単品通販とは?メリットやデメリット、特徴について解説
近年、Amazonや楽天をはじめとする大手EC通販サイトが台頭し、日本全体のEC売上が飛躍的に成長しています。そんな中、単品通販も市場規模が大きくなっている状況です。
そこで今回は、そんな単品通販に関してご紹介します。単品通販の特徴やメリット、デメリットなどについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
INDEX
そもそも、単品通販とは?
単品通販とは、1つの種類に商品を絞って販売を行うECサイトのビジネスモデルです。1種類のみの商品を販売しなければならないわけではなく、複数の種類があったとしても同じブランドを扱ってる場合、単品通販と言われます。
例えば、化粧水や乳液、美容クリームなどの3種類の商品を販売していたとしても、1つのブランドだけを取り扱っている場合、単品通販と呼ばれます。
単品通販の特徴
単品通販の特徴①|売りたい商品をアピールできる
商品を複数取り扱う総合通販と違って単品通販は、扱う商品が限られています。
そのため、商品1つずつに情報を盛り込んでアピールすることができます。具体的には、「他社との製法の違いやなぜこの商品を販売しているのか?」や「開発にあたって何があったのか?」などこだわりを持って消費者に向けて商品をアピールすることが可能です。
反対に、特徴がない商品や魅力がない商品、何度も購入してもらえる商品でないものは単品販売に不向きといえます。
単品通販の特徴②|リピート率が高い
単品通販が主に扱う商品ジャンルは、化粧品や健康食品などの消耗品です。消耗品は、使用し続けることで効果の出るものも多く、商品が気に入ってもらえば継続購入にも結びつきやすいのが特徴です。
日本国内の有名な単品通販サイトのほとんどが化粧品または健康食品を取り扱っています。
単品通販の特徴③|少ない資本からでも始められる
総合通販は、商品を多く取り扱い、規模も大規模に展開しなければなりません。そのため、初期投資や維持コスト、流通コスト、人件費が多くかかり、資本が少ない企業にとっては、参入しにくいといわれています。
一方、単品通販では、限られたジャンルの商品しか扱いません。そのため、ビジネスを始める際の資本は、総合通販より抑えることができます。商品が限られているため、商品を絞り込んで販売促進も行うことも可能です。
単品通販は、広告宣伝のコストも削減できるビジネスモデルといえます。
単品通販と総合通販の違い
単品通販と総合通販の大きな違いは5つあります。
- 初期投資額
- 取り扱う商品
- 仕入れ方法
- 集客
- 顧客
取り扱う商品数が少ないため、初期投資額は抑えられます。単品通販では、自社でブランドの製品を生産したり、特定のメーカーから仕入れたりすることが一般的です。
総合通販は、多くの商品を扱うため多くの消費者を集めることが可能です。一方、単品通販に関しては、リピート客を増やすことで売上を伸ばしていくため、集客方法が異なります。
総合通販と比べると露出も少なくなるため、インターネットを利用する消費者にいかに届けるかが重要です。商品数も総合通販より少ないため、繰り返し購入してくれる顧客をどれだけ多く獲得できるかが重要になります。
単品通販のメリット・デメリット
単品通販のメリット
単品通販のメリットは大きく3つあります。
- 参入障壁が低い
- 収益予想が立てやすい
- 販売促進がしやすい
単品通販は、扱う商品の種類が限られているため、比較的少ない投資額で始めることができるのがメリットです。また、新規の顧客よりはリピート、継続的に購入する顧客を対象としたビジネスモデルのため、収益予想が立てやすいというメリットもあります。
さらに、オリジナル商品を製造したり、特定の卸業者から仕入れたりすることが多いので「どうしてこの商品を売り出すのか?」という消費者の疑問にも答えやすいので販売促進がしやすいのもメリットといえるでしょう。
単品通販のデメリット
単品通販のデメリットは、扱う商品が少ないためアプローチできる顧客が限られることです。そのため、広告といった施策を上手く導入して、いかにユーザーに継続して購入してもらえるかが重要になります。
また、売れなかった時のリスクが高いのも単品通販のデメリットです。単品通販を開始する際に、サイトの制作や仕入れなど様々なコストがかかりますが、1つの商品の売り上げが悪いと他の商品でカバーすることができません。
単品通販のビジネスモデルについて
単品通販という形式には、いくつかのビジネスモデルがあります。 それぞれのビジネスモデルの特徴を理解して、自社製品の性質やターゲットとする顧客にどの手法が合致するか考えることが必要です。
以下からは、単品通販における基本的なビジネスモデルを3つ紹介します。
定期購入
単品通販において、「定期購入」は基本となり得るビジネスモデルです。 一度の契約でその後も継続した購入が約束されるので、顧客との関係性が強固になったり、毎月の収益が計算しやすくなったりといったメリットがあります。
顧客にとっても毎回注文する手間が省けるなどの利点があるため、互いにとって理想的な関係性を築けるでしょう。
一方で、定期購入では最初の一歩を踏み出すことを躊躇する顧客も多く、なかなか新規契約が増えないというケースもあります。そのため「初回契約者限定のキャンペーン」や「トライアル商品の提供」など、さまざまな工夫から新規顧客を獲得することも重要です。
定期通販を利用してもらえるよう、顧客からの信頼を獲得し常にキャンペーンを行うなど、顧客を手放さないようにしましょう。
クロスセル
クロスセルとは、既存顧客に対して別の商品・サービスの購入をおすすめするビジネスモデルです。 既に購入していただいている商品に関連する、別のアイテムを紹介するのが基本となっています。
例えば洗顔フォームを定期購入している顧客に、化粧水の購入を進めるといった方法がクロスセルです。 クロスセルによる提案が成功すれば、顧客の満足度をさらに高め、信頼を得るといったメリットがあります。
クロスセルの際には、ECサイトのレコメンド機能やメルマガでおすすめ商品を紹介したり、サンプルを同封して実際に使ってもらったりといった方法を取ることがポイントです。
アップセル
アップセルとは、顧客により高いグレードの商品・サービスの購入をおすすめするビジネスモデルです。 コストは高くなるが、その分より高い効果が得られることをアピールし、購入先を乗り換えてもらうのが目的となっています。
例えば「A」という成分が使用されているサプリから、「A」に加えて「B」の成分が使用されているより良いサプリを紹介するのがアップセルです。 また、同じ商品をまとめて購入してもらったり、増量した商品を選択してもらったりすることもアップセルに含まれます。
「〇〇点以上の購入で送料無料」「今だけ限定特化で販売中」など、顧客がアップセルしやすい環境を提供するのが重要です。
単品通販の始め方
分析ツールを使って顧客分析・管理を行う
単品通販について、説明してきました。それでは、単品通販をどのように始めたらいいのか? 単品通販のはじめ方を解説していきます。
単品通販の始め方は大きく分けて以下の4ステップあります。
- 商材を決める
- ランディングページ(LP)または集客用サイトを作り込む
- 分析ツールやカート、決済ツールを選定する
- 広告配信のプラットフォーム・代理店を決める
ステップ①|商材を決める
単品通販を始める第一段階は、商材を決めること。上述してきたとおり、リピート、継続購入される商材を選定しましょう。継続購入されやすい消耗品、化粧品や健康食品を商材としている単品通販サイトがほとんどです。
ステップ②|ランディングページ(LP)または集客用サイトを作り込む
単品通販の販促において鍵となるのが、ライディングページ(LP)または集客用サイトに人を呼び込むことです。
ランディングページとは、ネットを利用しているユーザーが一番初めにアクセスするページであり、店舗の顔といっても過言ではありません。
ランディングページ、集客用のサイトを作成するときは以下の2点を気をつけましょう。
- 訴求点をポイントを絞る
- ページから直接商品を購入できるようにする
ネットを利用するユーザーがページに訪問してくれたにもかかわらず、長文を読ませたり、複雑なクリエイティブ、画像を盛り込みすぎることで購買意欲を下げてページから離脱してしまうことも。
そのようにならないため、消費者の買う気を起こすように訴える文章は長すぎず。クリエイティブも明快にするようにしましょう。
また、商品を「買いたい!」と思っても、別のページに移動しないと申し込み、購入ができないということになると、購入が面倒になり商品購入に結びつかない可能性があります。そのため、ページから直接購入できるようにしましょう。
ステップ③|分析ツールやカート、決済ツールを選定する
商品がどのくらい見られているのか?どのような年齢層に刺さっているのか? 狙い通りにアプローチできているかを測定するために詳細に分析できるツールを選定しましょう。
無料のものだとGoogle Analyticsなどのツールがあります。カートも商材を購入する年齢層に応じて、使いやすいカート機能を搭載しましょう。高齢者を対象とするならカートはなるべく直感的でわかりやすくするなど工夫が必要です。
「購入しようと思ったが、クレジットカード決済ができないので購入をやめた」このような消費者は多いです。消費者を離脱させないように、幅広い消費者を網羅できるような決済ツールを導入するようにしましょう。
ステップ④|広告配信のプラットフォーム・代理店を決める
どのような消費者にアプローチするかが明確になったら、広告配信のプラットフォームや代理店を決めましょう。
これは単品通販に多く使われているマーケティング手法の1つで、多くの商材がWEBの広告などに頼りながらビジネスを展開しております。
単品通販を成功に導く方法
単品購入について説明をしていきました。ここからは単品購入を成功に導く方法について解説していきます。
大きく5つの方法があります。
- お試しなどで初回のハードルを下げる
- 2回目以降の購入に結びつけるようにする
- 分析ツールを使って顧客分析・管理を行う
- ターゲットを明確にする
- UIを工夫する
5つの方法について、詳しく解説していきます。
方法①|お試しなどで初回のハードルを下げる
「商品は良いがなかなか購入してくれない」そのような場合に効果を発揮するのが、お試しなどで初回購入までのハードルを下げることです。
お試しというお得感から購入に至った消費者でも商品の良さに気がつくことがあれば、リピート購入につながるはずでしょう。
方法②|2回目以降の購入に結びつけるようにする
購入してくれたものの継続的な購入には至らない。そのような場合、商材を見直すようにしましょう。見直すポイントは3つです。
- 商材の質
- 商材の価格
- 商品の信頼性
本当に良いと消費者が判断してくれた商品には、リピート客がつくものです。商品のリピートが少ない場合には、もう一度、商品の良いところを確認してみましょう。
場合によっては、アンケート等を実施しても良いかも知れません。リピートする気はあるが、価格が高い、そのような理由から継続購入には至らないこともあります。競合や商品の価格帯などを洗い出して、もう一度、価格を見直してみても良いでしょう。
方法③|分析ツールを使って顧客分析・管理を行う
商品を販売していく中でさまざまな販促を実施すると思います。そのような活動がどのくらい効果を発揮したのかを測定して、効果があったものから展開し、地道に売上を伸ばしていくことがビジネスを始める際の基本になります。
データに基づいて情報を蓄積し、効果を測定、改善していくためにも分析ツールを必ず利用するようにしましょう。
方法④|ターゲットを明確にする
いくら良い商品を作っても、ターゲットが明確に設定されていなければ、売上は伸び悩むと考えられます。商品を絞って販売する単品通販だからこそ、「どのようなユーザーの悩みを解決するのか」「ユーザーに興味を持ってもらうためには、どのような訴求が刺さるのか」という点を考えておきましょう。
ターゲットによって、広告媒体やECサイトのデザイン、商品画像などを変える必要があるため、売上に直結するという意識を持つことが大切です。
方法⑤|UIを工夫する
UIとは、消費者がスマートフォンやインターネットを利用する際に見る画面設計のこと。
単品通販のサイトで多く利用されるランディングページと購入画面を別にするのではなく、ランディングページの下にフォームを表示することが大切です。
というのも、画面遷移の数が多いと離脱してしまう顧客が多いのです。単品通販では、購入した商品をカートに入れるような画面設計をするのはやめましょう。
消費者は、次のような工程を踏んで商品を購入します。
- 消費者が購入したい商品がカートに入る
- カートのボタンをおす
- カートボタンから決済情報・住所を入力する
- 購入が完了する
このような工程をふむと顧客は面倒で離脱してしまいます。画面遷移が少ないUIを心がけましょう。
単品通販導入に必要な機能
単品通販といった言葉を理解し、導入するにあたりしっかりと抑えておかなければならない内容として、必要な機能をしっかりと理解することが大切です。
その単品通販導入に必要な機能は、以下の通りです。
- ステップメール
- 定期購入
では順に紹介します。
ステップメール
ステップメールとは、商品を購入したお客様などに対して、ステップを踏んで更なる商品購入などに促していく手法をいいます。
データとして蓄積されたお客様情報を活用して、そのお客様が興味がありそうな情報をメールで送信するのです。
購入後のお礼メールに始まり、メンテナンス内容のメール、そして類似商品やオプション商品などを段階ごとに送信していきます。
そうすることにより更なる購入の可能性はもちろん、徹底した気配りと気が利いた接客が可能になります。
定期購入
単品通販を導入する上で必ず必要になる機能に、定期購入があげられます。
お客様の購入した経歴をデータにて構築し、次の購入時期付近にてメールなどで知らせてあげるのです。
これは販売者側の利益に繋がるだけではなく、お客様も手間が省けるといった双方のメリットが生じます。
定期購入や2ステップ購入、そしてリピート購入などの機能の有無は必須不可欠なのです。
単品通販における売上高ランキング
単品通販において、一体どのような企業が売上を伸ばしているのでしょうか?ここからは日本国内の単品通販において売上を伸ばす、化粧品業界と健康食品業界の企業をご紹介します。
化粧品|単品通販売上高ランキング
化粧品業界で売上を伸ばしている企業は以下のようになります。
順位 | 社名 | 2020年度実績(百万円) | 主力商品 |
1 | ファンケル | 32,017 | マイルドクレンジングオイル |
2 | 新日本製薬 | 31,098 | パーフェクトワン モイスチャージェル |
3 | オルビス | 28,296 | オルビスユー |
4 | 再春館製薬 | 22,400 | ドモホルンリンクル |
5 | ディーエイチシー | 18,400 | ディープクレンジングオイル |
上記表は、通販新聞社の「20年度化粧品通販売上高ランキング」を参考に作成しています。表から分かるように、1位のファンケルは320億円近くの売上を出しており、5位のディーエイチシーも184億円の売上となっています。
健康食品|単品通販売上高ランキング
次に健康食品業界において、売上を伸ばしている企業をご紹介します。
順位 | 社名 | 2020年度実績(百万円) | 主力商品 |
1 | サントリーウエルネス | 95,825 | セサミン |
2 | 世田谷自然食品 | 26,700 | グルコサミン、青汁 |
3 | 富山常備薬グループ | 21,000 | 第3医薬品(フルスルチアミン、L-システイン) |
4 | 山田養蜂場 | 19,773 | ローヤルゼリー |
5 | ファンケル | 19,758 | ビタミン・ミネラル |
上記表は、通販新聞社の「20年度健康食品通販売上高ランキング」を参考に作成しています。サントリーウエルネスが958億円近くの売上となっており、2位以下と大きく差を広げています。また、化粧品業界の売上高ランキングで1位をとったファンケルが5位にランクインしていることがわかります。
単品通販に関するよくある質問
最後に、単品通販に関する質問をまとめました。
単品通販の市場規模は?
単品通販の市場規模は2011年は約63億、2016年は約2900億円と年々拡大してきています。
拡大の背景としてはSNSでプロモーションを行いやすくなった、ECサイトの拡大など様々な要因があります。
今後も単品通販の市場規模は拡大していくでしょう。
単品通販の具体的な例は?
健康食品部門で売り上げを伸ばしているサントリーウェルネスの「セサミン」。
顧客に定期購入を積極的に働きかけることで、リピート率を増やし業績を伸ばしています。
単品通販で目指したいリピート率は?
通販におけるリピート率の平均は30%~40%と言われています。ですので目標としては35%程度のリピート率を掲げればよいでしょう。
単品通販では、定期購入やリピート率の向上がビジネスの成功に必要不可欠です。リピート率の向上を目指し、PDCAを回していきましょう。
まとめ
ここまで単品通販について解説しましたがいかがだったでしょうか?単品通販は、限られた商品に絞って販売を行うビジネスモデルで、リピート率が高く、小資本で始められるといったメリットが多く存在します。
とはいえ、なんとなくで初めて売上を伸ばせるビジネスモデルではありません。売上を伸ばしていくためには様々な工夫が必要となり、お試しなどの施策と改善を繰り返すことが必要です。
本記事も参考にしつつ、単品通販のマーケティング手法に関してもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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