MA(マーケティングオートメーション)とは?基礎知識やメリット・デメリットを紹介

MA(マーケティングオートメーション)とはビジネスのマーケティングをソフトウェアなどで自動化することです。
顧客一人一人に対して個別の対応をすると購買につながる可能性は上がりますが、とてつもない時間がかかってしまいます。
MAは顧客ごとに効果的な販促を行いながらも、施策を自動化することで利益の向上を目指します。

今回はMAについてよく分からない、という方に向けて、MAとはどんなものなのか、MAでできることは何かなど説明していきます。

MAにはさまざまなメリットがありますが、MAで行う施策にはさまざまな種類があります。まずはMAの種類を知ることが大切でしょう。

自社サービスや商品の売上を上げたいならばぜひ参考にしてください。

MA(マーケティングオートメーション)とは?


MAとは自社サービスや商品を販売する上で顧客に対しての販促を自動で行う手法のことです。

例えば顧客にメールアドレスを登録してもらい、メール施策を行うことになったとして、顧客一人一人に合わせたメールを手作業で作るのはとても手間がかかります。顧客が増える程に作業量は増えていくので、限界があるでしょう。

顧客それぞれのサービスに対する関心度も違うので、全員に同じ内容のメールを一斉送信しても、効果的な販促にはならない可能性があります。

MAを使用すれば、販促にかかる時間や手間を軽減するだけでなく、必要な顧客に対して効果的な販促を行うことができます。

MAでは施策を行った後にどのくらい効果があったのかを分析します。ただ施策を行うだけではあまり意味がありません。施策により何割の顧客が反応したのか、売上に繋がった施策はどのような内容なのかなど、詳細に施策の分析をする必要があります。

MAの主な機能


ここからはMAの主な機能について説明していきます。

リード管理

リード管理とは顧客の情報をまとめて管理する機能になります。メールアドレスや氏名など顧客の情報はさまざまで、それらの情報をまとめておくと顧客をタイプで分けることができます。

例えば年齢によって必要となる商品が異なる場合は、年齢情報で顧客を割り振って顧客ごとに効果的なメールを送るなどできます。
また現状の顧客情報を把握することで今後のサービス開発にも役立てられます。例えばBtoBのサービスを運営していて、企業の情報を基にこれから必要となる新規サービスを立ち上げることができますし、現状で自社に足りていない部分なども把握できます。

スコアリング機能

顧客それぞれの関心度を点数化する機能です。関心が高い顧客に対してはサービスの詳細を記載することで、購入の後押しをすることができます。関心度が低い顧客に対してはサービスに関して大まかな説明をして、購買意欲を上げることができます。

顧客の行動によって点数を振り分けます。例えば自社サイトに訪れたら10点、サイト内の商品をクリックしたら5点など顧客の行動によって何点なのかを設定します。当然ながら点数が高い顧客ほど購入する可能性が高いので、いかに取り込むかが重要になってきます。

逆に点数が低い顧客に対しては、自社サービスに興味を持ってもらう必要があるので、顧客が何を求めているのか判断することが重要です。

メール

顧客に対してメールで販促する機能です。基本中の基本ですが重要な機能です。
キャンペーン・イベント・新商品紹介・割引情報など顧客の購買意欲を上げる情報を届けることができます。

MAのシステムを利用することで送信したメールのうち何パーセントが届いているか、メールが届いた顧客の中で何パーセントの人がクリックしたか、など顧客の反応を分析することができます。

メールを読んだ顧客が自社サービスを購入したか判断する「コンバージョン率」というものがあります。

コンバージョン率を分析することでどんな内容のメールをどのペースで送ると効果的なのかを判断することができます。

アラート機能

顧客の行動によって担当者や営業担当に連絡が来る機能になります。顧客がメールを開封したタイミングや自社サイトのサービスをチェックしたタイミングで自動的にアラートが来るように仕組みを設定できます。

アラートが来ることで顧客の状況を把握します。
サービスに興味のある顧客にアプローチをすることができるので、機会損失を防いで効果的な販促を実行できます。

営業担当が顧客の状況を都度都度チェックする手間が省けるので、効率的です。アラートの数で現在自社サービスがどの程度注目されているかなども分かります。

自社のWEBページの作成支援

自社商品を紹介するページや顧客情報を打ち込むツールを作成する機能があります。サービスに興味がある顧客は自社サイトをチェックする可能性が高いでしょう。サイトに訪れた際に可読性の低いページや目的のページになかなかたどり着けないと、サービスそのものに対する興味が消えてしまうかもしれません。
顧客にとって分かりやすく、使いやすいサイトにするにはMAのサイト作成技術を利用すると良いでしょう。

顧客の情報を取得するためにフォームなども必要になります。顧客にアンケートを答えてもらうことで、潜在的なニーズを把握することができますし、自社サービスに興味のある人はどんな属性があるのか分析できます。

自社WEBページのパーソナライズ機能

Webサイトに訪れた顧客の属性に合わせたコンテンツを表示する機能になります。例えばスキンケア商品を取り扱うサイトを運営していて、顧客が女性の場合と男性の場合でポップアップする広告内容を変更するなどが可能です。
顧客の情報に合わせた販促を行うことで、顧客満足度を向上させられます。顧客側としては興味のある商品情報や新サービスの内容などを提示してくれるサイトだとありがたいですし、また訪れる可能性が高くなります。

CRM・SFA統合機能

CRMシステムやSFAシステムと連携する機能になります。
CRMとは顧客関係管理という意味で、顧客にとって最適な施策を行うことで、利益の向上させるシステムになります。

SFAとは営業支援システムという意味で、営業の業務を効率化する役目や仕事の流れを可視化するシステムになります。

CRMと連携するメリットは顧客側の立場で施策を行い、顧客との関係を良好にして商品を購買してもらえるという点です。CRMは顧客の心地よさを追求するものなので、MAのみの施策より効果を上げられる可能性があります。

SFAと連携するメリットは顧客への対応方法などナレッジを施策に活かせるという点です。

APIと連動

さまざまなソフトウェアやシステムと連携する機能になります。APIとはソフトウェアとソフトウェアを連携させるという意味です。

自社サービスの利益を向上させるためのソフトウェアは世の中にたくさんあります。しかし複数のソフトウェアを並行して動かすのはなかなか苦労します。APIにより他のソフトウェアと連携できれば、作業時間や手間を軽減できます。

全てのソフトウェアがAPI連携できるわけではないので、使用するMAがどのようなソフトウェアと連携可能なのか予め調べた方が良いでしょう。

レポート機能

施策による効果をレポートする機能になります。
さまざまな施策を試してみても、結果を検証しなければ次の施策に活かすことができません。
どの施策がどの程度の利益を上げることができたのか、逆に効果の薄い施策は何だったのか、何が問題だったのかを細かく分析する必要があります。

例えば顧客の購買意欲の遷移をレポートすることで、どうすれば顧客に興味を持ってもらえるのかを把握できます。

「SFA」や「CRM」との違いは?


ここからは「SFA」や「CRM」との違いについて説明していきます。
まずはSFAについて説明していきます。

SFAは営業担当の業務を支援するシステムになります。例えば顧客情報・訪問回数・進捗状況・販促している商品などを一括で管理します。
システムを開けば誰がいくつ案件を抱えていて、どのくらいでコンバージョンしそうなのかを把握できます。

社内の営業担当やその上長が利用して進捗を管理するシステムになります。新規顧客を成約まで繋げる業務に役立ちます。

CRMは、新規顧客獲得というよりも、既存の顧客に対して効果的な販促を行うシステムになります。

CRMは顧客の状態を徹底的に分析します。顧客がなぜ自社商品に興味を持ったのか、次はどんな商品に興味を持つのかなど、顧客のニーズを把握することで顧客にとって最適な販促を行います。

MAが効果を発揮するビジネス分野は?


MAを導入すると効果の出るビジネスの分野について説明します。
MAはBtoCとBtoBのどちらでも使用できます。対応可能な分野は広くて、ITシステム・建築・金融・不動産・アパレル・食品・自動車など様々なサービス、商品で利用できます。
MAシステムは複数の企業がリリースしていて、それぞれ得意とする分野が異なります。まずは自社サービスにはどのような機能が必要なのかリストアップして、その機能が搭載されているMAシステムな何なのか調べるとよいでしょう。

MAを導入するメリット


MAを導入する具体的なメリットについて説明していきます。

見込み客に的確にアプローチができる

スコアリング機能により顧客の状態によって施策を分けることができます。自社サービスに対して非常に興味を持っている顧客に対してピンポイントで施策を行うことができます。サービスについて何度も調べている顧客に対してサービスの概要を説明する文を送る意味はありません。何度も調べているならば背中を押すような魅力的な文章を送る方が効果的でしょう。
顧客としても自分が知りたい情報の一歩先を知らせてくれることで、より商品に興味を持つ可能性があります。
顧客へのアプローチ方法はメール・SMS・LINEなど様々ですが、MAを導入すればそれら施策を自動的に送信することができます。

マーケティングのプロセスが可視化され収益アップに繋がる

MAは施策がデータとして残ります。どんな施策をすればどのような効果が得られるのかなどマーケティングのプロセスを可視化することで、収益アップの方法を絞ることができます。

手作業で施策を行うとデータを一括で管理しにくいですし、どのメールが開かれたのか、どのメールからコンバージョンに繋がったのかを可視化することが難しいです。

例えば100名の顧客に同様のメールを送ったとします。メールは送信しても相手が開くかどうか分かりませんね。MAを利用することでメールの開封率を把握できるので、どのような件名が効果的なのか判断することができます。

プロセスを可視化すると社員で共通認識を持つことができます。サービスの販促を担当する社員がそれぞれの動きを把握できないと、マーケティング方法に差が出てしまいます。プロセスを可視化すると社員全員が流れを確認できるので、効果の薄い施策を把握して次に生かすことができます。

マーケティングの効果を確認できる

マーケティングによる売上データを確認できます。MAは販促のプロセスだけでなく、結果も可視化できます。MAを使わずに手作業で施策を行うとマーケティングからコンバージョンの流れを把握しにくくなります。たとえ利益が上がったとしても、次の施策ではどのようなことをすればいいのか分からなくなる可能性があります。
MAを利用すればコンバージョン率などの効果を社員それぞれが確認できます。誰のどのようなマーケティングに効果があったのか把握できるので、効果のあるマーケティングを模範することができます。

ログデータの取得や分析技術の向上につながる

分析技術を向上させて、利益の向上に繋げることができます。顧客の行動やマーケティングの効果が可視化できるので、それらのデータを元に分析を行えます。MAによりデータの取得やメール送信などは自動化できますが、どのような施策をするかの判断は当然ながら人が行います。

分析ができるようになると、これまでのデータから効果的なマーケティングを判断できるようになります。例えば顧客が自社サイトに訪れて商品ページをクリックしたとします。このような顧客の行動データを元にマーケティングの方向性を決めてコンバージョンに繋げることができるようになります。

1つの分野で分析技術を身につけると、他の分野でも応用することができます。例えば既存商品とは分野が異なる新商品を販売したい時に、既にある分析技術を応用して新たなマーケティングを行えます。

受注率や案件化率の向上が期待できる

MAの施策により受注率や案件化率を向上させる可能性があります。顧客の属性分けるやスコアリングにより、施策の内容を顧客によって分けることができます。これにより同数の施策でもMAを使う場合と使わない場合で結果に差が出ます。

闇雲に施策を行うだけでは顧客に不快感を与えるだけであまり効果はありません。今や顧客はネットやSNSでさまざまな情報をキャッチできます。不必要な情報ばかり送ってくる企業は見切りをつけられてしまうでしょう。MAを利用することで顧客にとってメリットのある情報のみを送ることができます。

BtoBでも同様です。日々の業務に加えてテレアポなど多くの情報が流れて来る中で不要な情報と判断すればすぐにシャットアウトされてしまいます。顧客にとってお金をかけるに値すると判断されるような情報を送信することが重要しょう。

MAを導入するデメリット


ここからはMAを導入する際のデメリットを紹介します。

費用対効果が出るまでにある程度時間がかかる

MAを導入してもすぐは効果が出ません。まずはスコアリングの点数基準や属性の種類など顧客に関しての設定が必要になります。次に何点ならどのような施策を行うか、どの属性にどのような施策が必要かを決めます。ここからようやく施策を実行できるのですが、最初の施策ですぐに効果が出るかは分かりません。何度か施策を実行してプロセスのチェックをして結果を見て、何が良くて何が悪いのかを整理する必要があります。

施策の結果が良くても何が起因しているのか詳細を把握する必要があるでしょう。こうして分析についての学習が必要となります。分析について何度も経験することにより効果的なマーケティングができるようになります。

このようにMAを導入しても実際に効果が出るまではかなりの時間がかかります。

見込み客に対するコンテンツがないと効果が発揮されない

見込み顧客の興味を引くようなコンテンツがないとコンバージョンに繋げることが難しいでしょう。MAは顧客の関心度によって施策を分けることができます。しかし見込み顧客でも必要としている情報や商材は微妙に違います。

例えば化粧品の販売をしていて、顧客が自社サイトに非常に興味を持ってくれたとします。その顧客に対して施策を行うことになり、自社商品のPRをしたとして、顧客が本当に欲しい効能と異なっている場合はコンバージョンにはつながりにくいでしょう。

顧客が本当に必要とするコンテンツを用意していないといくらMAを活用してもコンバージョンを上げるのは難しいです。
商品の種類が少ない場合やターゲットが限られたサービスを運営している場合はMAの効果が思ったように現れないかもしれません。

活用するためデータ整理が面倒

MAで蓄積されるデータは日々増えていきます。顧客の個人情報や行動履歴など膨大なデータが溜まるので、それらを有効活用するためにデータの整理が必要となります。顧客が増えていけばそれに連なってデータも増えていきます。

蓄積したデータは分析や施策に応用できますがMAシステムを使いこなせないと無駄になってしまいます。分析についてある程度把握していないと、どのデータをどう有効活用すればよいか迷ってしまうでしょう。

データは顧客の性別・年齢・興味・趣味・行動履歴など煩雑しているので、それらをまとめるのも苦労します。データを活用するためにはバラバラのデータを分かりやすくまとめる必要があります。データ分析に関してある程度知識がないと苦労するでしょう。

MAの導入事例


ここからはMAを実際に活用している事例について説明していきます。

事例①|株式会社JTBビジネストラベルソリューションズ

MAを導入する前はエクセルで顧客情報を管理していたのですが、手間と時間がかかっていました。自社サイトに顧客からお問い合わせが来てもうまくマーケティングに活用できませんでした。

MAツールを導入すると、社内に分散していた顧客情報を一元管理できるので、業務効率を圧倒的に改善できます。展示会やイベントなど集客を目的としたマーケティングの効果が可視化できるようになりました。蓄積したデータを活用することで営業の効率アップを実現しました。

引用元:https://www.kairosmarketing.net/marketing-automation/showcase/jtbcwt

事例②|飲食業界の就職・転職支援

面談までに至らなかった見込み顧客への再接触が難しくて、常に新規顧客を獲得するのが大変でした。登録してもらった顧客に対して営業担当が電話して飲食店の紹介をしていたが、顧客によっては就職や転職の意欲が低くて面談まで繋がらなかったです。営業担当がアプローチできる顧客が少なかった。

MAを導入してからは面談を拒否した顧客でもメールの反応が良い方に再度電話したところ、約50パーセントの顧客が面談までつながりました。今すぐ就職や転職を考えていない顧客にもメールで長期的に情報提供ができるようになりました。既存顧客へのアプローチができるようになったので、新規顧客への広告費を削減出来ました。

引用元 : https://www.kairosmarketing.net/marketing-automation/showcase/naciel

事例③|ソリューション・コンサルティング提供事業者

見込み顧客の流入経路が分かりにくかったので、明確化して集客数を増やしたかったです。展示会で名刺交換した顧客との接点が作れずに、機会損失が大きかったです。
MAを導入したことにより、自社サービスのトライアルで離脱した顧客を自動抽出して、再度施策を実行できるようになりました。MAを導入してから1年で見込み顧客の数が5倍になりました。100人を超える規模のセミナーを開催しました。

引用元 : https://www.kairosmarketing.net/marketing-automation/showcase/cinjp

MAを上手く活用する方法


ここからはMAの活用方法について説明していきます。

収益プロセスにおける課題と目標を共有する

何が問題点なのか、何をもって目標達成なのかを決定しましょう。例えば自社サイトに初めて訪れた新規顧客に対して効果的なアプローチができずにほとんどが離脱してしまう。自社商品を1度購入してもらってもリピーターになりにくいなど、自社サービスの何を改善すれば集客や売上をアップできるのか洗い出します。

次に目標の設定をします。例えば自社サイトを訪れた顧客に興味を持ってもらいたいならば、顧客が必要とする情報を分かりやすく表示するなどです。フォームを設置すると顧客が質問しやすくなるので、商品に興味を持ってもらいやすくなります。
MAを利用して何を改善して、どんな結果をもたらしたいのか明確にしましょう。

収益プロセスを整理する

自社サービスの内容からMAを導入すると売上が出るまでのプロセスにどのような変化が起きるのかを洗い出します。まずは今までの収益のプロセスを整理して、問題点を見つけましょう。問題点が分かればそれを解決するためにMAをどう活用すればよいのかが分かります。

MAの導入により営業担当やサポート担当の業務も変わってくるかもしれません。なので社内で何を改善するのか、改善するために必要な準備は何なのかなどを明確化しましょう。

MAの導入を前提とした収益プロセスを作成してみる

実際にMAを導入するにあたり実際の業務で変更される部分を明確にしましょう。問題点と目標が決まり、何を変更すればよいのかが分かれば、あとは実行するだけです。MAを導入することでメール施策や分析など今までにしてこなかった業務が増えます。

業務が増えるということは今までの業務を削減する必要があるかもしれません。業務の変更が必要となる部署や社員に対して情報を共有して、MAによる施策実行を目指しましょう。

まとめ


MAの機能やメリットについて説明してきました。MAを導入することで、新規顧客に対して効果的なアプローチを実行することができますし、顧客ごとに施策内容を分けることができます。実際に導入するには問題点のリストアップや業務内容の変更などいくつかの壁はありますが、集客や売上アップに繋がる可能性が高いので、ぜひ検討してみてください。

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