コンバージョンAPI(CAPI)とは?仕組みやメリット、導入方法を解説
近年、Webサイトを訪れた後のユーザーの行動を追跡するサードパーティーCookieの情報が、いつの間にかマーケティングに利用されることに不快感を表す人が増えています。
実際、パソコンや携帯を使っていていつも同じ広告が表示される、個人の好みを把握されているように感じて嫌だと思う方もいるのではないでしょうか?
Cookieの情報が利用されることに不快感を表す人が増えている中、Cookieを使用しない広告の効果測定のための技術であるコンバージョンAPIが注目されています。
この記事ではコンバージョンAPIについて知りたい方に、仕組みやメリット、導入方法を解説します。
INDEX
Facebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)とは
Facebook広告のコンバージョンAPI(CAPI)とは、Cookieに依存しない計測方法です。
集めたデータを広告主自身のサーバーから直接Facebook社のサーバーへ送信する仕組みで、従来のようにCookieを利用しない方法のことを言います。
今までCookieはWebサイトに訪れたユーザーの行動履歴や興味関心などを記録しマーケティングに利用されてきました。しかし、Cookieのデータを使うことが個人のプライバシーを侵害しているという見方から批判が広がってきたのです。
Cookieの代わりになるものとして、Facebook広告のコンバージョンAPIが注目されています。
コンバージョンAPI(CAPI)が導入された経緯
コンバージョンAPI(CAPI)が導入された経緯は、Webサイトを訪れた後のユーザーの行動を追跡するサードパーティーCookieの規制が始まったからです。
Cookieの情報を本人の知らないうちに、マーケティング施策や広告配信などに利用することは、プライバシーの侵害につながるという考え方が世界的に広がっています。
EUや米国では個人情報に該当する法規制が進んでいて、日本でも2022年4月に改正個人情報保護法が施行されました。
すでにSafariは、2020年3月時点でサードパーティーCookieを完全にブロックしており、Chromeでも2023年後半に規制を開始する予定です。
Cookieが使用できなくなると、従来のような広告効果の測定はできなくなってしまいます。
なぜコンバージョンAPIが重要なのか
個人のプライバシーを侵害しているという見解から、Cookieの規制は進んでいます。
Apple端末では、iOS14.51以降サードパーティCookieを規制するために、【トラッキングID追跡防止機能】が導入されました。
このトラッキングID追跡防止機能が導入されたことにより、ビュースルーCVやリマーケティング広告、そしてアトリビューションが利用できなくなっていますし、一部のコンバージョン計測にも発生しており、Facebook広告にも影響がでています。
前述のとおり、ChromeやSafariでもCookieに対する規制は進んでいますので、もはやCookieだけでは必要な分析データを拾い上げることが不可能となってきたのです。
必要な情報の取りこぼしが起きないようにするためにも、Facebook広告のコンバージョンAPIの導入は重要となります。
コンバージョン計測は、環境やトレンドに左右されない大切な指標になっています。
広告を取り扱う上で正確な指標を確認できるような仕組みを作り、環境を構築することは、業績向上のためにも重要な位置を占めているのではないでしょうか。
コンバージョンAPI(CAPI)の仕組み
コンバージョンAPI(CAPI)は、広告主自身のサーバーからFacebook社のサーバーに情報を送る仕組み(⑤)です。
Facebook広告のピクセルタグでCookieを使って得たデータ(①②③)を、広告主自身のサーバーからFacebook社のサーバーに直接データ送信をする(①④⑤)ことでCookie制限の影響を回避する仕組みになっています。
サーバー経由でのデータ連携であるため、プライバシーとパーソナライズの両立が可能です。
また、単純にCookieに左右されないだけでなくデバイス要因による制限を受けにくいので正確な測定が可能です。結果として、顧客獲得単価の削減につながります。
META社はピクセルとコンバージョンAPIの同時使用を推奨
コンバージョンAPIを導入した際に、ウェブサイトのリンク方法を選択する場面で、2つの選択方法から選ぶことが出来ます。
- コンバージョンAPIとMETAピクセル
- ピクセルのみ
結論から申し上げると、コンバージョンAPIとMETAピクセルの同時使用を選択しましょう。
理由としては、コンバージョンAPIは、METAピクセルの代わりとして作り出された技術ではないからです。
コンバージョンAPIは、METAピクセルで拾いきれなかった計測データを補うために作られたものであり、プライバシー保護による規制を回避するために作られたものではありません。
ですのでMETA社は、コンバージョンAPIとMETAピクセルの同時使用を推奨しています。
目的は、拾いきれなかった計測データを補うためでもありますが、同時使用を実践することにより、より正確なデータの収集、そしてデータ管理の強化や最適化にも繋がってくるのではないでしょうか。
コンバージョンAPIを導入できない場合に起こること
コンバージョンAPI(CAPI)を導入できない場合、広告の効果を計測するためのデータに大きな欠損が発生します。
本当は広告経由のコンバージョンだったとしても、ブラウザやデバイスレベルでの制限により広告の成果という判断がされないのです。
広告がコンバージョンを獲得するのに有効かどうかを知れなくなると、広告費を投資し続けていいのか判断が難しくなってしまいます。
また、正確なデータがなければ現在主流になっている広告の自動入札もまともに動かなくなるのです。
他にも、広告効果測定の精度が下がることは広告単価が上がる要因になります。つまり、今までできていたことが根本から崩れてしまうのです。
コンバージョンAPI導入のメリット
コンバージョンAPIはCookieの代わりになるだけではありません。ここでは、コンバージョンAPIを使用するメリットを3つ紹介します。
コンバージョンAPIメリット①Cookie規制の影響を受けない
1つめのメリットは、コンバージョンAPI導入をするとCookie規制の影響を受けないことです。
ユーザーのブラウザを経由しCookieの同意を得る必要がないだけでなく、ブラウザ自体の広告ブロッカー設定や読み込みエラー、接続の問題も避けられます。
また、アップデートや他社の規制などデバイス自体の影響も受けないので、安定した広告測定が可能です。
FacebookピクセルとAPIの違い
Facebookピクセルの場合は、配信した広告に計測タグを設置すると、ブラウザ上に3rd Party Cookieが設置されます。 配信した広告の掲載先のWebサイトからブラウザを通じて広告主の計測サーバーにデータが送られます。
ブラウザを通して情報を集めているため、ユーザーのCookieに対する同意が得られない場合や、Chromeのように今後Cookiwが廃止される場合、Facebookピクセルは計測を行うことはできません。 正確なデーターを収集できなければ、ユーザーをターゲティングできません。
そのために、まもなく衰退する可能性が高いCookieの代わりになるような計測方法を取り入れる必要があります。
コンバージョンAPIでは、ブラウザを通らず、広告の配信元Webサイトに対し直接的にサーバーイベント育成要求を行います。 このようにすれば、広告主のクライアントサーバーからMeta Platformの広告サーバーへ直にデータを送信可能です。
コンバージョンAPIメリット②より多くのデータが収集可能
2つめのメリットは、コンバージョンAPIをFacebookピクセルと併用することで、Facebookピクセルだけの計測と比べて、より多くのデータが収集可能な点です。
コンバージョンAPIは、ピクセル計測でとりこぼしたデータ計測をカバーするイメージで開発されており、Facebook社はコンバージョンAPIとFacebookピクセルの同時利用をすすめています。
また、コンバージョンAPIを導入すると、実店舗や電話などネットを利用しないオフラインでのコンバージョンも計測可能です。
ピクセルによる詳細マッチング機能を設定すれば、Facebookにログインしていないユーザーの行動も計測できます。
誰がどんなアクセス経路でコンバージョンに至ったかがわかるため、より効果的な広告運用につながるのです。
コンバージョンAPIメリット③広告の最適化
3つめのメリットは、コンバージョンAPIの使用でもCookieでの計測と同様に広告の最適化が可能なことです。
Cookieで計測したときより多くのデータが集まるので、広告のパーソナライズ化の正確性が上がり、広告に興味や関心がある利用者に広告が表示されやすくなります。
たとえば、ECサイトで商品をかごに入れた顧客に対して類似商品を表示する、おすすめ商品をメール配信するなどです。
コンバージョンAPIを利用することで、購入金額や頻度が高く企業の売上につながる優良顧客に対してのみ広告を提供できます。
計測データの精度がアップ
従来のピクセルタグによる計測ではオンラインデータのみが計測の対象でしたが、APIの導入により、広告主のサーバーにあるほかのマーケティングデータと突き合わせることもできるようになりました。
つまり、オフラインで得たデータとも合わせて分析可能です。
また、コンバージョンAPIとピクセルタグをともに活用することで、データの取りこぼしを減少させ、より精度の高い計測が可能になります。
APIでデータ連携が実行されるため反映が早くなる
コンバージョンAPIでは、サードパーティからのCookie情報を待つことなくサーバーから直接情報が送信され分析が行われるため、データ連携が早くなります。
特にインターネットマーケティングでは、PDCAサイクルを早めに回さなければなりませんが、素早く正確なデータで改善できることは大きなメリットの1つになります。
コンバージョンAPI導入のデメリット
コンバージョンAPIを導入するにあたってのデメリットは2つあります。
コンバージョンAPIデメリット①導入にエンジニアが必要
コンバージョンAPI導入には、専門の知識が必要になります。
そのため、自社に専門の知識を持ったエンジニアがいない場合は、サードパーティーの広告測定ツールを導入するかパートナー統合の方法を利用しましょう。
コンバージョンAPIデメリット②社内確認に時間がかかる
コンバージョンAPIの導入には技術的な難しさだけでなく、社内の法務的な調整が必要です。
コンバージョンAPIでは自社の顧客情報であるファーストパーティデータをFacebook社の広告サーバーに送信します。
暗号化されたデータを送りますが、個人情報に変わりないので顧客情報を管理する点から慎重に検討することが必要です。
しかし、Facebook社に送るデータが多ければ多いほどコンバージョン計測の正確性が上がる要素もあるので、どの情報を送るか社内で確認しておきましょう。
コンバージョンAPIの導入方法
コンバージョンAPIを導入する方法をご紹介します。
どのような情報をコンバージョンAPIで送信するかを検討する
コンバージョンAPIにてFacebookサーバーに送信しなければならない最低限の情報は以下の通りです。
- event_name:標準イベントまたはカスタムイベントの名前
- event_timeイベント発生日時
- user_data:顧客に対する情報
これらのうち、必須のパラメーターのuser_dataは、Facebookアカウントとの整合を図るためのパラメーターです。
そのため、user_dataで送れる情報が多ければ多いほどコンバージョン計測が正確になります。 できる限り情報を送るようにしましょう。
コンバージョンAPIで必要なパラメーターとは
コンバージョンAPIは以下のようなパラメーターから構成されています。
- 本文パラメーター
- 顧客情報パラメーター
- サーバーイベントパラメーター
- アプリデータパラメーター
- 標準パラメーター
これらのパラメーターは、広告アトリビューションや広告配信の最適化でコンバージョンAPIが使用する必要のある、すべての必須イベントデータパラメーターとその他の付加的なデータパラメーターで構成されます。
必須のパラメーター
コンバージョンAPIを使用して共有されるウェブサイトイベントの場合、client_user_agent、action_source、event_source_urlのパラメーターが必須です。
一方、ウェブ以外のイベントではaction_sourceのみ必須です。
これらのパラメーターによって、広告配信に使用されるイベントの品質が上がり、キャンペーンのパフォーマンス向上につながる可能性があります。
顧客に関する情報
コンバージョンAPIの顧客情報パラメーターは以下から構成されています。
em: メール — ハッシュ処理が必要
ph: 電話番号 — ハッシュ処理が必要
fn: 名 — ハッシュ処理が必要
ln: 姓 — ハッシュ処理が必要
ge: 性別 — ハッシュ処理が必要
db: 生年月日 — ハッシュ処理が必要
ct: 市町村 — ハッシュ処理が必要
st: 都道府県 — ハッシュ処理が必要
zp: 郵便番号 — ハッシュ処理が必要
country: 国 — ハッシュ処理が必要
external_id: 外部ID — ハッシュ処理を推奨
client_ip_address: クライアントIPアドレス — ハッシュ処理なし
client_user_agent: クライアントユーザーエージェント — ハッシュ処理なし
fbc: クリックID — ハッシュ処理なし
fbp: ブラウザーID — ハッシュ処理なし
subscription_id: サブスクリプションID — ハッシュ処理なし
fb_login_id: FacebookログインID — ハッシュ処理なし
lead_id: リードID — ハッシュ処理なし
anon_id: インストールID — ハッシュ処理なし(注: このパラメーターはアプリイベント専用です)
madid: モバイル広告主ID — ハッシュ処理なし(注: このパラメーターはアプリイベント専用です)
送信するイベントのどのイベントをコンバージョンAPIで送信するかの検討
数あるイベントの中でも、 ユーザーのメールアドレスが最優先となります。この項目については、広告主の個人情報保護の観点からも従分な検討が必要になるでしょう。
検討した結果、ハッシュ化したメールアドレスであればOKとなり、コンバージョンAPIを通じて送信できれば精度が非常に高まります。 繰り返しになりますが、送信する情報が多いほどマッチング精度が高まります。
Googleタグマネージャーを使って実装する
次にGoogleタグマネージャーを使って実装する方法です。Facebookより正式に案内されているGoogleタグマネージャーの実装方法はサーバーサイドコンテナを利用しています。
参考: Googleタグマネージャ用コンバージョンAPI – マーケティングAPI
Googleタグマネージャーを利用することで自社で一から開発するよりは簡単に実装が可能です。Googleタグマネージャーの利点はサーバーサイドタグを用いて実装するので、Facebookの広告計測だけでなくGoogleの広告計測も同時にできます。
利用するには、まずGoogleタグマネージャーのサーバーサイドコンテナを実装する必要があるので、以下を参照してください。
参考: サーバーサイド タグ設定|Google タグ マネージャー – サーバー側
パートナー統合で実装する
次にパートナー統合で実装する方法です。ウェブサイトをFacebookパートナープラットフォームの1つで運用している場合、コンバージョンAPIを簡単に設定できます。
Facebookパートナープラットフォームとは、ShopifyやWordPress などパートナー統合リストにあるサービスのことです。
Facebookパートナープラットフォームを活用すると、ウェブサイトのコードを編集する必要がなく実装できるため、システム構築などの特別な知識がなくても実装できます。
利点として、ほとんどFacebookとパートナーサービスの管理画面上の設定でコンバージョンAPIの実装が可能です。
Facebookパートナープラットフォームは下記の記事から確認してください。
参照: ウェブ用パートナー統合について
自社開発で実装する
次は自社開発で実装する方法です。ウェブサイトをFacebookパートナープラットフォームの1つでウェブサイトを運用していない場合、コンバージョンAPI(CAPI)の仕組みを自社開発で実装する必要があります。
社内のエンジニアまたはシステム開発などを委託しているパートナー会社と共に、仕組みをつくりましょう。
システム開発のためのクライアントサーバーやクライアントサーバーのシステムによって開発方法が異なるので、サーバーごとに確認してください。
コンバージョンAPIを使ったデータ送信テストの実施
技術的な実装が完了したら、実際にコンバージョンAPIを使用したデータ送信テストを行います。 テストデータを送信後に、Facebookのイベントマネージャーでテストデータが受信されていれば本番運用に進む形になります。
手動APIを実装する
統合パートナー以外を利用していたり、自社サーバーを構築している場合に用いる方法です。
手動での実装は、イベントなどの設定をカスタマイズする場合や、パートナー連携に対応していないサービスを利用している場合、自社でサーバーを構築して運用コストを抑える時に利用します。
ただし、サーバー環境へのアクセス権やコードの記述経験、アクセストークンの取得などが必要です。 よくわからない場合はエンジニアの方などと相談しながら準備を進めていきましょう。
サードパーティーの測定ツールを実装する
最後は、サードパーティの計測ツールを導入する方法です。
クラウドサービスの販売会社から提供されている広告効果を測定できるツールや、企業の標準データを一時的に蓄積し一カ所で管理するデータハブサービスの中には、コンバージョンAPI(CAPI)に対応しているツールがあります。
月額費用がかかりますが、比較的簡単に導入できるので自社にエンジニアがいない場合や今すぐの導入を考えている場合には検討してみましょう。
まとめ
今回は、コンバージョンAPIについて仕組みやメリット、導入方法について解説してきました。この記事のポイントは以下の通りです。
- コンバージョンAPIとはCookieに依存しない計測方法
- コンバージョンAPI(CAPI)は、広告主のクライアントサーバーからFacebook社の広告サーバーにイベントを送信する仕組みのこと
- コンバージョンAPI(CAPI)を導入できない場合、従来のような広告の効果計測ができなくなってしまう
- コンバージョンAPIのメリットは、Cookie規制を心配する必要がなくより多くのデータを集められて、広告の最適化ができること
- コンバージョンAPIを導入する方法は、「Googleタグマネージャーを使って実装する」「パートナー統合で実装する」「自社開発で実装する」「サードパーティーの測定ツールを実装する」の4つ
コンバージョンAPIは広告運用をするうえで非常に重要な仕組みです。
サードパーティーCookieの規制が進んでいる現在、なるべく早くコンバージョンAPIを使った計測に切り替えることが必要とされています。
この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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