施策に対する費用対効果を意識します。
しかしながら、ツールを稼働することによる顧客分析の業務リソースの削減がなされていることを忘れてはなりません。分析指標をボタン一つで抽出するためには、何かしらのツール(CRMツール、分析ツール等)を導入していないと行えない操作になります。
ツール導入前までは大きく分けて「分析をしていない」か「分析を手動で行っているか」の2つに限定されます。しかしツールを導入することによる、業務リソースの削減が行え、以下の費用対効果をもたらします。
複雑な顧客分析をボタン一つで行うことによる、月の分析時間削減は平均30時間前後算出される事例もあり、こちらを元に計算すると、
最低賃金1,041円×30時間=31,230円
※最低賃金の時給1,041円(東京)で算出
手動で分析をしていた当初に比べ、毎月約31,230円の費用対効果をもたらします。上記の費用対効果は目に見えにくいものとなりますが、一年間で換算すると約374,760円のインパクトとなり、プラスして手動では行えなかった分析や、施策による売上を重ね合わせるとツールを導入しても費用対効果という概念がより明確になると思います。
浮いた時間を新しい施策の企画に使用することもできますし、他業務を兼任されているご担当者にとっては、他の業務に注力できるという利点が挙げられます。
CRM導入までの流れ
CRMを導入する際は、導入目的や運用の開始時期を明確に計画する必要があります。あらかじめおおよその導入プロセスを把握しておけば効率的に計画を進められるでしょう。
自社に合ったCRM導入のために、導入の流れについて解説します。
導入目的や目標設定・社内共有
CRM導入を検討する際は、まず導入目的や目標の設定、使い方を明確にしましょう。
目的や目標が決まっていないと、どのようなシステムを選ぶべきかが定まりません。「業務の効率化を図りたい」などの漠然とした目的ではなく「既存顧客の情報を分析し、優良顧客にする」など具体的な目標にしてください。
また、目的や使い方を明確にしておかないと、導入したものの使い方がわからず「余計な業務が増える」、「コストの無駄が発生する」など非効率になります。
もちろん導入目的などを定めたら社内での共有が必要です。 実際に現場で使用する従業員に目的や使い方を伝えておけば、意識の共有が可能になりスムーズに導入できるでしょう。
運用開始時期を決める
導入目的などが決まったら、運用開始時期を決めます。
選ぶタイプによって社内整備が必要になる場合があります。オンプレミス型を選択した場合はサーバーの設置箇所やネットワーク環境を事前に構築しなければならないからです。
運用開始時期を明確にしないと納期が延びて、システムの運用を始められないリスクがあります。特に自前で構築する場合は、スケジュール管理が欠かせません。
またシステム選定の際にトライアル版を何種類か試してみる方法もあります。実際に使用する従業員に試してもらえば、使いやすさやほかのツールとの比較が具体的にわかるでしょう。
効率化したい業務および搭載したい機能が多いと構築に時間がかかります。必要な機能を中心としたシステム開発が成功につながるでしょう。
社内体制の整備
導入時期が決定したら、次は社内体制の整備です。
また、CRM運用の担当者や管理者の選定も重要事項です。担当者を決めておけば、実際の導入時の社員への指導なども円滑に進みます。
CRM導入の最大限の効果を発揮するには、システムの定着がもっとも重要です。
しかし、導入により負担が大きな部署も存在します。導入の目的を丁寧に説明し、運用後のフォロー体制の構築もおこないます。
また、設備面での整備もこの時点で行っておきましょう。クラウド型なら、インターネット環境の整備、オンプレミス型であればサーバーの設置などです。
ツール選定
実際に導入するうえで最適なツールを選んでいきます。
CRMツールも多様化しており、多種多様な機種の中から自社のサービスや業種に最適なサービスを利用してください。
使用目的や使い方次第では、システムの開発を依頼するケースもあります。
使用目的を事前に伝え、それぞれのシステムのメリットやデメリット、特徴などを比較検討してください。
1社のツールに絞らず、何社かに見積もりを出してもらい、自社に最適なツールを選びましょう。
まとめ
ツール選定における選定理由は大きく分けて以下の3つになります。
① 操作面
② 機能面
③ 費用対効果
ツール選定における費用対効果を検討する際はまず、自社のオンラインショップがどういう状態か、どのような特徴があるかという現状把握が必要です。売上を構築するための施策は決して難しいものではありません。施策を1つ行うだけでも長期的に見れば堅実な費用対効果が見込めます。費用対効果は一概に売上によるものに限りません。ツールの活用により業務リソースの削減することで目に見えづらい費用対効果をもたらす事もできます。
CRMは短期で構築できるものではありません。長期的に見た際に、売上は何倍も変わってくるものです。早い段階でCRMに取り組むことで、競合他社よりも一歩進んだ運用を行うことができます。
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