モール型ECサイト(ECモール)とは?自社ECサイトとの違いやメリット・デメリット
EC事業を始める際に「ECモールへの出店」や「自社ECサイトの構築」に関しては多くの方が迷っています。
それに加え、「モール型ECサイトおよびECモールって何?」「ECモールを利用するメリット・デメリットを知りたい」などの素朴な疑問をお持ちの方も多いようです。
そこで本記事では、モール型ECサイトの概要や自社ECサイトとの違い、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
今後EC事業を始めようと考えている方や、ECモールには既に出店しており、今後さらなる成長を目指している方はぜひ参考にしてください。
INDEX
モール型ECサイト(ECモール)とは?
モール型ECサイトとは、複数の店舗が集まったインターネット上のショッピングモールです。
代表的なモール型ECサイトには、楽天市場やAmazon、Yahooショッピングなどがあります。
モール型ECサイトには、商品データのみを掲載している「マーケットプレイス型」や実際のショッピングモールのようにさまざまな店舗が存在する「テナント型」。自社が抱える複数ブランドをまとめた「統合監理型モール」が存在します。
モール型ECサイトの種類
既述のように、モール型ECサイトには以下の3つの種類が存在します。
- テナント型ECモール
- マーケットプレイス型ECモール
- 統合管理型ECモール
ここでは1つずつ詳しく解説します。
テナント型ECモール
テナント型ECモールは、実際のショッピングモールのように無数のECサイトが存在するECモールです。
商品を出品するブランドや店舗ごとに売場を作ることが出来るので、サイト内で自社ブランドの世界観なども構築しやすくなっています。
商品の登録をはじめ受注管理および売上集計などの管理業務は各店舗で行います。
商品ごとの競争はあるものの、テナント型ECモールでは、どれだけ自社ブランドや店舗の存在感を上げられるかが重要です。
実際の「イオンモール」のようにさまざまな店舗があり、その店舗のオリジナル商品も販売していますが、中には全く同一の商品を別々の店舗で販売してるケースもあるのです。
マーケットプレイス型ECモール
マーケットプレイス型ECモールは、テナント型のように各ショップが出店するのではなくモール型のプラットフォームに各企業が出品する形式です。代表的な例ではAmazonが挙げられます。
販売やプロモーションはモールに委託し、出品者は出品と配送に集中できます。前項のテナント型は出店という形式に対してマーケットプレイス型は出品です。
マーケットプレイス型には店舗という概念はありません。運用の手間があまりかからないので、簡単にEC運営を始めようとする方におすすめのモールタイプです。
メーカー直送のサイトや、複数の自社ブランドを一つのドメインで統合するモールの構築には、マーケットプレイス型のシステムが採用されます。
統合管理型ECモール
統合監理型ECモールは、自社の複数のブランドを統合してモール化したECサイトです。
ブランドごとにECサイトが分かれていると、自由度が高くブランドイメージを際立たせることができますがその一方で、運営コストが高くなる、利用者に横断して買い物をしてもらいにくいなどのデメリットがあります。
統合監理型ECモールであれば、1つのサイトで複数のブランドのショップが管理可能なので、運営の効率化がはかれます。
また、モール全体のトップページとブランドごとのトップページを分ければ、全体の統一感の中でブランドごとの特徴の表現も可能です。
ここまでにご紹介したテナント型やマーケットプレイス型とは異なり、統合管理型は自社独自にECモールを開発した上で運営するので、費用は高額になりがちです。
また複数のECサイトを統合して実現しなければならず、従来バラバラであった運用や仕様を統一する必要があるので、プロジェクトの難易度も一般的な自社ECサイトの構築よりも高いといえます。
モール型ECサイトのメリット
モール型ECサイトには、さまざまなメリットがあります。自社のECサイトのメリットと比べて自社に合うサイトを検討しましょう。
モール型ECサイトのメリットとしては、集客効果が大きい点や信頼性の向上などが挙げられます。
ここからは、それらのメリットについて解説します。
集客効果が大きい
モール型ECサイトは既に多くのユーザーに利用されており、集客効果が大きいのがメリットです。自社で集客を行う必要はなく、すぐに販売を始められます。
モール全体の知名度が高いケースでは、販売開始した直後から売上を得られることもあるでしょう。
自社でECサイトを構築する場合は一から集客を行わなければならないので、効果が出るまでに一定の時間が必要になります。そのために販売開始から早い段階で効果を得たい場合は、ある程度の知名度があるモール型ECサイトの利用がおすすめです。
信頼度があるので顧客が安心しやすい
モール型ECサイトは知名度が高い大手企業が運営しているケースが多く、信頼度がある点も大きなメリットといえます。
信頼性が高いので、新規顧客の獲得およびリピーターを獲得しやすくなります。これが自社ECサイトの場合は、スタート時においては知名度が低いので、まずは信頼性の向上を目指す必要があります。
モール型ECサイトは、既に信頼性が高い状態でのスタートになるので集客および売上アップも期待可能です。
顧客側から考えれば、名前の知らないサイトからの購入よりも、普段利用しているサイトから購入したいでしょう。名前が通っているモール型ECサイトであれば、顧客も抵抗感なく新しい商品を購入することが可能でしょう。
テンプレートに沿って簡単に出店可能
モール型ECサイトでは、モールが用意しているプラットフォームを利用することで、専門知識がなくてもテンプレートに沿って簡単に出店・販売が可能です。
そのため、ECサイトの運営に不慣れであっても手軽に商品販売を始められるのも大きなメリットです。
自社ECサイトの場合は、サイトを構築するのに知識のある人材が必要で、社内にリソースがなければ外注を検討する必要があります。一方のモール型ECサイトであれば、あらかじめ用意されたプラットフォームでテンプレートに沿って進めていくだけなので。簡単に販売開始できます。
モール側のサポートを利用できる
モール型ECサイトの多くでは、アクセス分析などのサポートを提供しています。
さらにシステム関連のメンテナンスも定期的に行われており、ネット上の不具合に強いのも特徴です。初出店であっても安心して運営できます。
モール型ECサイトのデメリット
モール型ECサイトにももちろんメリットばかりではなく、デメリットも存在します。
モール型ECサイトのデメリットとしては、手数料などのランニングコストがかかる点や自社ブランドの知名度が向上しにくい点が挙げられます。
手軽に運営できるメリットがある一方、知名度が上がりにくい点も検討材料に入れながら導入を慎重に検討しましょう。
ランニングコストがかかる
モール型ECサイトでは、出店料の他に、売上の一定割合を手数料として徴収されます。つまり商品が売れるほど手数料が大きくなるというデメリットが存在します。
そのため売上から手数料を差し引いた後の利益が少なくなる可能性があります。これらの手数料は利用するモールにより異なるので事前に確認しておきましょう。
出店料は、一般的に初期費用として数万円から数十万円かかります。販売手数料は商品が売れた際に発生する費用で相場としては一般的に売上の10〜15%程度です。
決済手数料は商品の代金を決済する際にかかる費用でクレジットカード決済だと3〜5%程度の手数料が発生します。この決済手数料はモール型ECサイトに限った話ではなく、自社ECサイトであっても発生します。
顧客情報が溜まらない
モール型ECサイトでは、出店者は顧客データへの直接アクセスに多くの制限があり、各店舗が顧客リストにアクセスすることは基本的に不可能です。
そのため、マーケティングや顧客体験のカスタマイズにおいて不利になることは否めません。顧客情報の収集や分析が困難で顧客情報に基づいたマーケティング活動は困難です。
ブランディングが難しい
モール型ECサイトでは、出店者は自社のブランドイメージや顧客体験を完全に制御することは不可能です。
出店者はモールのガイドラインやデザインに従わなければならず、自社ブランドを際立たせることは困難です。モール型ECサイトに出店する場合は自社の強みをどのようにしてアピールするかを戦略的に検討しましょう。
価格競争が激しい
モール型ECサイトは手軽に始めやすい一方、多くの販売者が同じサイト上で似たような商品を販売しており、なかなか顧客の注目を引けなくなります。
また、競合他社が多くなると直接的な比較および価格競争が避けられなくなる可能性があります。
その結果販売価格の値下げ競争につながり、最終的に手元に残る利益は少なくなってしまう可能性も考えておかなければなりません。
自社ECサイトとは?
自社ECサイトとは、独自ドメインを取得して個人のネットショップを運営するECサイトのことを指します。
以前は、自社サイトを立ち上げるためにはゼロからシステムを構築する必要があり、高い技術力および資金力が必要でした。
しかし、近年では中〜大規模の企業対象としたカスタマイズ可能なパッケージや月額数千円で利用できる初心者向けのサービスが増え、誰もが気軽に自社サイトを構築できるようになりました。
自社サイトの構築方法
自社サイトを構築する場合、ASPをはじめクラウドEC、オープンソース、ECパッケージ、フルスクラッチなどの方法があります。
ここからはそれぞれの特徴について解説します。
ASP
ASPは、ECサイト作成サービスを提供する会社を指します。
ASPを利用することで、デザインテンプレートを選んで、支払い方法などは最新の機能が利用可能です。
代表的なASPの一つであるShopifyは、多機能でアプリなどを使い必要な機能を取り入れ可能なので初心者はもちろん、大企業でも利用しています。
デザイン性に関しては、フルスクラッチよりは劣りますが、近年はカスタマイズ性も向上しており、本格的なECサイトを開けます。
クラウドEC
このECプラットフォームはインターネットを通じて利用でき、ショップの開設や運営に必要な機能がすべて揃っています。ホスティングも含まれているので、初心者でも簡単に使うことができて便利です。
料金はサブスク形式が一般的です。
オープンソース
オープンソースは、外部に公開されている無償のソースコードを利用する方法です。
ホスティング以外には費用もかからないので導入コストは抑えられます。ただし、その一方でプログラミングなどの知識がないと、セキュリティ対策やバクへの対処などにプロに頼らざるを得なくなります。
ECパッケージ
ECパッケージとは、ソフトウェアの開発会社からECサイトを構築する際のベースになるソフトウェアを購入して、サイトを作る方法です。
サイトの基の既存パッケージがあるので、フルスクラッチで構築するほどのコストをかけずにECサイト構築を依頼可能です。
フルスクラッチ
フルスクラッチとは、ゼロからECサイトを構築する方法です。高度な開発スキルやコスト、開発までに膨大な時間が必要ですが、自社に必要な要件にあったシステムを構築可能です。
長期的に考えるとコスト効率は良いのですが、サイトの変更が必要になるたびに、専門家への委託が必要になります。
自社サイトのメリット
自社サイトにもコスト削減や利益率の向上など多くのメリットが存在します。
ここからはそれぞれのメリットについて詳しく解説します。
コスト削減・利益率の向上
自社サイトのメリット1つめは費用面でのメリットです。
一般的に、自社サイトの構築はモール型ECサイトと比較して初期コストがかかってしまうとされていますが、中長期的な目でみるとコストが抑えられる可能性があります。
自社サイトではモール型ECサイトでは必要になる出店料や販売手数料などは発生しないので、ランニングコストを抑えながら利益率の向上をはかれます。
また、構築の方法によってはコストを抑えつつ自社サイトをオープン可能です。
マーケティングの自由度
マーケティングの自由度の高さも自社サイトのメリットです。
メルマガ配信やクーポンの発行、キャンペーンやセールの開催など、どこからも制約を受けずにさまざまなマーケティング施策の実行が可能です。
また、顧客の情報やユーザーの行動データも自社で管理・分析できるので自社にあったマーケティング戦略を計画し実行に移すことができるでしょう。
自社サイトのデメリット
自社サイトには多くのメリットがありますが、一方で自社サイトにももちろんデメリットも存在します。中でも自社サイトの運営で大きな壁となるのが集客が難しい点です。
安定した集客を実現するには、広告やSEO対策、SNSの活用などの各種Webマーケティングが重要です。また、自社サイトを運営するためにはECサイトの管理およびサーバー運営するには費用や人員も必要になります。
ここからはそれぞれのデメリットに関して詳しく解説します。
運営に費用や人員が必要
既述のように自社サイトを運営するには運営に必要な費用はもちろんサイトの管理や運用などの人員が不可欠です。
社内にECサイトのマーケティングや保守・運用に知見を持つ人材がいない場合は、新たな人材獲得や外部パートナーへの依頼も視野に入れましょう。
集客が難しい
自社サイトは、集客力が弱いので、積極的な販売活動を行い、多くの人に存在を知ってもらうところがスタートになります。
もちろん、圧倒的な知名度を誇る商品やサービスを取り扱っている場合は、検索してくれる人も多くなるので問題はありません。しかし、現実はほとんどの場合が、ECサイトを立ち上げ後1年程度は集客力を高める期間になります。
自社サイトの開設は、長期的な準備期間が必要になることを知っておきましょう。
モール型ECサイトと自社ECサイトの比較
モール型ECサイトと自社ECサイトでは、コストや集客方法にさまざまな部分に大きな違いが存在します。
例えば、ドメインは自社サイトでは独自ドメインを取得します。一方でモール型ECサイトの場合はあらかじめ用意されたものを利用するケースが多いです。
また、コストに関しては自社サイトは初期費用が高額で、月額費用は安価。一方のモール型ECサイトでは、初期費用は安価なものの、月額費用は比較的高額です。
結局のところ、それぞれ異なる強みを持っているので、どちらが良いとは決められません。EC事業をスタートするハードルであればモール型ECサイトの方が低いでしょう。
一方でEC事業の成長を第一に考えるのであれば自社サイトの存在が必要不可欠です。
大切なのは、それぞれのサイトの特徴を理解し、商品の特性を始め販売戦略、ブランド力、事業規模などによってどちらが適しているかを総合的に判断することと言えます。
ECモールと自社ECサイトを同時に運営する方法もある
自社ECサイトとモール型ECサイトは、両方を運営するメリットも存在します。ただし、同時に運営するにはさまざまなコストがかかるので、運営コストを利益で賄える売上規模がある企業におすすめです。
また、顧客層や商品の特性に合わせて運用したい場合にも両方の運営を検討するべきです。自社サイトとモール型ECサイトでは客層が異なるケースが多く、両方運営することで効率よく売上をアップできる可能性があります。
さらにこの2つのサイトの同時運営は、新規顧客の獲得およびリピーターの育成を同時に行いたい時にもおすすめです。
オリジナリティのある自社サイトはリピーターの育成、集客力のあるモール型ECサイトは新規顧客に適しているでしょう。
まとめ
ECサイトは自社商品をインターネット上で販売するのに便利ですが、自社ECサイトやモール型ECサイトなどさまざまな種類があります。
自社ECサイトはブランディングがしやすいのがメリットですが、構築のハードルが高い点がデメリットです。
一方で、モール型ECサイトはモール自体の知名度や信頼性で集客力が高いのがメリットですが、そのモールのルールに従わなければならない点に注意が必要です。
またモール型ECサイトの利用には手数料や出店料が必要なことも頭に入れておきましょう。
それぞれのサイトには、メリット・デメリットがあるので、自社の課題および目的に合わせて選択するのが重要です。
今回の記事を参考にしていただき、自社に合ったスタイルのECサイト構築を検討してください。
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