カゴ落ちとは?起こる理由と対策・カゴ落ちメールの例文も紹介!
ECサイトを運営している方々にとって悩ましい問題の1つが「カゴ落ち」「離脱率」です。
カゴ落ちが起こる理由を的確に把握し、カゴ落ち率を下げれば売上拡大が期待できます。
そこで今回は、カゴ落ちの意味やカゴ落ち率の計算方法、カゴ落ちが起こる理由をまとめました。記事の後半では、カゴ落ちを防ぐ7つの対策に加えて、カゴ落ちのリスクを減らすカゴ落ちメールについても解説します。
INDEX
カゴ落ちとは
「カゴ落ち」とは、ECサイトで商品をカートに追加したにもかかわらず、購入手続きを完了せずに離脱することです。
英語では、カート放棄やカート離脱を意味する「Cart Abandonment」と表現されます。
カゴ落ち率が高いということは、ECサイトが見づらい、不安や疑問を解決できないなど何らかの問題があると考えられるでしょう。
ECサイト運営者はどのページのカゴ落ち率が高いのかを把握して改善することが重要です。
カゴ落ち率の計算方法
カゴ落ち率の計算方法は以下のとおりです。
カゴ落ち率 = カゴ落ちとなったユーザー数 ÷ ECサイトの総アクセス数
カゴ落ちとなったユーザー数は、ECサイトの総アクセス数 - CVに至ったユーザー数で求められます。
カゴ落ち率の平均値とは
Eコマースのユーザーエクスペリエンスに関する調査会社「Baymard Institute」が2018年に行った調査(*)によると、一般的なECサイトのカゴ落ち率は平均69.57%であることが判明しています。
また、クレジットカードの3Dセキュア導入で発生するカゴ落ち率は60%とも言われています。
つまり、カートに商品を入れたユーザーのうち、半数以上が購入手続きを完了していないということなのです。
ECサイトを運営する上でカゴ落ちが起こる理由を的確に把握し、カゴ落ち率を下げることで売上拡大が期待できることは容易に想像できます。
(*)参考:https://baymard.com/lists/cart-abandonment-rate
カゴ落ちが起こる8の理由
購入意思があるのにECサイトを離脱してしまう原因は何なのでしょうか。
「Baymard Institute」社は米国在住の成人4,560名を対象に、カゴ落ちが起こる理由についても調査を実施しました。
ここでは、特に解答が多かったカゴ落ちが起こる理由を8つご紹介します。
送料や手数料が高い
ECサイトで商品を購入するユーザーは値段に敏感です。想定外の出費が発生すると、購入を諦めてしまうケースがあります。
特に、買い物中に合計金額が分からないシステムはカゴ落ち率を上げてしまう原因になりがちです。予算をオーバーしているかどうかが最終的な決済段階まで分かりません。
請求金額の確認画面で「消費税」「送料」「決済手数料」といった追加費用が表示されて予算を超えていると分かれば、ページを離脱する可能性が高まります。
したがって、EC事業者はユーザーが明確に費用を把握できるようにすることが重要です。
購入前のアカウント作成が必要
商品を買い物カゴに追加した後にアカウント登録を施すこともカゴ落ちの原因になります。
ECサイト事業者からすれば、ユーザーがアカウント登録を行うメリットは大きいです。会員情報をもとに販売促進を行ったり、リピーターとの関係性を築いたりすることができます。
しかし、ECサイトに個人情報を提供することに消極的なユーザーや、アカウントの管理が面倒に感じるユーザーも多いです。
決済完了までの手順が長い・複雑
支払い情報や配送先住所、連絡先などの入力が多いと、カゴ落ち率が高まる原因になります。
たとえば、年齢や性別、家族構成など、ユーザーにとって入力の必要性を感じられない項目があると、面倒さや不信感を感じさせることになるでしょう。
また、決済完了までの手順はどのくらいあるのか、入力フォームはどれくらいあるのかを可視化できていないECサイトは注意です。いつ購入手続きが完了するのかユーザーが把握しづらいので、使い勝手の悪いサイトという印象を与えてしまいます。
クレジットカード情報を登録したくない
ECサイトの決済方法で最も利用率が高いのは、クレジットカード決済です。
しかし、セキュリティ面での不安から、クレジットカード情報を登録しなくないと考えるユーザーもいます。たとえばECサイトのメンテナンス不足が確認されるような作りだと、ユーザーは個人情報の登録を躊躇してしまうでしょう。
また、商品を買い物カゴに追加した後、希望している決済方法がないという場合もカゴ落ちに繋がります。クレジットカードを使わざるを得ないという状況にしないことがカゴ落ち率を改善する上で大切です。
サイトが重い・エラーになる
ECサイトの表示スピードがカゴ落ちの原因になる可能性もあります。「他社のECサイトと比べてサイトが重い」「読み込みに時間がかかって決済が完了できない」とユーザーが判断すれば、ページを離脱してしまうのです。
また、ECサイトでエラーが発生した際にユーザー側で原因が特定できないとカゴ落ちに繋がります。たとえば、入力フォームで正しく個人情報を入力しているにも関わらずエラーで先に進めないなどです。
ユーザーが簡単に入力して購入手続きを完了できるような仕組みを作る必要があります。
返品についての詳細がわからない
返品条件が明確に記載されていないこともカゴ落ちの理由に挙げられます。
たとえば、ECサイトで衣服を購入する際は「サイズが合わない」「実際の色がイメージと違う」などの懸念があります。ユーザーは実際に自分の目で確認できないので、商品の返品ができるかどうかが分からなければ購入をやめてしまうのです。
お気に入りの目的でカートに入れた
商品に興味があるものの今は買えない場合、お気に入り目的でカートに追加するというユーザーも一定数います。
カートに商品を入れたまま離脱すればカゴ落ち率に含まれてしまいます。
不安や疑問を解決できなかった
ECサイト上でユーザーの不安や疑問を解決できない場合もカゴ落ちの理由になります。
たとえば、商品の到着予定日が記載されていないと、急ぎで商品が欲しいユーザーは迅速に発送してくれるECサイトや到着予定日が記載しているECサイトへ流れてしまうのです。
カゴ落ちを防ぐ7つの対策
カゴ落ちを防ぐ対策は以下の7つが効果的です。
- 追加費用をできる限り下げる
- 会員登録なしで購入可能にする・会員登録を簡単にする
- 決済方法のバリエーションを増やす
- セキュリティ対策を施し、内容を見られるようにする
- エラーの原因をわかりやすく表示・サイトスピードの改善
- 購入までの流れを簡単にする
- よくある質問の設置で不安を取り除く
それぞれのカゴ落ち対策について、くわしく見ていきましょう。
追加費用をできる限り下げる
カゴ落ち対策で優先的に行いたいのは、商品価格と実際に支払う代金の差をできる限りなくすことです。
商品代金に送料を含められるのであれば、商品の選択画面で「送料無料」と明記することでカゴ落ちを防ぎやすくなります。
送料や手数料など、商品以外に追加コストがかかる場合も、購入手続き前の段階でユーザーに伝えるようにしましょう。
実際に支払う代金を早い段階で伝えているECサイトは、ユーザーの不安を解消します。売上拡大を図るためにも、ユーザー側の視点に立ったECサイトを目指すことが最善です。
会員登録なしで購入可能にする・会員登録を簡単にする
ほとんどのECサイトは会員登録なしでは購入できません。しかし、ユーザー側からすれば、会員登録は心理的なハードルが上がって購入意欲がなくなります。
解決策としては、会員登録なしでも購入可能にすること、もしくは簡単な会員登録方法にすることが有効です。
決済方法のバリエーションを増やす
「クレジットカードを持っていない」「家族に購入履歴を知られたくない」という方にも商品を買ってもらうためには、決済方法のバリエーションを増やすことが理想的です。
売上ランキング上位に位置するECサイトは、クレジットカード、商品代引き、コンビニ決済、キャッシュレス決済など、決済方法を4つ以上導入しているケースが多く見受けられます。
後払い決済サービスの「atone(アトネ)」なら、無料会員登録のみで商品が購入可能です。決済代金は翌月に払えばいいので、通常なら予算の問題で購入を諦めてしまうユーザーに利用してもらえる可能性があります。
セキュリティ対策を施し、内容を見られるようにする
ユーザーが安心できるECサイトにするためには、セキュリティ対策が欠かせません。
基本的な対策としては、ECサイト全体を常時SSL対応させて「保護されていない通信」というブラウザの警告表示をなくすことが挙げられます。
その他、実施しているセキュリティ対策や運営者情報をECサイト上に記載してユーザーの不安を取り除きましょう。
エラーの原因をわかりやすく表示・サイトスピードの改善
入力時のエラーの原因をわかりやすく表示させたり、サーバーを強化してサイトスピードの改善を図ったりすることもカゴ落ち対策になります。
競合他社サイトと比べてスピーディーに決済完了まで進むか検証し、入力フォームの最適化を図りましょう。
購入までの流れを簡単にする
一般的なECサイトは、商品をカートに追加した後に住所や支払い情報の入力→確認画面→完了画面というような流れを踏みますが、この一連の流れを簡単にすることがカゴ落ち対策に効果的です。
たとえば、画面が遷移するのを極力なくして決済完了までの流れをシンプルにしましょう。また、入力中のバナー表示は減らしてユーザーが速やかに入力できるような工夫もカゴ落ち対策になります。
よくある質問の設置で不安を取り除く
ユーザーの不安や疑問を購入前に解消する対策としては、よくある質問や返品ポリシーを設置することが重要です。
記載内容をユーザー目線で充実させることはもちろん、フッターなど誰もが見つけやすい場所にリンクを設置しましょう。また、よくある質問へのアクセス数が多ければ、チャットボットを導入するとユーザーが必要な情報に辿り着きやすくなります。
カゴ落ちのリスクを減らすカゴ落ちメールとは
カゴ落ちのリスクを減らす対策としては、カゴ落ちメールも効果的です。
カゴ落ちメールとは、カゴ落ち状態にあるユーザーに買い忘れた商品があることを通知するメールです。決済完了前に離脱したユーザーにカゴ落ちメールを送ることで、再度、購入機会を提供することができます。
このカゴ落ちメールは、ECサイト上でユーザーの行動を追跡することで機能するものです。
ユーザーが閲覧した商品やカートに追加した商品などをソフトウェアに記録する必要があります。
ECプラットフォームのなかでもShopifyやBigCommerceは、ユーザーの行動を追跡する機能がすでに組み込まれているので、カゴ落ちメールの一連の設定が簡単です。ECサイト事業者は、既存ユーザーの登録アドレスをもとにカゴ落ちメールを配信することができます。
効果的なカゴ落ちメールを送る6つのポイント
カゴ落ちメールはECサイトの売上拡大を図る手段の1つですが、効果を高めるためには以下6つのポイントをおさえる必要があります。
- 最適なタイミングで送る
- 複数回送信する場合は内容を変える
- 送る回数に気をつける
- 顧客が得する情報を記載する
- 件名をわかりやすくする
- HTMLメールで流し読みを防ぐ
1つずつ解説していきます。
最適なタイミングで送る
カゴ落ちメールを送るタイミングは、3時間後、24時間後、7日後の3回が最適です。
ECサイトを離脱したユーザーの中には「他の商品と比較してから買いたい」「あとで購入するためにカゴに入れた」など、購買意欲がある方も一定数います。
そのようなユーザーの記憶が新鮮なうちにメールを送って購入の機会を提供しましょう。
複数回送信する場合は内容を変える
カゴ落ちメールを複数回送る際は、配信の内容を顧客ごとにカスタマイズすることをおすすめします。
たとえば、1度目はECサイトの利用に感謝するメール、2度目はカゴ落ちを知らせるメール、3度目は購入を再検討してもらうメールなどです。
ユーザーが買い物カゴに入れた商品や閲覧履歴に基づいて、関連性のある商品や特典を提案するのも効果的でしょう。
送る回数に気をつける
カゴ落ちメールを送る頻度は3回が理想的だといわれています。何度も送信するとユーザーに嫌がられ、メール配信を停止されてしまうからです。
配信時期や配信頻度などを検証して、効果的なカゴ落ちメールを作り上げていきましょう。
顧客が得する情報を記載する
ECサイトを離れたユーザーの購買意欲を喚起するような情報を記載することも重要です。
セール情報やクーポンの提示、魅力的な商品の説明、限定性のある告知などを記載すると、カゴ落ち状態のユーザーが再びECサイトを訪れてくれる可能性が高まります。
件名をわかりやすくする
カゴ落ちメールの件名の付け方も工夫しましょう。
件名1つでメールの開封率が大きく変わるので、「誰からのメールか」「どのような内容か」をわかりやすく伝える必要があります。
HTMLメールで流し読みを防ぐ
カゴ落ちメールの配信形式は、HTMLメールが推奨されています。
その理由は、テキストメールよりも流し読みを防げるからです。文字装飾やイラストの挿入を行うことで、ユーザーがカートに追加したままの商品の情報も鮮明に伝えることができます。
また、画像やボタンをクリックすれば直接カードに戻れるなどの操作性も向上するでしょう。
カゴ落ちメールの例文
カゴ落ちメールを複数回送る場合は内容を変えることが効果的とお伝えしましたが、ここではカゴ落ちメールの例文を2つご紹介します。
- カートに入れて数時間後に送るカゴ落ちメール
- カートに入れて数日後に送るカゴ落ちメール
カゴ落ちメールのテンプレートを自社で作成する際は参考にしてください。
カートに入れて数時間後に送るカゴ落ちメール
件名:【ECサイト名】お買い忘れはございませんか?
本文:○○ 様
いつも【ECサイト名】をご利用いただき誠にありがとうございます。
カートに入ったままの商品がございます。お買い忘れはございませんか?
【カートの商品画像】
【商品名・価格】
【商品リンク】
【カートを見る】
購入方法や送料に関して不明点がございましたら、以下の購入ガイドをご覧ください。
【購入ガイド】
なお、すでにご購入済みの場合でも本メールが送信されることがございます。ご了承くださいませ。
カートに入れて数時間後の場合は、以下のような件名を設定して購入を再検討してもらえるように誘導しましょう。
- お買い忘れはございませんか?
- カートに入ったままの商品があります
- 購入手続きが完了していないようです
メール本文にはカートページへのリンクを設置することで操作性が向上します。
カートに入れて数日後に送るカゴ落ちメール
件名:【ECサイト名】○○様におすすめの商品のご案内
本文:○○様
いつも【ECサイト名】をご利用いただき誠にありがとうございます。
○○様がご興味を持たれた商品をもとに、おすすめ商品をご案内させていただきます。
お探しの商品が見つかるきっかけになれば幸いです。
【カートの商品名】
【カートの商品画像】
【おすすめ商品名】
【おすすめ商品画像】
【おすすめ商品名】
【おすすめ商品画像】
なお、すでにご購入済みの場合でも本メールが送信されることがございます。ご了承くださいませ。
カートに入れて数日後は購入率が下がる傾向にあります。そのため、カートに残っている商品に加えて、関連商品をおすすめして購入率を高めましょう。
カゴ落ち対策におすすめのツール
ここではEC通販に特化したCRMツールをご紹介します。
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まとめ
カゴ落ちが起こる理由や対策、カゴ落ちメールの例文などについてご紹介しました。
この記事のポイントは以下のとおりです。
- カゴ落ち率の計算方法は、 カゴ落ちとなったユーザー数 ÷ ECサイトの総アクセス数
- カゴ落ちが起こる理由で最も多いのは、送料や手数料が高いこと
- カゴ落ち対策として、ユーザーに買い忘れた商品があることを知らせるカゴ落ちメールも効果的
カゴ落ち対策の実施や離脱率の分析には、多大な工数がかかります。そのため、「うちでのこづち」などのEC通販に特化したCRMツールを導入するのも1つの手です。
運用を継続すればカゴ落ち率の改善だけでなく、優良顧客の育成やリピート売上の拡大も期待できます。ぜひ導入をご検討ください。
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