ECサイトの運営とは? 運営方法や必要な知識、業務内容を解説
ECサイトを運営しようと思うけど、どこから手を付けたら良いかわからない。どんな知識がほしいのか分からない。などといった悩みをお持ちではありませんか?
ECサイトの業務、サイト運営や商品発送など多岐に渡るため、どのようなことをすればよいのか?混乱してしまう方も多いです。そこで、ECサイトの運営をするために必要な知識や業務内容について紹介していくので、ECサイト運営の参考にしてみてください。
INDEX
ECサイトはどのように運営するの?
ECサイトの運営していくために、まずはサイトの方向性を固めましょう。
サイト運営に必要なアクションプランは、業務の効率化を目指す方法の1つであるPDCAに当てはめることができます。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
それぞれ解説をしていきます。
PLAN(計画)|サイトの方向性を決める
まず、ECサイトを運営するにあたって、どこから手を付けるのかを整理していみましょう。
「自らECサイトを構築して運営するのか?」
「楽天やECサイトに出店しているモール型にするのか?」
「取り扱うジャンルは?」
「どこから仕入れるのか?」
「価格帯は?」
など、サイトの方向性を決定して市場を分析、戦略を明確にしていく必要があります。
上記の内容が決まっている場合、サイトに訪問するユーザーを想定して、どのようなサイトにすればもっと商品が購入しやすいのかを考えましょう。
どんな商品を販売するのかを決めることでサイトの目指すべき方向性が見えてきます。
DO(実行)|使われるECサイトにするための施策を打つ
ECサイトの運営のための計画が決まったら行動します。使いやすいECサイトはどのようなお店のことでしょうか?
「ECサイトの外観は?」
「ECサイトの内装は?」
「どんな商品説明だと購入したくなるか?」
「スムーズに商品を選べるか?」
などが考えられるかと思います。
ネット上のサイトだからといって、難しく考えずに実際の店舗・お店だと考えるとイメージしやすいです。決まった計画をもとにサイトの見た目を工夫したり、商品を仕入れたり、ページを作るなどして、お客さんを呼び込んでいきましょう。
CHECK(評価)|効果を測定して評価する
計画を立てて、行動したらデータが集まります。
「サイトへの訪問がまったくなかった」
「訪問はあったが商品が売れなかった」
などECサイトの課題が生まれます。
その課題を分析して、どのような改善があるのか検討していきましょう。
ACTION(改善)|得られた効果をもとに改善する
蓄えたデータをもとに再度、課題の改善を行っていきます。
ECサイトの売上を上げるためにはどうすればいい?
ECサイトの売上を上げる方法についてご紹介します。
まず大切なことは、しっかりと戦略を考えることです。なぜならECサイトは競合も多く、戦略を間違えるとそもそも自社の製品を見てもらえないからです。具体的な戦略としては、「どの商品」を「誰に」、「どうやって」、販売するか決める必要があります。まずは「どの商品」と「誰に」が明確にしましょう。
そのターゲットとなる顧客が見そうなサイトを作成することができ「どうやって」も決まってきます。女性向けなのか、男性向けなのかによってもサイトの作り方が変わってきます。
戦略が決まりましたら実際にサイトを作成しましょう。ECサイトは楽天市場やAmazonなどのモールに出店する「モール型」と、自社のサイトで全てを完結させる「自社サイト型」大きく分かれます。ある程度フォーマットが決まっていて出店が早いのが「モール型」です。「自社サイト型」は作るのに時間がかかるけれども自由度の高くなります。それぞれのメリット・デメリットを考えて、ECサイトを作成します。
ECサイト完成しましたら、一旦商品を販売することができます。あとは、日々閲覧数や購入者の数を増やすために、マーケティングと、サイトの改善を日々行います。マーケティングはSNSの活用、ネット広告などを利用して、認知度を高めていきます。
ECサイトは閲覧数や購入者数、広告費に対する売上(ROAS)などほとんどのものが数値化できます。数値の低い項目を改善していくことで売上を上げていくことが可能です。
ECサイトの運営業務を紹介【大きく2つあります】
ECサイトの運営業務は大きく2つにわけることができます。
1.フロントエンド業務
2.バックエンド業務
フロントエンド業務とは、どのようにして、商品を売るかを考えたり、宣伝したりするといった表に立って行なう業務全般を指します。反対に、バックエンド業務とはECサイトの商品を管理したり、受注、発注を管理したりといったECサイト運営の縁の下の力持ち、裏方ともいえます。
それぞれの業務について、具体的にみていきましょう。
フロントエンド業務
フロントエンド業務は、マーケティング業務全般です。
商品を企画したり、ECサイトを制作するにあたってどのようなショップが顧客に刺さるのかを考えたりします。ほかにも、商品の仕入れを行い、販促プロモーション活動の一切を担うのがフロントエンドの仕事になります。
バックエンド業務
バックエンド業務では、商品を登録して、倉庫で仕分けを行い、発送まで行います。ECサイトを運営の際に売上はどのくらいでているのか? よく売れている商品はなにか? など売上を管理したりすることもあります。
ECサイト運営の代表的な8個の業務
ECサイトの運営には業務フローの確率は必要不可欠です。
ECサイトを運営するうえでは業務効率化が非常に重要であるため、各業務のスムーズな進行を確保するために、オペレーションを検討します。
ここでは、ECサイト運営の代表的な8つの業務について詳しく解説します。
フロントエンド業務
ここではフロントエンド業務とバックエンド業務に分けて解説します。
フロントエンド業務の代表的な業務は以下のとおりです。
- 商品企画
- 仕入れ・製造
- 商品登録・サイトの更新
- 集客・Webマーケティング
1点ずつ詳しく解説します。
商品企画
商品企画は数あるECサイトの業務の中でも一番重要な業務です。
商品企画を行わずに顧客の関心を引かない商品を製造すると、どんなにマーケティング力に優れていても売上は伸びません。
市場のニーズや顧客からの意見の吸い上げ、流行、季節などを考慮したうえで顧客が関心を寄せる商品を開発します。
商品企画は自社開発のケースと商品を仕入れてECサイトで販売するケースがあります。
どちらのケースでも原価を抑える観点から、多めに入荷する工夫を行いますが反面、在庫を抱えるとコストが増大するため入荷数の調整は欠かせません。
仕入れ・製造
商品が決定したら、仕入れを行います。
商品を保管する倉庫のスペースもコストになりますので、販売予測を基にした仕入れを行わなければなりません。
また、人気を博している商品の場合は、生産が追いつかず機会損失を生むケースも考えられます。
そこで、そのようなリスクに備え、仕入先を複数確保しておくのが担当者の腕といえます。
まとめて商品を仕入れるケースでは、値引き交渉をするのも担当者の腕です。
ただし、ただ値引いてといっても相手にしてもらえないでしょう。
今後数ヶ月間にわたってまとまった量を仕入れるなどのメリットを提示したり、ファクトを基に交渉すれば信頼関係を結べます。
なお、自社で企画した商品を信用できる他社で製造を委託するOEMという方法もあります。
商品登録・サイトの更新
ECサイトを構築する上で重要な要素は、以下の2点です。
- サイトは、事業や会社のコンセプトに沿ったもの、または顧客の購買意欲を促進する導線設計を意識する必要があります。
- 商品画像を含むサイズやカラーバリエーション、商品詳細の登録も重要です。
低い知名度のサイトは、高い知名度のサイトと比較して信頼性が低いという事実は否めません。
信頼を築くためには、会社のコンセプトに基づいたサイトデザインを重視しましょう。
商品情報の登録には、商品名や価格、JANコードなどの基本情報に加えて、商品のスペックなどの詳細情報を登録する必要があります。
また、「ささげ業務」として知られる撮影、採寸、原稿の作業が商品登録の前に必要です。
言い換えると、商品登録に必要な情報の頭文字をとったものが「ささげ業務」です。
集客・Webマーケティング
ECサイトの集客においては、Webマーケティングによる広告がメインとなります。
数あるWebマーケティングの中でも、最も効率の良い方法は「リスティング広告」です。
リスティング広告とは、GoogleやYahooなどの検索結果上部に出稿する広告です。
しかし、この広告にはそれなりの予算が必要になります。
そもそもECサイトの商品単価は数千円程度なので、広告費を使うと利益が出ません。
そのため、予算をかけない集客方法としては、SEO対策やSNS運用がおすすめです。
SEOはサイトへの流入を増やすのを目的に、検索エンジンで検索した際に上位表示されるようにする取り組みです。
SEOにもいくつか手法がありますが、近年SEOに効果的な自社が保有するメディアを指すオウンドメディアを運用して集客を狙う方法が注目を集めています。
SNS運用はInstagramやX、LINEなどのソーシャルメディアを活用し、商品のプロモーションやイベント告知などを行う方法です。
バックエンド業務
続いては、縁の下の力持ち的なバックエンド業務の代表的な業務は以下のとおりです。
- 受注管理
- 在庫管理
- 梱包・配送
- アフターフォロー
こちらも1点ずつ詳しく見ていきましょう。
受注管理
受注管理は、注文情報を確認し以下の作業を行います。
- 購入者へ注文状況を伝えるメール配信
- 在庫を引き当てる
- 出荷を指示する
ほかにもキャンセルや各種問い合わせなども入ってくるので、柔軟な対応が求められます。
上記の作業は一見すると単純ですが、ミスが発生するとクレームにつながるケースが多い工程です。
スピードを意識しながらも正確に行なう必要があります。
担当者は、細かい作業が得意で、テキパキしている方向きの作業内容です。
可能な限り自動化を目指すなど、可能な限りミスが発生しないシステムの構築が必要です。
在庫管理
在庫管理は、販売計画や実際の売上を基にして、適切な量の在庫を準備する業務です。
ECサイトを運営していくうえで、一番難しい業務といっても差し支えないでしょう。
在庫が足りないと販売機会損失、在庫が過多だとコストがかさんでしまいます。
各商品の在庫量はそれぞれ異なるので、見極めには経験やノウハウが必要です。
このように在庫管理は売上に直結する重要な業務です。
実店舗や多くのモール展開をしている場合は、在庫管理が難しくなるので、在庫を一元管理できるシステムの導入についても考える必要があります。
梱包・配送
ECサイトで商品が購入されると、出荷指示を基に商品を倉庫から取り出し、梱包、出荷の作業を行います。
出荷の際、ピッキングミスが発生すると、返送費用や顧客満足度が低下するなど、さまざまな問題が発生してしまいます。
そのため、この作業を外注するなどして出荷ミスを減らして、企業信頼度を落とさない工夫が大切です。
ただし、発送業務を依頼した企業のクオリティが低いとクレームにつながります。
梱包業務は顧客に届ける商品そのもので、非常に大事な工程といえます。
梱包物にメッセージを添えるなど、大企業ではできないちょっとした気遣いで顧客満足度は上がるのです。
アフターフォロー
ECサイトの一般的な手法として、初めて購入していただいた方には、商品到着より2週間以内に商品の満足度などを尋ねるメールを送付します。
ただし、過度なメールの送付によるアフターフォローはかえって嫌がられますので、ECショップの印象を悪くしないように考えましょう。
クレームの際も丁寧でスピード感を持って処理すれば、逆にファンになっていただける可能性があります。
アフターフォローも上手に活用すれば、ファンが増えたり店舗への信頼度アップにもつながりますのできちんと行うことが大切です。
ECサイトを運営するために必要な費用相場や人員
ECサイトを運営するためには、当然費用が発生します。
また、ECサイトの運営には、人員も必要です。
ここでは、ECサイトの運営に必要な費用や人員について解説します。
ECサイトの運営費用相場
まず、一般的にランニングコストといわれる、ECサイトを運営するために必要な費用相場は以下の表のとおりです。
内訳 | 費用 |
ECシステム費用 | 月額:数千円〜数十万円 |
サーバー費用 | 月額:数百円〜数万円 |
ドメイン費用 | 年間:数千円 |
独自SSLサーバー証明書の取得および維持 | 年間:数万円 |
決済代行会社 | 契約料および売上の3〜5%程度 |
EC運営代行=集客対策 | 月額:数万円〜数十万円 |
人件費 | 月額:数十万円/人 |
上記ランニングコストは一例です。
構築方法を始めとする諸々の条件によって異なります。
ECサイトの構築費用相場
ECサイトは、構築するためにまず費用がかかります。
構築方法により費用は全く異なります。
構築費用は以下のとおりです。
構築方法 | 初期費用 | 事業規模 |
無料ASP | 無料 | 個人規模 |
有料ASP | 数千円〜10万円程度 | 年商1億円程度まで |
ECモール | 10万円以下 | 全規模 |
クラウドEC | 数百万円以上 | 年商1億円以上 |
フルスクラッチ | 数千万円以上 | 年商10億円以上 |
ASPやECモールの初期費用はやすいものの、カスタマイズがあまりできず、機能も限られているので、個人や小規模でスタートする方に向いています。
一方でクラウドECやフルスクラッチは初期費用や月額費用は高額ですが、カスタマイズが多種多様で機能も豊富なので長期的にECの売上を向上させたい方に向いています。
ECサイト運営に必要な人員
ECサイトの運営にはどの程度の人員が必要なのでしょう?
まず、必要な業務を洗い出し、どこに何名配置するのかを考えてください。
小規模事業者であれば担当者は1〜2名程度でしょうが、業務を細分化するともう少し必要になります。
規模が大きくなってくると想像以上に多くの人数が必要です。
梱包やアフターフォロー、在庫管理などさまざまな場面に配置する必要があります。
そのため思った以上に人件費がかかります。
人件費を抑えたい場合はアウトソーシングをするのも一つの手です。
いずれにしても、少ない人数で無理して乗り切ろうとすると、無理が重なりECサイトの人気や売上に響いてきますので適切な人員を配置しましょう。
ECサイト運営に関するQ&A
ECサイトに必要な知識や全体像について説明していきました。
ECサイトを運営するにあたって、よくある質問を整理していますので、参考にしてみてください。
ECサイトにはどんな種類があるの?
ECサイトは大きく5種類存在します。
- 単店舗型のECサイト
- マルチテナント型のECサイト
- BtoBのECサイト型
- オムニチャネル型のECサイト
- グローバル対応越境EC
それぞれ、運営方法や特徴が異なります。
【単店舗型のECサイト】
自社で商品を販売するために1店舗を基準にして構築されるECサイトのことを言います。
【マルチテナント型のECサイト】
Amazonや楽天など複数のお店が参加するショッピングモールから、自社ショッピングモールまで、さまざまな運営方法に対応可能なECサイトのことをいいます。
【BtoBのECサイト型】
卸売りや仕入れ用のECサイトやWebサービスの調達・販売など、企業向けに運営しているサイトのことを指します。
【オムニチャネル型のECサイト】
オムニチャネル型のECサイトとは、実際の店舗やオンライン上のショップ、SNSなどのあらゆる販売・ 流通の手法を合わせることで顧客接点を多様化する仕組みのこと。
多くの集客手法からECサイトを成功へ導いていきます。
【越境EC】
越境ECとは、国内のみを市場とするのではなく国を越えて通販をするオンラインショップのことをいいます。
ECサイト運営に求められるスキルや経験はあるの?
ECサイト運営に求められるスキルや知識は、webに関する幅広い知識が求められます。
例えば、大手のECサイトの求人の求められるスキルを見てみると以下の内容があります。
- SEOやWEBマーケティングの経験
- HTML・CSSに対する知識
- MOS(Word,Excel)
- 顧客対応(電話やメール)
- クライアント対応の経験
上記のような要項が並びます。基本的に、どの求人においてもwebマーケティング全般の知識が必要になります。他にも営業がある場合も存在します。
まとめ
ECサイトの運営方法について解説しました。
ECサイトは、顧客と対話しながら新規顧客を呼び込むことで大きく効果を発揮します。また、ECサイトの運営で鍵になるのは「分析」です。上述でもPDCAについて触れましたが、自社のECサイトでどんな人が買い物をして何を求めているのかをしっかりと分析し、売上拡大に繋げていきましょう。
最新のEC・CRM事例やノウハウ、事業者対談セミナー・記事などマーケティングに役立つ情報をお届けします。