O2Oマーケティングとは?事例やメリットをわかりやすく解説

O2Oマーケティングとは、自社サイトやSNSなどのオンラインで集めた顧客をリアル店舗へ誘導し、商品の購入につなげるマーケティング手法です。

顧客が商品を購入する際にネットを使うことが一般的になったため、O2Oマーケティングの重要性が高まっています。

この記事では、O2Oマーケティングとは何かや事例について知りたい方に向けて代表的な手法や事例、メリットをわかりやすく解説します。

オムニチャンネルやOMOとの違いもわかるので、ぜひ参考にしてみてください。

O2Oマーケティングとは?

O2Oマーケティングとは、自社サイトやSNSなどのオンラインで集めた顧客をリアル店舗へ誘導し、商品の購入につなげるマーケティング手法です。

O2Oとは「Online to Offline」の頭文字をとったもので、オンラインからオフラインへという流れを意味します。

たとえば、Webサイトやアプリ上でセール情報やリアル店舗限定のクーポンを提供して来店を促すような施策がO2Oマーケティングです。インターネットの普及と共にO2Oマーケティングが重視されてきています。

O2Oマーケティングがなぜ重視されているか

O2Oマーケティングが重視されている具体的な理由を3つ紹介します。

商品の購入にネットが欠かせなくなった

1つめは商品の購入にネットが欠かせなくなったからです。インターネットの普及と共に、どこからでも情報が得られるようになりました。

その結果、ほとんどの顧客は商品を購入する前にスペックを調べたり類似商品と比較したりします。ネットでの情報発信が売上に与える影響は大きいため重視されているのです。

SNSでの情報共有が当たり前になった

2つめはSNSでの情報共有が当たり前になったことです。SNSではリアルな感想が得られるので参考にする人が多くいます。また、商品が話題になれば一気に拡散されるので影響力がとても大きいです。

InstagramやTwitterなどSNSでフォロワーを増やせばたくさんの人にレビューしてもらえ、そのまま店舗の売上にもつながります。店舗専用のアカウントをつくるなどSNSの運用に力をいれる会社が多いです。

リアル店舗が再評価されている

3つめはリアル店舗の再評価です。ネット社会になったことでECサイトでの購入が一般的になりましたが、届いた商品が予想と違ったなど不都合もあります。試着や実際の商品を手にとりながら選ぶ、販売員に相談できるなどがリアル店舗ならではのメリットです。

顧客の多様化したニーズに答えるにはオンラインとリアル店舗の2つの販売チャネルを持つ必要があります。オンラインからの購入に不安を持つ方のために、店舗に誘導する情報を商品紹介ページに載せるなどO2Oを意識すれば多くの顧客の集客につながるのです。

OMO、オムニチャネルとの違い

O2Oマーケティングと混同しやすい「OMO」「オムニチャンネル」について、それぞれの違いを解説します。

O2OマーケティングとOMOの違い

O2Oマーケティングはオンラインとオフラインを区別するのに対し、OMOはオンラインとオフラインの境界を感じさせないことが違いです。

たとえば、店舗で商品を購入する際アプリのバーコードを読み取ればオンラインでも利用できるポイントが溜まります。また、購入商品から予測されるおすすめの商品が表示されることもあるでしょう。その結果、顧客はオンラインとオフラインの境界をあまり感じることなく、サービス全体として便利になったと感じます。

顧客をオンラインからオフラインに誘導するO2Oマーケティングに対し、オンラインとオフラインを区別することなく顧客の利便性を向上させるマーケティング手法がOMOなのです。

O2Oマーケティングとオムニチャネルの違い

O2Oマーケティングは顧客を誘導するのに対し、オムニチャネルは顧客をさまざまなサービスで囲い込むという違いがあります。

オムニチャネルとは、アプリやECサイトなど顧客へのさまざまなサービスを連携させて情報を共有し、どのチャネルでも最適なサービスを提供する手法です。顧客にとっては利便性が向上するため収益の増加につながります。

たとえば、リアル店舗で購入した商品の情報が各チャネルで共有されていれば、ECサイトやアプリを利用したときにおすすめの商品が表示されます。他にもセールやキャンペーン情報がメルマガで届くでしょう。

オンラインからオフラインに顧客を誘導し購買を促すO2Oマーケティングに対し、顧客との接点(チャネル)を増やし利便性を向上することで購買につなげるマーケティング手法がオムニチャネルなのです。

O2Oマーケティングとオムニチャネルのそれぞれの目的

O2Oマーケティングでは、見込み顧客を顧客化するための「誘導」を目的とします。
例えば、見込み顧客がオンラインで商品を見つけて実店舗で購入してもらう、来店者限定のクーポンやノベルティを用意し行動意欲を高める施策が考えられます。

オムニチャネルの目的は、既存顧客をファン化する「囲い込み」です。
より利便性の高い購入体験を提供し、次も利用したいショップとして選んでもらうことが重要です。
オンラインとオフラインの垣根を越えて、シームレスに利用できる環境を提供することがポイントです。

導入ハードル別にみたオムニチャネルとO2Oマーケティング

一般的にオムニチャネル導入のハードルは、O2Oマーケティングと比べて高いといわれています。
オムニチャネルのメインターゲットは既存顧客です。
既存顧客は商品やサービスへの満足が一定のレベルまで達しているため、オムニチャネルを成功させるためには、より顧客満足度を高めていく必要があります。

O2Oマーケティングでは、ターゲットが新規顧客であるため「他店より購入しやすい」ことをシンプルにアピールすることができます。

O2Oマーケティングのメリットとは?

O2Oマーケティングのメリットを3つ解説します。

新規顧客の獲得につながる

1つめは新規顧客の獲得につながることです。ほとんどの人がオンラインでの情報収集を行っているため、オンラインで商品の魅力や店舗の存在を知ってもらえば来店につながる可能性が高まります。

たとえば、魅力的だけど金額の高い商品を見つけたとき実際に触ってから購入したいと考える人は多いです。広く情報を発信することで商品に興味を持つ可能性の高い潜在顧客にアプローチできれば、新規顧客の獲得にもつながります。

即効性が期待できる

2つめは即効性が期待できることです。オンラインではリアルタイムで情報発信ができるので、顧客にアプローチがしやすくなります。

たとえば、季節ごとのセールや限定商品の情報をアプリに表示すれば顧客に周知することが可能です。また、期間限定のクーポンの配布で店舗の売上を伸ばしたり新規店舗に集客したりできます。

アプリやLINEへの広告配信はユーザーが気軽に見られるため、WEB集客をしていない店と比べてビジネスチャンスを逃しません。O2Oマーケティングではオンラインをうまく活用することで短期間で結果を出せる可能性が高いです。

効果測定が簡単で改善点が見えやすい

3つめは効果測定が簡単なため改善点が見えやすいことです。アプリやWEBサイトで配布したクーポンが店頭でどのくらい使われたかを数値で確認すれば、効果測定が簡単に行えます。

使われたクーポンやメルマガなどの情報を分析すれば、どの施策が効果があったかわかり改善点も見えやすくなるのです。

O2Oマーケティングにおける重要チャネル

オフラインに見込み顧客を誘導するため、O2Oマーケティングではさまざまなオフラインチャネルを活用します。ここでは特に重要なチャネルを5つ紹介します。1つのチャネルだけを利用するのではなく、複数のチャネルを組み合わせてO2Oマーケティングを強化します。店舗や商品、サービスにはどのチャネルが適しているのかやターゲットとしている顧客から求められていることを考えながらチャネルの選定や組み合わせを行いましょう。
また、今回紹介する以外のチャネルにも注目し、取り入れていくことでより効果を得やすくなります。

ECサイト

時間、場所に縛られることなく購入できるECサイトは、O2Oマーケティングにおいて重要なチャネルのひとつです。実店舗とECサイトを区別して考えるのではなく一体化した展開やサービスを提供することで顧客体験の質を向上することができます。一体化したサービスを提供するだけでなく、実店舗とECサイトの顧客データを紐づけて一元管理することも顧客データや売上を分析するうえで重要なポイントになるでしょう。

SNS

企業側と顧客側、双方のやり取りが可能なSNSの活用はチャネルとして非常に重要です。新商品やセールなどの情報をタイムラインに投稿することで、リアルタイムに告知ができます。その際、顧客からの質問や問い合わせに回答することができるため顧客との対話が可能です。SNS上でコメントや質問に回答してもらった時は、記憶にも残るため実際に店舗に足を運ぶ大きなきっかけにもなります。情報配信だけでなく、顧客との交流にも重点をおいてSNSを運用しましょう。

アプリ

セール情報やクーポンの情報を配信するときには、プッシュ通知を利用することによりタイムリーに顧客にとって有益な情報を配信することができます。このような機能が利用できることから、店舗オリジナルのアプリ導入もO2Oマーケティングにおいて重要なチャネルです。他の利点としては、ブランドや商品をサイトで検索してからアクセスするという過程を省くことができ、顧客の利便性があがります。O2Oマーケティングを強化するためにアプリの開発にも取り組んでいきましょう。

QRコード

店舗のSNSアカウントやアプリ、会員登録ページのQRコードを設置することもO2Oマーケティング強化の後押しになります。QRコードは顧客はスマートフォンがあれば手軽に利用でき、店舗側もQRコードを設置することで取り組めるため、双方の負担がさほどありません。規模の大きくない店舗でも導入しやすいチャネルです。しかし、ただ設置しただけではQRコードを読み取るまでに至らないこともあるため、顧客への周知も同時に行うと効果的でしょう。

位置情報

スマートフォンの位置情報をもとに顧客の生活圏内に関わる情報を配信する手段もあります。チャネルとして一括りとはなりませんが、有効な方法です。地域を限定した配信をすることで、限定感を引き出すことができ、次の行動への意欲も向上します。情報を必要としている顧客への配信になるためリーチする確率が高まります。オンラインから実店舗の利用や地域や店舗を限定したイベントへの集客につなげるためには取り入れるべき施策でしょう。

O2Oの代表的な手法5選

O2Oマーケティングの代表的な手法を5つ紹介します。

クーポン型

一番知られているO2Oの施策としてクーポンの提供があります。多くの業種で取り入れることができ、即効性があるのが特徴です。クーポンは、配布することで新規店舗へ集客したり条件をつけることで売上を伸ばすことができます。

たとえば、3,000円以上購入と5,000円以上購入で使えるクーポンの割引価格に差をつければ、5,000円以上購入して得をしたいと考える顧客もいるでしょう。

また、認知度が低いカテゴリーの商品のクーポンをつくれば商品の良さを知ってもらうきっかけになります。いろいろな使い方ができるため多くの店でクーポンが取り入れられているのです。

オンラインショップ連動型

オンラインショップ連動型とは、O2Oマーケティングのもともとの考え方である「ショールーミング」と逆の「ウェブルーミング」に対応した施策です。

ウェブルーミングとは、顧客がWEB上で商品を探してからリアル店舗で購入する方法で、セール情報や在庫状況、口コミが確認できるため買い物の失敗を防げます。

顧客のウェブルーミングへの対応として、商品の在庫状況がWEBサイトやアプリで確認できたり店舗で商品の取り置きができることで購入の機会損失を減らすことが可能です。

アプリゲーム型

アプリゲーム型とは、割引など金銭的な得ではなくゲームのような楽しみを提供することで集客につなげる方法です。

たとえば、店舗に行きアプリを起動するなど条件をクリアするとチェックインをしたと認識され、スタンプやポイント、店舗独自のマイルやPayがたまるシステムがあります。

複数店舗への来店や、近くを通った際に店舗への立ち寄りを促せるため集客につながるのです。

SNS型

SNSを利用したO2O施策もあります。具体的には、SNSの企業アカウントから広告やキャンペーン情報を発信したり、顧客のフォローやリツイート、ハッシュタグつきの投稿に対してクーポンを配布する方法です。

店舗側の発信だけでなく顧客にも情報を拡散してもらえるため宣伝効果や集客効果が高く、いろいろな企業が施策を行っています。

位置情報型

位置情報型とは、ユーザーのスマホの位置情報を利用して指定した範囲のユーザーに自動でプッシュ通知を送る方法です。

ユーザーが位置情報をONに設定していないと使えない欠点がありますが、店舗の半径100mなど近くにいるユーザーだけに通知できるメリットがあります。

位置情報を利用したプッシュ通知を使えば、〇時までの来店で10%割引などのクーポンを店舗の近くにいるユーザーに届けられるので、集客効果が期待できるのです。

O2Oマーケティングの事例3選

O2Oマーケティングを具体的な事例を3つ紹介します。

アプリで在庫のある店舗が調べられるユニクロ

ファッションブランドのユニクロでは、アプリで近くの店舗に商品の在庫があるか確認できます子供服など店舗の規模によって置いていない商品や品薄の人気商品でも、アプリをチェックすれば確実に購入できるのです。

他にもアプリでは、指定の店舗に在庫があればアプリからの事前注文で最短1時間で商品を受け取ることができます。アプリから店舗の在庫が把握できるので購入の機会損失が防げ、売上アップも可能です。

参照:ユニクロ公式 アプリな理由

アプリの取得で店舗限定クーポンを得られるJINS

メガネ、アイウェアを販売するJINSでは、アプリを取得すると店舗限定のクーポンを使うことができますクーポンには使用期限が設けてあるので、利用するためには期限内に店頭での購入が必要です。

アプリに登録すると購入履歴、保証書管理、マイレージ取得ができるだけでなくAIを使って似合うメガネを教えてくれたり度数情報の入力もできます。店頭での購入がスムーズになるだけでなくメガネ探しの悩みも解消されるので、販売促進につながるでしょう。

参照:JINS-眼鏡

SNSでクーポン配布のキリンビール

キリンビールではTwitterでクーポンの配布をしています。LINEから応募するとコンビニ無料引換券が当たるキャンペーンを実施しており、6000人以上にリツイートされ2000以上の「いいね」がつく注目度です。

コンビニという誰でも利用する場所で使うことができ、無料で商品が受け取れるためキャンペーンに応募する人が多くいます。多くのTwitterユーザーにアプローチすることができ、商品の認知度アップや新規顧客の獲得に効果的な施策といえるでしょう。

オムニチャネルはオンラインとオフラインで展開

これまではO2Oマーケティングを軸に、オンラインからオフラインへ誘導するために考えられる施策を紹介してきました。では、オムニチャネルでは、どの方向に誘導するのがよいのでしょうか。答えはオンからオフ、オフからオンの双方向へ展開することです。店舗やサービスを展開してきた年月が長くなるほど、既存顧客は多くなります。一度の利用だけで終わらせないためにオンラインとオフライン、どちらの流れの利便性を向上させ継続的に利用してもらえるよう工夫が必要です。

ファッションブランドの新規施策

オフラインとオンラインを縦断させる施策を執った、イギリス発祥のファッションブランド「TOPSHOP」は2014年に中国進出をします。その際に「Shangpin.com(尚品)」(中国のファッションeコマースサイト)に店舗を展開する前の段階で、期間限定でポップアップ・ストアをオープンします。そこから、Shangpin.com(尚品)の店舗へと顧客を誘導しました。TOPSHOPは少ない投資で展開を始めたのちに、リアル店舗の設置を実現させました。

売上が増加しているスーパーマーケットのQRコード活用

オフラインからオンラインへ誘導し、オンラインの売上を伸ばした事例もあります。イギリス発のスーパーマーケット「TESCO」は、韓国でのシェア向上のための施策を試みました。地下鉄のホームに設置した巨大ディスプレイに、商品棚の映像を映し出します。商品ごとのQRコードも出し、顧客がスマートフォンをかざせばオンラインで買い物ができる仕様にしました。顧客は電車の待ち時間に、ホームで買い物ができるようになり利便性が向上したことから、オンラインの売上が130%増という大きな結果を残しました。

まとめ

今回はO2Oマーケティングマーケティングの意味や事例、メリットについて解説してきました。この記事のポイントは以下のとおりです。

  • O2Oマーケティングとは、自社サイトやSNSなどのオンラインで集めた顧客をリアル店舗へ誘導し、商品の購入につなげるマーケティング手法
  • O2Oマーケティングが重要視される理由は「商品の購入にネットが欠かせなくなった」「SNSでの情報共有が当たり前になった」「リアル店舗の再評価されている」から
  • O2Oマーケティングのメリットは「新規顧客の獲得」「即効性が期待できる」「効果測定が簡単で改善点が見えやすい」の3つ
  • O2Oマーケティングの代表的な手法はクーポン型、オンライン連動型、アプリゲーム型、SNS型、位置情報型の5つ

O2Oマーケティングはネット社会での集客にとても効果のある方法ですので、ぜひこの記事を参考に取り入れてみてください。

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