DtoCとは?意味やビジネスの仕組み、企業の成功事例をわかりやすく解説
DtoCは、製造から販売まで一貫して行い、ECサイトでユーザーに直接販売する方法です。
仲介業者を挟むことなく実店舗を用意する必要もないため、低コストでスピーディーなビジネスが可能になります。
- DtoCとはどんなビジネススタイルなのか知りたい
- DtoCビジネスはどうやったら成功するのかポイントを知りたい
- DtoCの具体的な成功事例が知りたい
この記事ではDtoCについて上記のように考えている方に向けて、意味やビジネスの仕組み、企業の成功事例について解説します。
これからDtoCに着手しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
DtoCとは
近年DtoCというビジネススタイルが注目を集めています。ここではDtoCとはどのような意味なのか、BtoBやBtoCと何が違うのかを解説していきます。
DtoCの意味
DtoC(Direct to Consumer)とは、製造から販売まで自社で一貫して行い、店舗ではなく自社のECサイトでユーザーに直接販売するビジネススタイルです。
仲介業者を挟むことなく完結できるため、中間マージンを省いた値段で顧客に商品を提供できるだけでなく、顧客からの声を商品や施策に反映させやすい特徴があります。
実店舗を持たずECサイトやSNSを活用して大きな利益をあげている企業もありますが、店舗特有の顧客体験と手軽に購入できるECサイトの利点を掛け合わせて商品の売上につなげているケースもあります。
BtoB・BtoCとの違いは?
BtoBやBtoCは「誰と誰の取引か」ということを表しています。
BtoB(Business to Business)は企業が企業に販売することで、BtoC(Business to Consumer)は企業が一般ユーザーに向けて販売することです。
これに対してDtoCは「商品をどのように届けるか」を表しています。
DtoC(Direct to Consumer)は、製造から販売まで自社で一貫して行い、自社のECサイトでユーザーに直接販売することです。
DtoCビジネスの仕組み
DtoCは製造から販売まで一貫して行い、ECサイトでユーザーに直接販売するという方法です。
卸売業者や小売店のような中間業者を挟まずに、自社のみで企画や製造から販売までを行います。
商品は自社のECサイトでユーザーへ直接販売します。
自社ですべて完結しているため、何の制約を受けることもなく、商品を購入したユーザーからの反応を商品開発やマーケティングに反映させることが可能です。
DtoCビジネスモデルが増えている背景
DtoCビジネスモデルは増えていて、多くの企業が参入しています。
どのような背景の元でDtoCビジネスモデルが増加しているのかご説明します。
ネットからの購入者の増加
DtoCビジネスモデルが増えている背景には、ネットからの購入者が増加していることがあります。
わざわざお店に行かなくても商品を購入できる便利なネットショッピングは、多くの人に利用されています。
ECサイトを用意すれば多くの人に商品を買ってもらえるため。ECサイトで商品を売るDtoCビジネスモデルが増えているのです。
クラウドサービスの普及によってECサイト構築がしやすくなった
クラウドサービスの普及によってECサイト構築がしやすくなったことも、DtoCビジネスモデルの増加に影響を与えています。
これまではECサイトを自社で作るとなると費用も時間もかかり大変でしたが、現代ではクラウドサービスが普及したことで、ECサイトを誰でも簡単に作れるようになりました。
資金があまりない小さな企業もECサイトを構築できるようになったため、多くの企業がECサイトによるビジネスを始めています。
クラウドサービスではテンプレートを使ってECサイトを開設できるだけでなく、カスタマイズできるプラットフォームもあります。
また、クラウド上で高度なセキュリティー対策も可能なため大手企業も安心して利用できるのです。
このように、規模に関わらず多くの企業がDtoCビジネスに参入できるようになったことでDtoCビジネスモデルが増えています。
コロナ禍による販売店の不振
コロナ禍による販売店の不振もDtoCビジネスモデルの増加を促しています。
コロナ禍によりほとんどの小売業者が売上を落としていますが、その中でインターネット上での販売は売り上げを伸ばしています。
実店舗での売り上げがメインであった企業も、DtoCなどのネット販売に移行しています。
店舗での買い物はコロナに感染するリスクが高いため、コロナ禍では人々は店舗へ行かずにネットで買い物をする機会がさらに多くなります。
そのためコロナ禍で商品の売り上げを伸ばすためには、インターネット上での販売に力を入れなければなりません。
こうして多くの企業は実店舗を持たずに商品をインターネット上で販売するDtoCビジネスモデルに移行しているのです。
DtoCのメリット
DtoCのメリットは以下の4つです。
- 利益率がアップする
- 幅広いマーケティングが可能
- 知名度を上げることができる
- 通販サイト内での価格競争を避けられる
詳しく解説していきます。
利益率がアップする
DtoCでは中間マージンや手数料などの経費が抑えられるので、その分利益率がアップします。
自社が企画して製造した商品を、従来のように卸売業者や小売店のような中間業者を通じて売る場合、中間マージンや手数料などの経費がかかります。
たとえば、Amazonや楽天などの通販サイトに商品を出品する場合、初期登録料、毎月の登録料、システム利用料、クレジットカート決済手数料、アフィリエイト手数料など、さまざまな手数料を支払うことになります。
さらに、商品が売れた場合は売れた商品の何パーセントかが販売手数料として引かれます。
これに対してDtoCでは商品を自社のECサイトを通して直売することになるため、このような手数料がかかりません。
中間マージンや手数料などの経費が抑えられるので、その分利益率がアップします。
利益率がアップすれば商品の販売価格を落とすことも可能で、経費が発生しない分商品の販売価格を安くすれば、ユーザーに商品を購入してもらえやすくなります。
幅広いマーケティングが可能
DtoCでは幅広いマーケティングができます。
商品を購入したユーザーからの反応や意見を直接受け取ることができるからです。
自社内で企画から販売まですべて完結しているため、どこからの制約を受けることもなく、商品を購入したユーザーからの反応を商品企画やマーケティングに活用することが可能です。
知名度を上げることができる
DtoCではTwitterなどのソーシャルメディアを活用して、ユーザーからの知名度を上げることができます。
創業したばかりのベンチャー企業であっても、ソーシャルメディアを通じてユーザーとのコミュニケーションをとることで、多くのファンを作り、一気に知名度を上げることも可能です。
ユーザーとの信頼関係を構築することができれば、根強いファンやリピーターを作ることができ、売上アップにつながります。
通販サイト内での価格競争を避けられる
通販サイト内での価格競争を避けられるメリットもあります。企業がオンラインで商品を販売する有効な方法のひとつが、アマゾンや楽天のようなモール型のECサイトです。
モール型のECサイトは簡単な手続きのみで出店できユーザーを集客しやすいですが、他社商品と比べ安い特徴があり価格競争は避けられません。
たとえば、アマゾンで「水筒」と検索すると10,000以上の検索結果が表示されます。選択肢が多い場合、価格で絞ってから機能を見るユーザーは少なくありません。どんなに機能がよくても価格で候補から外れてしまうと、アピールする機会を得られなくなります。
DtoCでは自社サイトから商品を販売するため、競合との価格競争に巻き込まれずじっくりと商品を見てもらうことが可能です。
DtoCのデメリット
DtoCのデメリットは以下の2つです。
- 構築費用が高額になることが多い
- 自社だけで集客する必要がある
詳しく解説していきます。
構築費用が高額になる場合が多い
1つめのデメリットはECサイトの構築費用が高額になる場合が多いことです。企業が自社ECサイトを構築する方法は4つあります。
- フルスクラッチでゼロからつくる
- パッケージ型を選ぶ
- クラウドECを利用する
- ショッピングカートASPを利用する
DtoCブランドに多い自社の世界観を反映させたECサイトがつくれるフルスクラッチでは、自由度が高い特徴がありますが、初期費用500〜1,000万円に加えランニング費用もかかるためコストは非常に高くなります。
パッケージ型はパッケージ化されたECサイトを購入し自社サーバーにインストールして使い、カスタマイズする過程で多少のプログラミング知識が必要になります。コスト面では初期費用は500万円前後しますが、ランニングコストはドメインやサーバー代の発生程度です。
クラウドECはサービス提供元のサーバーにECサイトを置き、サーバー維持費やソフトウェアのアップデート、新しい機能の追加なども行ってもらえます。サービス提供元の負担が大きいため、構築には初期費用が100〜500万円程度かかります。
最後にBASE、Shopify、カラーミーショップなどショッピングカートASPを利用する方法ですが、サービス提供元のウェブサイト上にECサイトを開設します。ECサイトに必要な基本的な機能が揃っているためすぐ始められ、費用を抑えられることが特徴です。
具体的には、無料〜10万円程度のものと10〜100万円以下で利用できるものがあります。ただ、テンプレートを使用するためサイトの自由度は低く、独自性を出すのは難しいでしょう。
自社だけで集客する必要がある
2つめは自社だけで集客する必要があることです。通販サイトを利用する場合には、普段から通販サイトを利用するユーザーが一定数いるため、企業や商品を知らなくてもサイト内でランキングの上位に表示されたり注目を集められれば購入につながります。
しかし、自社だけで集客する場合には商品や企業を知ってもらうところから始めなければならず、SNS運用や検索エンジンでの自然流入、広告などを活用する必要があります。
SNS運用や自然流入で自社サイトへ誘導する場合、SNSのフォロワーを増やしたり検索エンジンで上位表示されるためのSEO対策が必要です。
この2つは広告のようなコストはかかるが即効性の高い集客方法と比べ、ほとんど費用がかからない代わりに時間がかかります。
上手く運用したりコンテンツを充実させれば自社の財産として積み上がり、そこまで手をかけなくてもアクセス数を稼げるようになり効果的な集客方法です。
DtoCで成功するためのポイント
DtoCを成功させるためにはおさえておくべきポイントがあります。
DtoCを成功させるポイントを4つご紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
商品力を上げる
まずは商品力を上げる必要があります。
DtoCでは商品の魅力だけで勝負しなければなりません。
企業がユーザーに直接販売することになるため、販売代理店のリコメンドや、スタッフのセールストークなどは利用できないからです。
反対に魅力的な商品であれば、ユーザーにSNSを通じて評価してもらい反響を呼ぶことも可能です。
ユーザーがTwitterやInstagramなどのSNSを通じて商品のレビューを投稿して、どんどん拡散されたりWEBメディアで取り上げられたりして話題になるかもしれません。
ユーザーの視点から商品を企画して、ユーザーが本当に必要としている商品を作り出すことが大切です。
ブランド力を上げる
DtoCで成功するためには、ブランド力を上げる必要があります。
インターネット上でのユーザーの接触点に関係します。
人気ブランドであればGoogleやAmazonで検索する時に商品名を入力して、企業が運営するECサイトに着いて購入してもらえます。
しかしブランド力がない企業の場合は人気ブランドのように知られていないため、誰もその企業の商品を検索してくれません。
オシャレで使いやすい魅力的なECサイトを作って商品を販売しても、まずそのECサイトへ訪れてくれないのです。
企業を認知してもらうために広告を用意しようとしても、テレビCMやYahooへの出稿などの広告は一過性のものになりやすく、継続して商品を購入してもらうことにはつながりません。
充分な効果が得られず、数千万円と高額な費用もかかります。
ブランド力がない企業がDtoCで成功するためには、継続して商品を購入してくれるファンを作っていく必要があります。
これにはTwitterなどのSNSを使ったWEBマーケティングが必要です。
SNSを通してユーザーとコミュニケーションをとりながら、要望に応えられるような商品を作り、アピールしていく必要があります。
WEBマーケティングの知識を上げる
資金があまりない中小企業がDtoCを成功させるためには、Twitterなどのソーシャルメディアを使ったWEBマーケティングで集客を成功させることが大切です。
そのため企業のWEBマーケティングの知識を上げる必要があります。
まずWEBマーケティングの知識を持った人材を雇うと言う方法があります。
しかしWEBマーケティングの知識を持った人材は大手企業への就職を目指したり、独立や起業をしたりすることが多いです。
そのためWEBマーケティングの知識を持った人材を転職市場で採用することはかなり難しくなります。
広告代理店にDtoCのWEBマーケティングを依頼するという方法もあります。
しかし企業にWEBマーケティングの経験がないと、優れた広告代理店を選ぶことができません。
広告代理店は、受注するタイミングにはエースの人材を当て、受注後には新卒に近い社員を担当させるということもあります。
このような事態を見破る必要がありますが、そのためにもWEBマーケティングの知識が必要になるのです。
ユーザーの囲い込み戦略を行う
DtoCにはユーザーの囲い込み戦略が必要です。
ビジネスで多くの利益につながるのはリピーターです。
パレートの法則でも「全体の利益の8割をもたらすのは2割のユーザーだ」と提唱されていて、このことからもリピーターの獲得が売り上げアップにつながることがわかります。
実店舗であればリピーターがお買い物や仕事帰りについでに立ち寄ってくれて繰り返し購入してもらえるということがあります。
しかしECサイトの場合にはこのようなタイミングがありません。
メルマガなどでリピーターに商品を繰り返し購入してもらうというのもかなりハードルが高いです。
そのためDtoCではユーザーをより強力に囲い込まなければなりません。
ユーザーを囲い込むためには定期販売やサブスクリプションのような販売形式が効果的です。
スマートフォンが普及したことによりユーザーが気軽にサービスの申し込みと解約ができるようになりました。
このような理由から、定期販売やサブスクリプションのような販売形式が普広く利用されているのです。
ECサイトでのサブスクリプションの決済や複雑なサイクルの定期販売などにも対応したクラウドサービスが多く提供されています。
たとえば「おすすめのコスメが毎月届く」というようなサブスクリプションサービスがあります。
DtoCでサブスクリプションや定期購入を取り入れることで、リピーターに商品を繰り返し買ってもらえるようになり、ユーザーの囲い込み戦略が成功します。
DtoCの成功例
DtoCはどのように成功しているのか、詳しくご紹介します。
ECサイトやソーシャルメディアの時代の到来
ECサイトやソーシャルメディアが普及したことにより、DtoCが成功するようになりました。
現代では多くの人が日常的にECサイトでネットショッピングをしています。
実店舗がなくてもECサイトがあれば商品を販売できる環境が整うのです。
Twitterやインスタなどのソーシャルメディアも多くの人が利用しています。
ソーシャルメディアの公式アカウントで商品を宣伝することで、ユーザーに宣伝することもできます。
多くの人が利用するソーシャルメディアを使って商品の宣伝をすることは、商品を知ってもらったり興味を持ってもらったりするのに効果的です。
コスト削減&スピードアップ
DtoCでビジネスのコスト削減とスピードアップが可能です。
仲介業者を挟むことなく完結できるので、無駄なコストや手間を省いて、商品をユーザーの元へスピーディーに届けることが可能です。
商品を企画してからユーザーの元へ届くまでのスピードが早いので、流行の移り変わりにもすばやく対応できます。
企業のDtoC成功事例12選
ここでは企業のDtoC成功事例を12個紹介します。
小柄女性向けファッションに注目したCOHINA(アパレル)
COHINAは「155cm以下の小柄女性向けブランド」をコンセプトにしたDtoCのアパレルブランドです。Instagram、LINE、Twitter、WEAR(誰でもコーディネートを投稿できるアプリ)などSNSを活用して顧客とコミュニケーションをとり、ブランドの認知度を向上させてきました。
特にInstagramでは毎日配信を行うことで、大規模な広告宣伝を行うことなくフォロワーを16万人にまで増やすことに成功しています。
Instagramからの流入で売上を伸ばしてきたCOHINAですが、顧客データの収集や情報量の多さを求める顧客のニーズに応えるためにInstagramに依存せず自社サイトに力を入れているとのこと。
顧客の潜在的なニーズを汲み取り、顧客体験や口コミ、リピーターの存在を大切にして売上を伸ばしたCOHINAは創業の1年半後には月商5000万円に到達し、売上は前年比2.2倍、顧客数も2.8倍と増加を続けています。
ブランドの世界観を伝えた土屋鞄製造所(アパレル)
土屋鞄製造所は皮革製品の企画、製造、販売を行うDtoCブランドです。1998年にEC事業を開始した当時はモール型のECサイトを利用していましたが、ブランドの世界観を十分に伝えられない課題に直面し自社ECサイトを開設、その後SNS運用も始めました。
口コミからの購入が多かった従来に比べ、現在はSNS投稿で興味を持ったあと自社ECサイトや店頭で購入する流れが出来てきています。
土屋鞄創造所が大切にしていることは、ブランドの思いや世界観を伝えることで、SNS、ブログ、カタログ、ECで世界観がブレないように気をつけています。
そのため、それぞれの業務を外注に頼らずすべて社内で行っているのが特徴です。
高価格帯の商品でも「ストーリー性のある読み物」の発信や作り込まれたカタログなど、こだわったコンテンツで顧客との継続的な接点を持ち続けられているため、魅力を十分に伝えられ購入につながっています。
品質にこだわった10YC(アパレル)
10YCは2017年に創業したDtoCのアパレルブランドで、大手アパレル出身の下田代表がクラウドファンディングでの成功をもとにECサイトでの販売を開始しました。製造委託先の工場と直接取引することで余計なコストを省いています。
「10年着続けたいと思える服」をコンセプトに着心地や耐久性など品質にこだわった商品はベーシックアイテムに定評があり、一時期は予想以上の注文にブランドを一時休止し生産供給システムを見直す事態となりました。
10YCでは買ってからはじまる関係性を大事にしており、自社商品をなるべく長く着てほしいとの想いから染め替えサービス「IROHEN」や下取りサービス、服の修理を行う「TSUGITASHI」を実施しています。
ひとつの商品を染めたり治したりしながら愛着を持って着続けられるだけでなく、自分が不要になっても他の人に再利用してもらえる仕組みづくりも10YCの魅力です。
OLの悩みから生まれたBELLE MACARON(アパレル)
BELLE MACARONはノンワイヤーブラ専門のDtoCブランドで、創業者の小島氏がOL時代にワイヤーの締め付けに悩まされた経験からつくられました。
会社員として働きながらサンプルづくりを進め、2年以上の年月をかけて開発しました。
同氏のこだわりが詰まっており、たとえば生産体制では、納得するクオリティにするため生地から製造まで国内産に統一し、職人が1枚ずつ縫い上げています。
苦労の末、完成した「24hブラ」ですが当時はなかなか売れず生活を支えられない程の売上でした。
そこでネット広告を出したりECモールへ出店したりと試行錯誤する中で、Twitterでブラジャーの悩みに関するコンテンツを発信したところバズったのをきっかけに日商10万円を達成しました。
共感コンテンツの発信から口コミがどんどん広がり、2018年の販売開始から年間累計1万~1万5000枚ほど売れています。今では再販の度に完売するほどの人気です。
オーダースーツのハードルを下げたFABRIC TOKYO(アパレル)
FABRIC TOKYOはオンラインでも購入できるオーダースーツを販売しているDtoCブランドです。
店舗でサイズを計測し登録しておくと、オーダーメイドのスーツやシャツをオンラインで購入できる仕組みになっています。
従来のオーダーメイドスーツは「価格」と「店舗に入るハードルの高さ」がネックとなっていましたが、FABRIC TOKYOでは中間マージンを省くDtoCの形態をとることで価格を抑え、オンライン販売にすることで入店のハードルを下げました。オーダースーツでは、2014年の創業時から3万円代での販売を実現しています。
採寸したサイズデータの他にウェブサイトへのログイン頻度やSNSとの連携状態など顧客の行動を追うことができるため、さまざまなデータ分析が可能になりました。
その結果、カスタマーサクセスのように顧客に寄り添うことが可能になり、一人の顧客と長期的な関係が築け成功につながりました。
コアなファンを大切にしたMr. CHEESECAKE(食品)
Mr. CHEESECAKEは究極のチーズケーキをオンライン販売しているDtoCブランドです。創業者の田村氏がInstagramに投稿したことをきっかけに、DMを介して販売したのが始まりでした。
商品をつくるに当たっての田村氏のこだわりは「届いた瞬間を最大化する」ことで、商品の価値をそのまま届ける工夫をしています。たとえば、届いた箱のまま解凍する顧客の行動を想定し、皿に移すときに崩れないような設計の箱にしているとのこと。
幻のチーズケーキと話題になるほど人気の同商品は、希少性から購入したいと考える消費者も多いですが、本当のファンに届けるための工夫も怠っていません。
メルマガやLINE限定での販売にしたり、販売情報をしっかり伝えることで顧客の購入忘れを防いでいます。
熱量の高いファンにしっかり商品を届けることで、継続した関係を築きつつ新しい顧客も増やす結果につながっています。
顧客の意見を反映させたsnaq.me(食品)
snaq.me(スナック・ミー)は約1,000億通りの組み合わせから、顧客の好みに合ったおやつBOXを届けるサブスクリプションサービスを実施しているDtoCブランドです。
一番の特徴は顧客からのフィードバック評価やリクエストを反映させているところにあります。
たとえば、次回は塩気のお菓子をいっぱい入れて欲しいと言われれば、塩気のお菓子の詰め合わせを送ったり、フィナンシェのセットを作ってほしいという要望からそのまま商品化するなどです。
もともとは市販のお菓子を買い集めて発想するサービスでしたが、顧客の欲しいものを実際に作って提供するためにDtoCの形態になりました。
スナック・ミーでは道の駅で販売しているメーカーとの取引もありますが、基本的に買取の形をとっており社内で梱包、発送とすべての業務を行っています。
自分へのご褒美として購入する女性を中心とした利用が多く、顧客数は拡大を続けています。
店舗でクオリティを高めたMinimal(食品)
Minimalは2014年創業のクラフトチョコレートを販売するDtoCブランドです。従来のチョコレート製品は商社がカカオ豆を仕入れ、一次メーカー、二次メーカーを経て消費者に届けていましたが、Minimalでは原材料の仕入れから製品をつくるところまで自社工房で一貫管理しています。
ブランド戦略としてはじめに力を入れたのは店舗販売で、顧客に店頭で試食をしてもらい直接反応を見ながら試行錯誤しました。店頭でニーズを把握し、商品に磨きをかけることで世界と戦えるクオリティへ高めEC販売に移行したとのこと。
しかし、ECでは店舗で売れていた高価格の売れ筋商品が売れず、初めてヒットした商品からヒントを得て「美味しそう」と感じるネーミングやビジュアルに注力しました。
コロナ禍を経てSNSに力を入れ、現在は人に美味しいと伝えたくなる雰囲気を大切に顧客を巻き込んだブランド作りを進めています。
創業者の悩みを解決したBASE FOOD(食品)
BASE FOODは2016年創業で、完全食と呼ばれる「1食で1日に必要とされる栄養素の1/3が含まれた食事」としてパスタやパンを提供するDtoCブランドです。
創業者の橋本氏は前職で働いていた当時、忙しさから栄養面に配慮した食事ができずにいたため、美味しくて身体にいい食事を手軽に摂りたいと考え完全食の開発を始めました。
1年間で100個の試作品をつくるなど試行錯誤の末、完全食パスタの「BASE PASTA」をつくりクラウドファンディングを開始、その後アマゾンで販売しました。
今までにない栄養素に焦点をあてた製品は新しい市場を切り開き、2022年でBASE FOODシリーズは累計5,000万袋の売上を達成しています。
販売方法として自社ECでのサブスクリプションサービス、楽天やアマゾンなどの他社EC、コンビニやスポーツジムなどの卸販売と3つのチャネルを活用しており、オンラインをメインにオフラインでも販路を拡大させています。
パーソナライズを重視したMEDULLA(美容)
MEDULLAは5万通りの組み合わせから顧客にあったシャンプーとトリートメントを提供するパーソナルヘアケアサービスのDtoCブランドです。
ブランド側からの質問に答えると累計30万人の髪質診断データをもとに顧客にあったシャンプーとトリートメントを提案してくれます。
カウンセリングは一度で終わりではなく、定期カウンセリング機能を利用することで顧客の変化に寄り添ったサービスが可能です。
創業時「パーソナライズ」の視点を意識し開発したサービスで、送られた商品に顧客がフィードバックを行うと次に送る商品の変更や季節に合った商品の提案がされる仕組みになっています。
販促施策としてはTVでCMを流し、アフィリエイター向けの訴求や企業への信頼を獲得しました。
またビジュアルにもこだわっており、ワクワクするようなときめきを大事にする考え方がサイトや商品のデザインに生かされています。
人気ブログから生まれたGlossier(美容)
Glossierは創業者のEmily Weiss(エミリー・ワイス)氏が個人的に運営するブログが大人気となり設立したコスメのDtoCブランドです。
同氏はVOUGEのアシスタントとして働いていた当時、仕事先で会った美容業界やファッション業界で活躍する人へリサーチした内容を自身のブログにあげていました。自身が求めていた情報を発信することで同社の顧客層であるミレニアル世代(1981年~1997年生まれ)の気持ちを理解すると共に代弁者になっていたのです。
Glossier設立後、商品が顧客の心を掴んだ要因のひとつにInstagramがあります。Instagramの投稿では自然さやナチュラルさを発信しており、理念やストーリーに共感した272万人のユーザーがフォロワーとなりました。顧客との双方向のコミュニケーションとその継続も顧客の共感を呼び、売上の増加につながりました。
口コミからCMで認知が広がったBULK HOMME(美容)
BULK HOMME(バルクオム)は2013年創業でメンズスキンケアのDtoCブランドです。
男性をターゲットにしたフェイスケアやボディケアの基礎化粧品を販売しており、立ち上げ当初はオンライン直販による定期購入が基本でした。
始めに行ったのはSNSを中心に顧客発信のコンテンツや口コミで認知拡大を図ることで、その後2018年からタレントを起用したTVのCMで一気に認知されました。
定期購買が軌道にのるまでは、Instagramでの広告やLINE@のボットでコミュニケーションをとりながら商品を提案する方法、Youtubeの動画広告などに力を入れていたとのこと。
現在はアマゾンや楽天、大手のドラッグストアでも購入できるようになっており、バルクオムに関する口コミでは全体の4割を女性が占めています。
女性が直接薦めたりプレゼントすることで自分で購入するハードルがなくなることも特徴で、同社の商品を使う男性が増えている要因といえます。
まとめ
この記事ではDtoCについて、意味やビジネスの仕組み、企業の成功事例について解説しました。
DtoCは、製造から販売までをすべて自社だけで一貫して行い、ECサイトでユーザーに直接商品を販売するという方法です。
仲介業者に依頼する必要がなく、実店舗を用意する必要もありません。
そのためよりスピーディーなビジネスが可能で、コスト削減にもつながります。
これからDtoCに着手しようと考えている方は、ぜひこのページでご紹介したポイントなどを参考にして取り組んでいただければと思います。
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